小島歯科医院 名誉院長ブログ

みんなで備えよう !災害と⼝腔ケア

2025年10月19日(日)


メモ
A.震災後の口腔内の変化
  1.口渇や灼熱感を訴える外来患者さんが震災前より3倍に増えた
    ・口腔乾燥症や舌痛症
    ・特に、40~60歳で降圧剤(カルシウム拮抗剤)内服している人
    ・震災ストレス、特に将来の不安などを一手に背負っている人
  2.多発性アフタを発症する外来患者さん震災前より2倍に増えた
    ・口内炎
    ・特に、30~50歳でビタミンB群、亜鉛不足
      インスタント食品など偏った食事
    ・重症など一部を除いてビタミンB群が保険適用でなくなった
  3.誤嚥性肺炎の外来患者さんが震災前より3倍に増えた
    ・管理された入院患者では0だったが、避難所特に発災2週間後が1番多かった
    ・手洗い場の「うがい禁止」の張り紙は説明不足
       口腔ケア専用コーナーへの誘導がなかった
       コロナやインフルの蔓延期で手洗いと口腔ケアを分けたかった
    ・避難所で必要だったもの
      清拭シート、薄めなくてもいいマウスウォッシュ、保湿関連
B.空腹だが食欲がない
 a.食欲には2系統ある
   1.視床下部にある食欲中枢
    ①摂食中枢 血糖値が下がると空腹感を起こし、食行動を促す
    ②満腹中枢 血糖値が上がると食行動を抑制する
   2.大脳にある感覚中枢 食欲中枢に割り込む
    ・習慣・嗜好・外界からの刺激によって食欲を喚起
       香りや声かけ
  b.GABA受容体作用薬(ベンゾジアゼピン)による影響
        抗不安薬や睡眠薬
   1.摂食中枢に影響し消化機能の低下や食欲の減退を生じる
        2.美味しいという感情を記憶できなくし食欲をなくす
       海馬の食事記憶と扁桃体の食欲の連携を断ち切る
C.連携の問題点
 1.他県からの歯科支援チームとの連携
    ・どこの避難所や仮設にどのような支援に入ればいいのか分からない
    ・司令塔やコーディネーターと現場との意思疎通
    ・お口の困りごとアンケート
       紙ベースだけではなく、QRコードで申し込みもできる
    ・プライベートの要素が含まれているので一部の避難所で拒否された
 2.他職種との連携
    ・情報を共有できるツールを決めておく
      グループLINEが有効だった
    ・食力の会 顔の見える他職種連携が役立った
www.isk-shakyo.or.jp/volunteer/list_detail.php?vgcd=G240104
   前回の講演会
 ・訪問歯科診療から要介護高齢者の「食べる力」をサポートする
kojima-dental-office.net/20190127-4585
 ・地域で取り組む「在宅療養高齢者」の食支援
kojima-dental-office.net/20160825-2128#more-2128
 ・嚥下機能にあわせた食形態
kojima-dental-office.net/20131020-1277  

   〜オーラルケアが命を守る〜
講師 廣江雄幸⽒(輪島市・広江⻭科院⻑)
   ⻑⾕剛志⽒(公⽴能登総合病院⻭科⼝腔外科部⻑)
日時 2025年10⽉19⽇(⽇)10時〜12時
場所 ⽮⽥郷地区コミュニティセンター2階 視聴覚室
    (〒926-0021 七尾市本府中町ヲ部38番地)
参加費 無料
参加対象 どなたでも(定員 120名)
申込 必須 10月14日(火)締切
申込⽅法 チラシ 災害と⼝腔ケア
主催 ⽯川県保険医協会
    〒920-0853 ⾦沢市本町2-11-7 ⾦沢フコク⽣命駅前ビル7階
    TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156
ishikawahokeni.jp/
 令和6年能登半島地震では、その発⽣当初、感染症の流⾏を恐れて、⻭磨きや⼝腔ケア を⾃制した避難所もありました。しかし、⼝腔の健康悪化は全⾝の健康悪化につながる危険があるため、本来は災害時こそオーラルケア(⼝腔ケア)が⼤切です。
 今回は、輪島市町野町の避難所で、少ない⽔でもできる⼝腔ケアを実践された廣江雄幸 ⽒、そして、仮設住宅での⼝腔状態の調査を⾏っておられる⻑⾕剛志⽒、お⼆⼈の⻭科医師をお招きして、災害時、そして震災から1年半以上が経過する中での継続的な⼝腔ケア の必要性についてお話いただくとともに、会場の皆様の疑問にもお答えいただきます。 災害時に私たちのお⼝と全⾝の健康、命を守るオーラルケア(⼝腔ケア)の⼤切さについて、医療・保健関係者、災害⽀援関係者をはじめ、多くの⽅とともに学び合う機会にしたいと思います。ご参加をお待ちしております。
 参考に
 能登半島地震と「住み続ける権利」
 ー医療提供体制をめぐる課題を中心に
 石川県保険医協会創立50周年記念シンポジウム 
パネリスト
 歯科医師の立場から
  廣江 雄幸 氏(輪島市町野・広江歯科院長)
kojima-dental-office.net/blog/20250309-19975#more-19975
 能登半島地震 被災者の一部負担金免除の延長に関する要望書
kojima-dental-office.net/20250604-7993

講師略歴
 廣江雄幸氏のご紹介
  歯科医師 広江歯科院長
 <略歴> 1979年:日本大学松戸歯学部 卒業
      1979年:神奈川県中央歯科 勤務
      1982年:輪島市町野町にて「広江歯科」開業
      2024年:災害により移転し、新規開業

 長谷剛志氏のご紹介
   歯科医師 公立能登総合病院 歯科口腔外科 部長
 <略歴>  2001年:北海道医療大学 歯学部 卒業
       2006年:金沢大学大学院 医学系研究科 修了 医学博士
       2009年:公立能登総合病院 歯科口腔外科 医長
       2015年:        同       部長
<その他役職>
・金沢大学大学院医薬保健学総合研究科外科系医学領域顎顔面口腔外科学分野 非常勤講師
・琉球大学大学院医学研究科 顎顔面口腔機能再建学講座 非常勤講師 ・「食力の会」代表
・市立輪島病院 歯科口腔外科 非常勤医師
・石川県立田鶴浜高校 衛生看護科 非常勤講師

講演会の後に昼食会を七尾市の「晴レルや」で開いた。10名の参加があった。

 

 

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