小島歯科医院 名誉院長ブログ

内灘町保育士会2018

2018年08月09日(木)


001口腔機能の発達に応じた食事提供、保育の展開について
講師  小島歯科医院 名誉院長  小島登
日時  2018年8月9日(木)18:00から19:30
会場  内灘町役場1階101会議室
対象者 保育士 約50名 
主催  内灘町保育士会
 レジュメ

メモ
002  保育士会から依頼があり、10年ぶりに内灘町で開催することになった。以前より民間が増え公立の保育園が少なくなったため、内灘町の職員研修としては参加者が少なくなった。かほく市からも参加していた。レジュメに添って、パワーポイントを使い解説した。 これからお話しすることは、現段階で自分が知り得たこと。常に「未完成」だと思っている。新しいことを受け入れる柔軟性は必要。しかし、これがすべて正しいとは限らないし、今後異なる事実や意見が出てくることもある。一つの意見に凝り固まることなく、地道に記録を残し、経過を観察することが大切。
 参考に
内灘町保育士会2009
kojima-dental-office.net/20090806-612#more-612
 ぶくぶくテスト
kojima-dental-office.net/20180816-4330
質問
(1)家庭で歯磨きを嫌がる低年齢の場合、無理にでも歯磨きをしたほうがよいのでしょうか? 他にできる対処があれば知りたいです。
 ・本来歯磨きは気持ちのよいもの、嫌がるのはほとんどの場合痛いから。
  力を抜いてハブラシしましょう。
  特に、原始感覚系の強い敏感なお子さんは気をつけましょう。
 ・敏感な前歯を避け、奥歯それも噛む面からハブラシを当てましょう。
 ・小帯にハブラシが当たらないように指でガードしましょう
 ・唾液が一番多くでる食後に奥歯の歯の間をフロシングしましょう
(2)乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきた場合、将来歯並びなどに影響はありますか?その場合、受診を勧めた方がいいですか?
 ・スペース不足への対応が大切です。
 ・スペース不足であれば、乳歯を抜いても永久歯の歯並びは変わらない。
 ・現状の把握と原因の理解のために歯科受診を勧めましょう
(3)噛む力が及ぼす心身への影響は?
 ・噛む力は結果として表れるものなので、原因は何かを見極めましょう。
(4)離乳食の進め方について、月齢と歯の数に差があった場合、どちらを基準に進めたらよいか?
例)1歳になっても歯があまり生えていないが、後期食にすすめてよいか
 ・歯は一つの要素。月齢を基本とし、歯数も考慮しましょう。
 ・ごっくんした後に口の中に食べ物が残っていないか確認しましょう。
  残っていれば、その食べ物を食べる働きが整っていないか、介助のスピードが速い。
(5)虫歯等で咀嚼ができない子に普通食を与えてよいか?
 ・食べられれば大丈夫です。食物残渣があればひと工夫が必要です。
 ・それよりも歯科受診を勧める。ネグレストなどの養育にも注意が必要です。
 ・食べやすい糖質が多くなり、タンパク質が少なくなるので発育に問題も生じやすくなります。
 ・残存歯数が少なくなると、唾液量も少なくなり、虫歯が余計にできやすくなります。
(6)歯の発達と発音は関係があるか?
 ・舌の働きが発音に影響を与えます。
(7)言葉がでない子にはどのように発音や舌の動きを正確に確かめたらよいか
 ・発達障害が疑われるのではないかと思います。発達障害は成長段階に合わせたアプローチがあるので、専門の機関への受診を勧めします。
ちなみに、石川県言語聴覚士会のホームページ
st-ishikawa.com/about-st/

