歯の移植(セカンドオピニオンを求められて)
2011年12月11日(日)
前医にてインプラントを勧められ、セカンドオピニオンを求めて来院。口腔内の状態を観察し、不安や疑問点などの話をよく聞き、患者さんが抱える悩みの本質を確認し、共感する【カウンセリングの4つの基本姿勢(観察、傾聴、確認、共感)をとる】。そして、違った角度からの治療法やそれぞれの利点と欠点などの情報を提供し、選択肢の幅を広げて、自分自身で冷静によく考える時間と家族などに相談できる環境を整えてあげる。また、現在の口の中の状態や問題点をもっと明確にするための検査と保険歯科治療の適応について説明する。
患者 31歳女性
初診 2011年10月20日
主訴 前医にてインプラントを勧められ、セカンドオピニオンを求めて来院
現症 左下7番は咬むと痛い、動揺あり
左下7番は歯根破折
周囲歯肉はわずかに赤く腫れている
治療計画 左下7番抜歯時に左上8番を移植する治療方法も提案する
経過
10/20 肉眼所見のみの診察で、1時間以上話を聞く
移植(医療保険適応)の話もする
10/26 パノラマX線写真の7番周囲骨吸収像から
破折後かなり月日が経過していることや
周囲歯肉が弱くなっていること
そして左下7番と左上8番の歯根形態が近似していることを説明する
10/31 歯周基本検査にて7番以外はプロービング時の出血はあるものの
4mmを越えるプロービングデプスがないことを確認
赤染めによるブラッシング指導とクリーニング
歯ブラシ圧が多少強い以外にテクニックにほとんど問題なく、
ワンタフトブラシで細かな部位を練習する
11/7 左下7番抜歯時に左上8番を移植する
縫合した糸を利用して移植歯を縫合固定する
歯周パックで創傷部位を覆う
11/8 痛みなく、周囲歯肉に腫脹なし
デンタルX線にて移植歯と周囲を確認
11/19 パックを外し、抜糸する
ほとんど動揺なく、食事にも支障がない
周囲歯肉にわずかに腫脹があり、プラークも多いので、
ブラッシングの徹底を指示する
移植歯の感染根管処置を開始する
12/5 移植歯に根充する
デンタルX線にて移植歯と周囲を確認
周囲歯肉は良好だが、もう暫く様子を見て歯冠修復の予定
2012年
1/23 FCKを装着する
2014年
2/17 2年後、問題なく機能している
周囲歯肉に炎症症状は見られない
近心側歯根膜の拡大が認められ、咬合性外傷が疑われる
参考に
歯科衛生士のためのヘルスカウンセリング
kojima-dental-office.net/19990516-2823#more-2823
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