小島歯科医院 名誉院長ブログ

新しい小児矯正治療システム

2016年07月31日(日)


宮澤 健氏 31日(日)ホテル金沢にて宮澤 健氏の講演会「一般開業医における小児期の矯正歯科治療の注意点と最新の矯正歯科治療」が開催され、60名を超える参加者があった。
 開業医が手を出してもよい混合歯列期の過蓋咬合、叢生、出っ歯の「新しい小児矯正治療システム ストレスフリーを目指した矯正歯科治療法」について解説された。治療開始時期も「上下前歯の萌出時期から第一小臼歯萌出前まで」とハッキリしている。そして、診断、方針、方法をパターン化する。無理な前方、側方拡大を行わない。拡大よりバイトのコントロールを常に優先する。装置使用の基本順番は、2×4→BN→LB→PFの順。まず、4前歯に叢生があれば2×4で、なければ次へ。出っ歯や過蓋咬合があればバイオネーター。2,3mmのスペース不足ならリップバンパー、3番1歯分なら矯正装置を併用した連続抜去法。最後にプリフィニッシャーで整える。

3種の神器+1=(BN+LB+PF)+(2×4)
A.バイオネーター(外注)
41hanarabi.com/column/123
 a.使用目的
   ・下顎を前方に出す
   ・バイトを上げる
   ・下顎の正中線のずれを戻す
 b.1日12時間装着(日中4時間+睡眠時)
 c.構成咬合で製作する 1回で7~9mmが限度
 d.調整方法
  上額6番部と下顎4、5番部の装置内面を削り咬合平面が水平になるようにする

B.リップバンパー(市販品 トミー社製またはTP社製)
www.labowada.co.jp/lineup/lip-bumper.html
 a.使用目的
   ・上下の第一大臼歯を遠心に動かす(2~3mm)
   ・犬歯、小臼歯の萌出スペースを作る
 b.約4mm唇側に設定する
    通常は固定式(パワーチェーンを使用)
 c.6番が移動すると傾くのでワイヤーを調節する
 d.口唇に褥傷ができたら暫く外す

C.プリフィニッシャー(市販品 TP社製)
www.tpoj.co.jp/pf.html
 a.使用目的
   ・正しい位置に歯を萌出誘導する
   ・歯並びをきれいにする
   ・バイトを維持する(少々上げる)
 b.両側3番の遠心間の距離で大きさを選ぶ
 c.1日12時間装着(日中4時間+睡眠時)
     ちゃんと使用していると白くなる

D.2×4  ツーバイフォー(市販品)
blog.goo.ne.jp/futam/e/aeda4d0d4d630b75962bdc83051d301e
 a.使用目的
   ・上下顎4前歯を並べる
   ・上下顎4前歯を引っ込める
   ・正中線を合わせる
 b.装着期間は半年をめどに撤去
 c.BN、LB、2×4は併用可能

E.連続抜去
  セファロなどでしっかり診断する
  矯正装置を併用する
  バイトが深くならないように抜歯の順番を考慮する

一般開業医における小児期の矯正歯科治療の注意点と最新の矯正歯科治療
講 師: 宮澤 健氏 (愛知学院大学歯学部 歯科矯正学講座
              成人矯正歯科特殊診療科 教授)
と き: 2016年7月31日 [日] 午前10:00~12:30
ところ: ホテル金沢 4階 エメラルド
      金沢市堀川新町1-1 [金沢駅東口から徒歩1分]
対 象:会員、会員がいる医療機関のスタッフ
参加費:無料 チラシ・矯正歯科治療
※7/25[月]までにお申込みの上ご参加ください。
<案内文>
 小児期の歯科検診での優先順位はカリエスの発見が高い位置にありました。しかしながら近年、カリエスの減少から、検診中に気になるのは不正咬合ではないでしょうか。保険でもクラウンループなどの保隙装置がありますが、小児の咬合育成という点で、GPである私達に求められていることは何かをご一緒に考えていきたいと思います。
 この度、愛知学院大学成人矯正歯科特殊診療科教授、宮澤健先生をお招きして、小児の咬合育成のセミナーを企画させていただきました。 奮ってご参加下さい。

<抄録>
 近年、矯正歯科治療が広く一般に知られるようになり、子供が主な対象であった矯正歯科治療が成人にまで普及してくるようになりました。ここ数年の当大学附属病院に来院される18歳以上の矯正患者は、全体の約40%以上を占め、成人における矯正歯科治療の必要性の高まりを表しています。このような状況から、当大学附属病院では、成人矯正歯科診療部が誕生いたしました。
 しかし、実際の成人矯正歯科治療では、患者側は痛みや違和感、装置装着に対し強い反発を訴える一方、治療内容や治療期間、治療結果に対する要求度がきわめて高く、術者側が強いストレスを感じるなど、双方にとって大きなストレスが治療期間を通じて継続することとなります。成人患者が若年期に矯正歯科治療を受けていればこのような治療の必要はなく、成人矯正歯科治療を通して、小児期からの矯正歯科治療の重要性を再認識するに至りました。
 そこで今回の講演会では、前半は、最新の矯正歯科治療の実際について、後半は一般開業医の先生から質問されることの多い、混合歯列期前期における、「術者・患者双方のストレスフリーをめざした矯正歯科治療法」についてご呈示させていただきます。皆様のご意見を賜れば幸いです。

<略歴>
1988年 愛知学院大学歯学部卒業、同校歯科矯正学講座入局
1994年 カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校 
  医学部整形外科 Bone Research Laboratory 留学
1996年 愛知学院大学大学院歯学研究科修了(歯科矯正学)
1997年 愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座 助手
2001年              同           講師
2004年             同                  助教授
2010年 愛知学院大学成人矯正歯科特殊診療科 教授
2012-2014年 日本矯正歯科学会 理事、認定医委員会委員長
       近畿東海矯正歯科学会 会長
2016年 日本矯正歯科学会 理事、医療問題検討委員会委員長
    日本矯正歯科学会、認定医、指導医、専門医
    現在に至る

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