歯周外科治療を日常臨床に取り込もう!
2019年11月17日(日)
講 師 高橋 慶壮 氏(奥羽大学 歯学部 歯科保存学講座 歯周病学分野教授)
メモ
前回の考える考えるペリオドンティクス
kojima-dental-office.net/20180930-4285
・福島ドクターズTV 歯周病
www.youtube.com/watch?v=_g6Qss3Jhh8
・一つのことだけできる専門医よりも、変化に対応できる総合医が生き残る
・失敗に学ぶ 省察(考察)的な振り返りが必要
・キャリア・プラトー(停滞期)にならないように
・歯科医師にはコミュニケーション力が必要
会話のやりとり、キャッチボールがドッジボールにならないように
・技の習得 正しいものを真似る
・インプラントより歯周外科を先に始めたほうが、トラブルの対応などの熟達度が増す
・EBM普及推進事業Mindsに
「日本歯周病学会の作成したインプラント治療ガイドライン」が掲載された
minds.jcqhc.or.jp/s/about_us_overview
・ヨーロッパは実践的な研究が多く、
アメリカは基礎研究と臨床研究のバランスが良い。
英国の実践主義と経験論およびメカニズムの解明を目指すドイツ医学
の両方を取り入れて発展した。
日本は、ドイツ医学の影響が強く、メカニズム解明思考が強い傾向がある。
A.解剖学的な手術
a.遊離歯肉移植
・付着歯肉の幅が狭い症例に行われ、角化歯肉を増加させ、清掃性をよくする
・日本人は唇側の歯肉や歯槽骨が薄いタイプが多く、辺縁歯肉が下がりやすい
・歯間部の歯槽骨吸収がほとんど無ければ(Millerの分類Ⅰ・Ⅱ級)、
根面被覆が期待できる。
b.遊離結合組織移植
・結合組織のみを移植し、歯肉に厚みを持たせ、血液供給を増やす
・インプラントを行う前に角化粘膜を確保する
・ヨードで染色し可動粘膜を判別する
B.ポケット手術
a.ウィドマン改良フラップ手術
・骨縁上1mmは触らない
・拡大鏡を用いて骨縁上の新生結合組織線維を損傷させないようにする
・ハンドスケーラーではなく
回転切削器具(ルートプレーニングバー)を用いて汚染物を完全に除去する
・軟組織があるほうが楔上欠損が進行しないという臨床論文が最近発表された。
軟組織の厚みがあると血流が確保できるので有利ではないか。
b.再生療法(リグロス、エムドゲイン)
・骨吸収割合が高く、骨欠損部位角度が狭い重度歯周炎患歯を選択すれば、
効果が分かりやすい
C.インプラント
・リスク評価をして治療に臨んでも、
リスクを抱えたままのケースでは、予後に問題が出やすい。
・インプラント周囲炎は、咬合させて3年以内に起こる確率が高い。
天然歯よりも悪化する速度が速い。
・アバットメントを無理な力で回転させ挿入すると、
チタンは軟らかいのでフィクスチャーが破損する
・上部構造が短期に緩むケースは要注意!
上部構造底部の写真を撮り、傷などをチェックする
・咬合力と上部構造のゆるみが原因でフィクスチャーは破損する
ゆるみがでたらすぐに来院することを念には念を入れて伝える
・骨移植材はリスクになりうる
フィクスチャーから剥離することもある
・インプラント除去用キットがある
・インプラントは一生ものではない
整形外科医は、人工股関節は15年くらいと話している
・データを見る時に生存率と成功率を確認する
歯周外科治療を日常臨床に取り込もう!
講 師 高橋 慶壮 氏(奥羽大学 歯学部 歯科保存学講座 歯周病学分野教授)
と き 2019年11月17日[日]午前9時半~12時半
ところ 石川県地場産業振興センター 5階 第12研修室
(石川県金沢市鞍月2丁目1番地)
対 象 歯科会員、会員医療機関のスタッフ(定員100人、参加費無料)
申込先 石川県保険医協会
電話:076-222-5373 FAX:076-231-5156
Eメール:ishikawa-hok@doc-net.or.jp
申込方法 FAXまたはメールにて チラシ 歯周外科治療を日常臨床に取り込もう!
