小島歯科医院 名誉院長ブログ

口腔ケアの理論と実際

1998年03月06日(金)


第25回定期総会記念講演
講師 柴田浩美
日時 1998年3月6日(土)午後5時から7時まで
場所  金沢都ホテル加賀の間
主催 石川県保険医協会
 3月6日(土)午後5時から7時まで、金沢都ホテル加賀の間において、第25回定期総会記念講演が開かれた。テ-マは、「口腔ケアの理論と実際」で、講師には栃木県立衛生福祉大学校講師でグ-・ハウス代表の柴田浩美先生をお招きした。
会場には、週末の疲れにもかかわらず、医師、歯科医師、看護婦、歯科衛生士、介護福祉に携わる方々など約100名が集まった。先生の話に頷き、メモをとりながら、熱心に話に聞き入り、真剣な空気が流れていた。
 「口腔ケア」とは何だろう。口腔をケアすることだろうか。今まで歯が痛いなど直接的な口の中の問題を解決することと考えられてきた。もう少し進んで、そうならないための予防までとしてきた。疾患を対象としてきた。
 柴田先生によると「口腔ケア」とは口腔のケアを意味するものだ。歯が痛いから食べられない。そうすると食べる意欲も減退し、ADLも低下する。そして、起きる意欲もなくなり、さらに痴呆がひどくなる。口腔の状態や問題からダメ-ジを理解し、軽減する関わりを「口腔ケア」と言う。口腔の対応のみではない。要するに全身のダメ-ジの原因が口であれば、それはすべて「口腔ケア」として対応しなければならない。心理的な対応も含まれてくる。「何も食べたくない。」という場合も「口腔ケア」の関わりが出てくる。
 歯の痛みを取り除き、義歯を入れる事だけが「口腔ケア」ではない。無歯顎の模型から同じ総義歯を作る。40代、60代、80代も同じ義歯でいいのだろうか。左側麻痺でも同じだろうか。「口腔ケア」は、見える範囲の対応だけでなく、もっと深い人間性に触れるものである。
  「口腔ケア」はコミュニケ-ションに支えられて生まれてくる。食事のあとに食べかすが残る。若い人の汚れとは違う。食べ物そのものが残っている。綺麗にしてあげることだけが「口腔ケア」ではない。何処に問題があるのか。ニ-ス゛を発見し、ケアプランを立てる。綺麗にする能力を身につけることが目的となる。リハビリテ-ションブラッシングや舌体操が必要になる。
 講演後、柴田先生を囲んで、医師、歯科医師を交えながら懇親会が開催された。介護や摂食について話が盛り上がり、秋に再会することを約束してお開きになった。

秋の講演会
摂食の理論とアプロ-チ
kojima-dental-office.net/19980912-2723
摂食の基本と実習
kojima-dental-office.net/19980914-2725#more-2725

参考文献 摂食の基本とリハビリテ-ションブラッシング 1996年 医歯薬出版
          口腔ケアのキ-ワ-ド                       1998年 グ-・ハウス

講師 柴田 浩美
     プロフィ-ル 1950年 栃木県に生まれる                           1971年 栃木県立衛生福祉大学校卒業
            1974年 肢体不自由児歯科診療所勤務
            1983年 米国コロラド州立ボルダ-大学留学
                              「 障害児者に対する歯科診療システム」など研修
                        1985年 米国ペンシルバニア州フィラデルフィアのDr.アル                 バムのもとで研修、帰国
                        1986年 栃木県衛生環境部医務課嘱託
            1987年 障害児者の個別指導を中心とした発達相談を始める
            1995年 オフィス「グ-・ハウス」開設、その代表となる

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