アンケート結果
 参加者  56名 (内灘町 40名、 かほく市 16名 )
 回答数  50
①性別 (男 1  ・女 49  )
②年齢 (20代 24 ・30代 7 ・40代 13 ・50以上 6 )
③現職種 ( 施設長 4 ・ 保育士 34 ・ 保育教諭 3 ・
       看護師 3 ・ 調理師 1 ・ 栄養士 4 ・ )
④現職種経験年数
( 3年未満 17 ・ 3年以上~5年未満 5 ・ 5年以上~10年未満 8 
 ・ 10年以上~20年未満 13 ・ 20年以上 7 )
今回の研修会の評価をお願いします。(該当するものに○をつけてください)
(大変参考になった 50  ・どちらともいえない 0 ・参考にならなかった 0 )
今回の研修で学ばれたこと、ご意見・感想をお聞かせ下さい。
・舌と歯の関係が分かった。離乳食の大切さも分かったので良かった。(50代以上調理師)
・口の動きが大切だと思った。もっと早く聞いて、息子の口の中もしっかり育ててあげられればよかった。残念です。(40代保育士) 
・好き嫌いは、18歳で決まることにびっくりした。虫歯予防で歯磨きが大切だと思っていたが、食べ物も関係があると再確認した。今後の保育で座る姿勢や食べ進め等を改めて気を付けていきたい。また、保護者とも共有していきたい。(20代 保育士)
・知らないことが沢山あり、よく学ぶことができた。(20代 保育士)
・生活する中で子どもの口腔内について深く考えたことがありませんでした。今回の研修で細かい部分まで知ることができました。偏食(嫌いな物)が多いと考えるよりも、まだ食べられないという考えを持つことで、食事の余裕が出るなと思いました。(20代 保育士)
・2歳児を担当しているのですが、食に関することや口の中のことを知ることができて良かったです。担当している子どもの姿と重なる事例が多く、「ぽかん口」の子、よく噛めない子はよくいるので、きちんと筋肉が動いているか確認してみようと思います。ありがとうございました。(20代 保育士)
・日頃の保育の中で、子どもの一口の量や噛む回数がきになっていたので参考になった。(20代保育士)
・子どもの発達のポイントによって、大切にしなくてはならないことがあり、そのひとつひとつを分かりやすく学ぶことができたと思います。写真やイラストなどがよく分かり、なるほど!と思うことが多くあったし、成長と共にこれが必要だったのか・・と改めて学べたので有り難かったです。今後、保護者からの質問に対し、自信を持って答えられそうです。ヒントを沢山いただきました。ありがとうございました!(施設長)
・0歳児での食事の様子などを見て、子ども達の食べ方を観察し、食事を見直したりすることが、園ですぐにできると思った。また、手づかみがなぜよいか、離乳食の進め方、食事で気を付ける点など、保護者にきちんと伝えられるのではないかと思った。とても参考になり、有難うございました。(40代 保育士)
・口腔機能の獲得において、授乳時のアイコンタクトから深く関係していることは知らなかった。保育をするうえで、手づかみ食べを大切にしていくことが、重要なことを再認識できた。口からベェーと出すものを単に苦手と決めつけるのではなく、咀嚼のしかたや歯を観察、把握し、問題点に気付いたうえで援助していきたいと思った。(30代 保育士)・最近の子どもの歯科の現状を知り、ミカンが怖いという子どもがいるという、こんな話を知り、びっくりです。私は、年齢が高いので、自分の子供時代と違う現実。(50代以上 看護師)
・咀嚼について「よく噛んで食べようね」としか声かけができなかったが、なぜ出来なかったのか、理由原因を知ることができた。また、大切なことは噛むだけではなく、姿勢、環境が大切だと学ぶことができた。(20代 保育士)
・離乳食開始の時期をよく保護者の方から聞かれたので学べてよかった。本当に勉強になりました。(20代 保育士)
・とても分かりやすく、離乳食、口の発達など、勉強になりました。園でも取り入れたり、いろんな情報を保育士さんや保護者の方に伝えていきたいと思いました。(40代 栄養士)
・スプーンで子ども達の口に食べ物を運ぶ時に、よく私自身がすぐにスプーンを動かしてしまっていたが、子どもの下唇にのせたら、子ども自身が上唇を動かすまで待つことが必要だと学べた。今日はありがとうございました。(20代 保育士)
・口腔機能についての知識が乏しいことを実感しました。なかなか学習する機会がないので参考になりました。(30代 栄養士)
・知りたかったことが全て聴くことができたので良かったです。口・歯のことなど、研修があまりないので、また、機会があったらよいと思います。(50代以上 保育士)
・保育者としても子を持つ親としても有り難い内容であったと思い、早い時期に出会いたかったです・・。子育て世代の方々に、ぜひ学んでいただきたい内容だったように思います。関心はあることと思うので・・。とても丁寧で分かりやすく良かったです。ありがとうございました。(50代以上 保育士)
・手づかみ食べが重要だと再確認できました。園でなかなか上手にたべられない子が多いので参考にします。(40代 看護師)
・手づかみ食べは一回量を知るための大切な経験だということや、子どもが口に入れたものを吐き出す時は、嫌いな食べ物なんだと思うのではなく、まだこの子には、この食べ物を食べられる働きがないんだと思うことなど、とても為になるお話ばかりでした。(20代 栄養士)
・食事を作ったり、献立を作ったり、食べている様子を見るだけで、口の中までは、そこまで気にしたことがなかったけど噛むことの大切さや舌やあごの使い方など、小さい時こそ大切なんだと思いました。自分が結婚して子どもができた時参考にしたいと思いました。ありがとうございました。(20代 栄養士)
・0歳児の食事の時に、いつも口から食べ物を出す子がいたが、嫌いではなく、まだ食べられるようになっていないからということが分かった。しばらくすると、食べられるようになっていたので、なるほどな・・と思った。自分が子どもができた時にただ食べさせるのではなく、上唇下唇の発達のことも考え食べさせたい。(20代 保育士)
・月齢ごとに何の時期なのか、サインなども詳しく聴けたので、とても参考になりました。また、歯磨きのしかたも知ることができて、よかったです。ありがとうございました。(20代 保育士)
・年齢によって食事(離乳食)をあげ、大人と同じ物を与えてしまうのは良くないことが分かった。保護者に分かってもらえるか分からないが、伝えていけたらと思います。(40代 看護師)
・1時間半で、おさめるにはもったいないくらい、濃い内容がぎっしりのお話だったと思いました。丁寧にお話いただきありがとうございました。(40代 保育士)
・口腔機能の発達では、舌の動きがとても重要であるということを知り、担当している子の咬筋を確かめてみようと思いました。飲み方が下手で、上を向いてしまっていたので、コップ飲みを正しく練習して嚥下が上手にできるように家庭と相談していこうと思います。言葉がでない子にはどのように発音や舌の動きを正確に確かめたらよいか聴きたかったです。本日はありがとうございました。(20代 保育士)

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