*申し込み締め切り11月11日(月)
主催 石川県保険医協会
<ご案内>
エムドゲインは自費だったが、リグロスは比較的良好な結果が得られ、しかも保険がきく。もちろん、水平的な骨吸収ではなく、3壁性などの垂直的な骨欠損なのだが。日頃、面倒臭いイメージがつきまとい、ついつい敬遠しがちな歯周外科だが、もっと効率良く、手軽にできないものだろうか。そのための戦略、必要な術式のポイントは何だろう?
今回のセミナーは実践編で、高橋慶壮先生に症例をもとに歯周外科の術式を解説していただくことになっています。また、高橋教授の研究課題でもあるインプラント周囲炎の対策についても、知見を開示していただけるなど、内容の濃いものになりそうです。奮ってご参加下さい。
<講演抄録>
日常の歯科臨床は小外科治療の連続です。演者は歯周治療の一環として口腔インプラント治療を実践しています。過去10年の治療成績をまとめたところ、インプラントの生存率は96%でインプラント周囲炎、disintegrationおよび偶発症で撤去したインプラントの解析から、過剰な咬合力の関与とハイリスク患者の存在が示唆されました。我々歯科医師は「準清潔領域」である口腔領域の感染防止管理を行いつつ、口腔機能の維持を図り、患者の口腔フレイルを防止することが社会から期待されています。歯周外科治療は口腔内の感染部位を取り除き、咬合力を受け止める歯周組織の安定を図るために不可欠です。
今回の講演では、フラップ手術、歯周組織再生療法(エナメルマトリックスタンパク質、リグロス)をはじめ歯周形成外科治療、インプラント治療およびインプラント周囲炎の外科治療について演者が実践している臨床と術式およびクリニカルパスを紹介します。
<講師プロフィール>
【ご略歴】
1988年 岡山大学歯学部歯学科卒業
1992年 岡山大学大学院歯学研究科修了 博士(歯学)
1993年 英国グラスゴー大学歯学部(Prof. Denis F. Kinaneに師事)
1996年 岡山大学歯学部助手
1999年 明海大学歯学部講師
2006年 明海大学歯学部助教授
2007年 奥羽大学歯学部歯科保存学講座歯周病学分野教授(~現在)
日本歯周病学会常任理事(口腔インプラント委員会委員長)、日本歯科保存学会常任理事、日本顎咬合学会指導医、米国歯周病学会(AAP)国際会員、国際歯科研究会(IADR) 会員
【主な研究領域】
歯周病学、歯内療法学、口腔インプラント治療学、国際英語論文 49編
【主な著書】
高橋慶壮「考えるペリオドンティクス -病因論と臨床推論から導かれる歯周治療-」(クインテッセンス出版2018)、高橋慶壮 「考えるエンドドンティクス ―根管形成と根管充塡の暗黙知と形式知―」 (クインテッセンス出版2015)、高橋慶壮 「歯内療法における臨床思考の技術」(デンタルダイヤモンド社2014)、高橋慶壮 「歯周治療 失敗回避のためのポイント33~なぜ歯周炎が進行するのか、なぜ治らないのか~」(クインテッセンス出版2011)、高橋慶壮、吉野敏明 編著「エンド・ペリオ病変の臨床 歯内-歯周複合病変 診断と治療のストラテジー」(医歯薬出版2009)、 高橋慶壮 「歯内療法 失敗回避のためのポイント47~なぜ痛がるのか、なぜ治らないのか~」(クインテッセンス出版2008)、平井 順、高橋慶壮 「臨床歯内療法学 -JHエンドシステムを用いて -」(クインテッセンス出版2005)
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