小島歯科医院 名誉院長ブログ

有料老人ホームみどり

2016年09月13日(火)


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 13日(火)4時30分から5時30分まで有料老人ホームみどりにてレジュメとパワーポイントを使って「口腔ケアについて」をお話ししました。看護師、介護職員など7名が仕事の合間を縫って参加しました。歯の無い方の口腔や舌の清掃の仕方と入れ歯に関する質問もありました。今後、施設スタッフとの共通理解が深まり、入居者さんの口腔管理に役立てば幸いです。

 

レジュメ
 【歯科訪問診療の対象者】
    1.自宅など居住地であること
    2.通院が困難であること
    3.依頼があること   が必要。
A.日頃の口腔ケアを適切に行うポイント
 a.口腔ケアとは
  1.本人・家族・介助者の口腔清掃
      うがい、歯磨き、義歯の清掃、粘膜・舌の清掃
  2.歯科衛生士による専門的な口腔ケア
   ①治療的なクリーニング(器質的な口腔ケア)
   ②口腔機能回復(機能的口腔ケア)
      リラクゼーション(脱感作)、口腔周囲筋の運動訓練、
      咳嗽(せき払い)訓練、嚥下促進訓練、発音・構音訓練 
 b.口腔ケアの効果
  1.誤嚥性肺炎のリスク回避
  2.風邪・インフルエンザのリスク回避
  3.食べる意欲の改善
  4.栄養状態の改善(MNAスコア)
  5.認知症予防
 c.ポイント
   ・プラークと食物残渣は違う。
      前者は清掃の問題、後者はリハビリ。
   ・麻痺側、使わない方が汚れる
      口から食べていない経管栄養の方が汚れる
      食べなくても清掃する
   ・うがいができるかどうかは口腔ケアの難易度の大きな目安
   ・下唇がスイッチ、上唇が1回量
   ・胃ろうでも誤嚥性肺炎は起きる
      唾液は呑みこんでいる
   ・舌を口唇より前に出せない人は、下の総義歯を使えない
   ・入れ歯の効果
     上の入れ歯入れるだけ唾を呑み込みやすくなる
     入れ歯を上下入れて奥歯がしっかり咬めると、
      お腹に力が入り上体を起こしやすい

 d.本人(介護者)が行うセルフケア
   ・誤嚥させない
   ・口腔ケアはできるだけ痛くないように気持ちよく
   ・保湿が大切(特に口唇)オーラルバランス等を利用する
   ・前歯部は鋭敏なので奧から歯ブラシを当てる
 e.ケアしやすい姿勢と高さ
   ・座位が取れる方はその姿勢で
   ・ベットの方は背中を30~60度ぐらい少しずつ上げ、
     膝を軽く曲げ、身体が足元へずれていかないように工夫する
   ・全くの寝たきりの方で、ヘッドアップに危険性があり水平位で
     行う場合は誤嚥に特に注意し、健側を下にする
   ・術者の腰に負担のかからないように高さを調整する
 f.口腔ケアに伴うリスクの管理
    奧から手前への清掃が基本
    誤嚥を防ぐために姿勢が大切。口の健常側を下にする
    舌の観察 舌苔、地図状舌、舌下部静脈
    誤嚥は始めに起こりやすいので、10分以上前から口腔ケアの体勢を整えておく
    食後30分ほど座位を保つ 直ぐに寝かせない
 g.歯科医師、歯科衛生士が行う専門的口腔ケア
 h.口腔ケアグッズ
   口角鈎
B.口腔内状態と口腔機能
  a.歯肉
   1.歯肉炎
   2.歯周炎
     ①腎疾患
     ②糖尿病
  b.舌
   ・舌苔は積もった状態ではなく、舌乳頭が伸びてブドウ球菌が付着したもの
   ・ガンジダは抗真菌薬(フロリードゲル)
   ・地図状舌 ストレス
   ・舌静脈  
  c.口臭
   ・朝起きた時は誰でも口臭があるが、食事をすれば消える。唾液で洗い流される。
  d.口腔乾燥
   ・安静時唾液分泌は低下するが、刺激時唾液は変わらない
   ・咀嚼刺激が唾液分泌を促す
   ・補綴治療でしっかり咬めれば唾液は減らない
   ・加齢によって味細胞は減らない
   ・唾液分泌によって味刺激を可能とし、味覚により唾液分泌を促す
  e.口腔機能
    ・舌打ち、舌による口蓋の海苔剥がしなど
    ・ぶくぶく、ごろごろのうがい
    ・パタカの発声やアウベ体操
    ・食事時の姿勢
C.口から食べる支援と口腔リハビリ
  a.誤嚥性肺炎
   1.原因が食品なのか唾液なのかを区別する
   2.唾液誤嚥
         口腔ケアにより衛生状態を改善(対症療法)
         末梢刺激による機能回復への期待      冷水刺激
   3.食物誤嚥
     ・嚥下筋の筋力・緊張低下
     ・咀嚼力の回復は嚥下力の回復ももたらす
   4.嚥下と呼吸の協調性低下
    ①口呼吸になると誤嚥の問題が生じる
    ②呼吸が速く、嚥下に時間がかかるので、
      (特に男性は喉頭が重く下がっている)
       嚥下後に吸気になる割合が高まり誤嚥しやすくなる
  b.口から食べるために
   1.要介護者の食生活
   2.姿勢を整える
    ①上肢を使用できる安定した座位姿勢
     ・骨盤を左右対称に
     ・重心を座骨に(尾骨ではない)
       *円背の時にずり落ちる
     ・両足底を接地する
     ・麻痺側上肢を机上に置く(麻痺側体幹の短縮防止)
    ②頭頸部が軽度に前屈
     ・飲み込みやすい首の傾き
       口角と耳珠を結んだ線が下向き
       送り込みに苦労する場合は水平に近づけるが、逆向きにしてはいけない
     ・「介助」で食事姿勢を作る
   3.口を閉じて嚥下する
    ・上唇を育てる ストロー→ コップ飲み、風船の膨らまし
    ・上顎前歯があれば上唇の筋は鍛えられる
      上顎だけでも義歯を入れる。
      舌が上下、左右に動くようになってから下顎の義歯を作る
  c.口の働きの発達

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