マウスピース矯正の注意点
2023年10月22日(日)
講師 窪田 正宏 氏(くぼた矯正歯科医院 院長)
前回の講演会 矯正歯科治療で何ができるのか
kojima-dental-office.net/20140124-2604
メモ
A.アライナー矯正の概要
1.治療計画
・スキャナー印象で取り込んだ状態からファイナルの状態までをコンピュータ上で見える化(動画のように見られる)
・コンピュータ上の治療計画は、シミュレーションではなく、技工指示書
→計画すべてを信じない心が必要
・各段階に合わせた3Dモデルからメーカーのメキシコの技工士がアライナーを作製
→アライナーの不良品、破損、変形などが多々あるのでチェック、再製依頼
・治療計画の確認は、診療時間外に一人20分はかかる→何人もできない
・CTを活用して治療途中に歯槽骨内から歯根がはみ出さない治療計画を選択する
2.患者さんの協力
・アライナーを1日20時間装着、7~14日間で新しい段階の物に次々と交換
3.再診時の注意
・使用中や使用後のアライナーの適合、変形、破損をチェック
→原因を考え対処する
・コンピュータ上と実際の口腔内を比較観察する
→早い段階で問題点を見つける
B.アライナーの特性
1.アライナーの厚みが同じだから臼歯部特に最後臼歯に強く当たる
①大臼歯は圧下しやすく、前歯のみが当たりやすい
・上顎前歯口蓋側にバイトランプを付ける
・アライナーを装着すると咬合するが、外すと臼歯部が当たらない。
2.前歯が唇側に平行移動しやすい
・歯根が歯槽骨から露出する
3.正中離開にアライナーを使用すると、前歯が舌側傾斜し、挺出する
4.第2大臼歯の遠心移動の実現性は41~75%
5.歯列拡大、歯冠傾斜の実現性は70~80%
C.アライナーの適応症例
・開咬や被害が浅い症例
過蓋咬合はブラケットがお勧め
・咬合湾曲を維持しながら矯正治療、
ブラケットはレベリング後に矯正治療
~ご案内~
銀座の歯科医院が「矯正の治療で患者さんたちから訴えられた」と全国ニュースで放映されて有名になってしまったアライナー矯正ですが、本によると、1)歯根の形状や位置、歯軸の傾き 2)歯周組織の形状、代謝活性の程度 3)顎骨の特徴、成長方向、成長量4)咬合面を覆うことの副作用 5)固定源の強さ 6)装置装着時に負荷される荷重の大きさと領域 7)装着時間 以上の情報が、コンピュータシミュレーションでは欠落していると云われています。さて私たち GP には、この治療法にどの様な優位性があるのでしょうか。
今回のセミナーでは矯正分野に詳しく過去にも度々講師を務めていただいた専門家の窪田正宏先生にご講演いただくこととなりました。今回のセミナーは、既に取り組んでおられる先生や、これから始めたいと思われている先生の大きな指針になると思われます。奮ってご参加下さい。
<<< 窪田先生 講演抄録 >>>
歯を移動させるマウスピースのことをアライナーと言います。1997年アメリカのアライン・テクノロジー社により開発されたマウスピース型矯正装置(インビザライン®️)は世界のアライナー治療の先駆けとなり、今では多数の企業がアライナー作製に参入しています。日本では 2006 年に紹介され、今では矯正歯科のみならず一般歯科でも導入されていますが、ブラケットよりも手軽に矯正治療ができるイメージのために、適応症例もわからないまま始めた歯科医院も多いと聞きます。しかし、アライナー治療は簡単ではありません。アライナー治療を成功させるには、アライナーの特性を理解して治療に取り組み、適応症例を見誤らないことが重要です。本講演では症例を供覧させていただき、アライナー治療における歯の移動の特徴と注意点についてお話しさせていただきます。
石川県保険医協会 歯科学術講演会
マウスピース矯正の注意点
講師 窪田 正宏 氏(くぼた矯正歯科医院 院長)
日時 2023 年 10 月 22 日【日】午前 9 時 30 分~11 時 30 分ごろ
場所 石川県地場産業振興センター新館 2 階 第 10 研修室(金沢市鞍月 2 丁目 20)
定 員 80 名
対 象 石川県保険医協会会員及び会員医療機関のスタッフ
申 込 ※詳細はチラシ裏面をご覧ください。窪田先生講演会チラシ
10/16(月)締切
参加費 無料
[主催]石川県保険医協会
〒920-0853 金沢市本町 2-11-7
金沢フコク生命駅前ビル 7 階
TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156
Email ishikawa-hok@doc-net.or.jp
窪田 正宏 氏 ご略歴
1986 年東京医科歯科大学卒業
1990 年東京医科歯科大学大学院修了(歯学博士号取得)
1993 年金沢市にて、くぼた矯正歯科医院開業
2008 年からインビザライン®️を臨床導入
2017 年アライン・テクノロジー社とクリニカルスピーカー契約
2019 年からアライン・テクノロジー社とファカルティ(指導者)契約
著書 「正しく使おう!アライナー型矯正装置」(共著)
「アライナー矯正のリカバリーテクニック」(共著)
◇日本矯正歯科学会認定医
◇日本矯正歯科学会医療問題検討委員会
アライナー関連小委員会メンバー
- カテゴリー: 歯科臨床