小島歯科医院 名誉院長ブログ

学校給食はセンター方式か自校方式か

2010年08月18日(水)


●質問●
 食育を進める一方で学校給食のセンター化についてあまり反対の声を聞きません。そのことについてどう思っていますか。ちなみに私は給食は自校方式がいいと考えています。子どもたちのために。

●回答●
 学校給食を見つめ直す機会を与えていただいて感謝しています。食や子育てに関心が広がり、嬉しく思います。
 学校給食は、児童・生徒に栄養的にバランスのとれた食物を摂取し、心身の健全な発達を図ることを目的として、実施されています。また、集団的行動や食事の作法も学校の教育課程のなかに組み入れています。 そして、平成15年には、栄養改善法廃止と「健康増進法」の施行に伴い、集団給食施設が特定給食施設になり、学校などの給食が集団から個々人への対応(栄養管理)になりました。平成17年には、「食育基本法」により、「赤・黄・青(どの栄養素がどのくらい必要か)を教える」から「食べる力の育ちを支える」や、「集団から個人を見る」に変わりました。また、経済状況や農業政策などと家族の絆や飽食の時代が給食のあり方をも変化させています。

 学校給食には、センター方式と自校方式があり、それぞれについて考えてみました。ただし、学校やセンターの規模、センターの配食する広さや学校分布によっても異なると思います。
 センター方式では、人件費、設備の合理化に伴う経費削減は大きな魅力です。また、衛生面の統一的な管理と調理の合理化ができます。しかし、顔が見える対応には連携に細やかな工夫が必要です。また、もし食中毒など起こった場合は、被害が広範囲に及びます。

 自校方式のメリットは、児童たちとの距離が近いですので、においを感じてお腹がすいたり、暖かいものが食べられます。そして、調理風景を見る事ができたり、児童や栄養教諭が調理室の職員さんと直接話しができます。また、人数が少ないですので、地元の食材が調達しやすく(量が多いと揃わないものでも)、地域の郷土料理が提供しやすく(地産地消)、教育の場で文化を伝承させることもできます。しかし、非常に経費がかかります。その分、予算内に納めるために食材や献立の工夫が必要です。

 どちらにしも、児童や保護者が、学校関係者や医師、歯科医師、管理栄養士などの専門家のアドバイスを参考に、行政当局とこの問題をとことん議論することが大切です。実際にコストがかかっても自校式で自分たちの学校はやっていきたい・地域の経済状態ではセンター方式がよい・アレルギー食にも対応できるようにして欲しい・センター方式でもいいですが、ご飯を食べる時はお茶碗と箸を使いたい、等々。そして、その意見などが給食に反映できるシステムがあること重要です。

 歯科医師としては、口を閉じて食べると食べ物の香り(戻り香)を楽しめることや左右の奥歯でよく噛んで食べると舌の上を行き来するので美味しさが倍増することも教えたいです。また、口や全身の働きを育む食形態や食べる時の姿勢と歯が生え替わる時期は食べにく食材があることを伝えたいです。そして、”心の空腹感”にさいなまれている子供たちに生活力や自立心、社会への関心が育つ「子供が作る”弁当の日”」も知って欲しいです。

参考として
 空気は読まない 6.「弁当の日」の奇跡
kojima-dental-office.net/blog/20100415-1383#more-1383
 栄養改善法
www.houko.com/00/01/S27/248.HTM
 健康増進法
www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/law/index_1.html

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