小島歯科医院 名誉院長ブログ

6.8.26.

2024年08月26日(月)


【1】全身麻酔の抜歯手術で17歳生徒死亡 歯科医師2人書類送検
【2】子どもの近視に予防の可能性 外遊び2時間で発症減
【3】人間組織は「ゴリラ社会」から「サル社会」になりつつある
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【1】全身麻酔の抜歯手術で17歳生徒死亡 歯科医師2人書類送検
   気管から酸素チューブ外れたか 業務上過失致死の疑い  
 (YAHOOニュース2024.8.26.)
news.yahoo.co.jp/articles/70b06d36ff657575077d03773f590c96226833f7
  大阪府堺市の歯科診療所で2023年7月、特別支援学校に通う17歳の男子生徒が全身麻酔で親知らずを抜く手術中に心肺停止となり、約1か月後に死亡した問題で、警察は26日、手術を担当した歯科医師2人を業務上過失致死の疑いで書類送検したと発表しました。
業務上過失致死の疑いで書類送検されたのは、堺市にある「重度障害者歯科診療所」の所長の男性歯科医師(55)と、当時勤務していた女性歯科医師(34)の2人です。
 診療所の報告書によりますと、2人は2023年7月、特別支援学校に通う富川勇大さん(当時17)の親知らずを抜く手術で全身麻酔を行いました。通常、全身麻酔を行う場合、自力で呼吸ができなくなるため、チューブを鼻から気管に通して直接、肺に酸素を送る必要があります。
 しかし、警察によりますと、このチューブが誤って気管から外れて、肺に酸素が送られていなかったということです。
 勇大さんは、麻酔開始直後に通常なら96%以上とされる血中の酸素飽和度が変動し、最終的には20%台にまで低下。約1時間15分後には心肺停止状態となり、病院へ運ばれたものの、意識が戻らないまま、低酸素虚血性脳症で約1か月後に亡くなりました。
 勇大さんは搬送時、腹部が異常に膨張していたということです。
 警察は2人がチューブが気管から外れていたことを確認しなかった上、男性医師は救急搬送の要請が遅れた過失で勇大さんを死亡させた疑いがあるとしています。
 診療所は遺族に対し、「判断ミスだった」として謝罪したということですが、具体的な説明はなかったといいます。
■勇大さんの父親は「体の不自由な方が治療を受けられる数少ない場所、二度と起こさないために対策を」
 亡くなった富川勇大さんの父親は2023年12月に取材した際、「(手術を受けた診療所は)体の不自由な方が治療を受けられる数少ない場所だと思っている。二度と同じような事故を起こさないためにきっちりとした対策を考えてもらいたい」と話していました。
 2人は当時、勇大さんに異常が生じた原因を別の「気管支けいれん」と疑って処置していて、男性医師は調べに対して「気管支けいれんと判断したこと自体はミスではなかったと思う。ただ、喉頭展開(正しくチューブが挿入されているか目視すること)するなどして、チューブの位置異常がないか当時確認しなかったことがミスだと思っている。救急要請が遅れたのは私のミス」と話しているということです。
 また、女性医師は「当時は気管支けいれんの処置に固執してしまった。気管支けいれんの処置が効かずに改善されないのであれば、途中でチューブの位置異常や食道挿管を疑って喉頭展開できればよかったと思っている」と話しています。
 警察は検察に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けています。
【2】子どもの近視に予防の可能性 外遊び2時間で発症減
 (日本経済新聞2018年1月15日)
www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO24824350Z11C17A2000000/
 「近視は、一部の病的近視を除いて病気ではない」――。これまでは、日本の眼科医も含めて、こうした認識が一般的で、積極的に治療する研究などもあまり進んでいなかった。近視は学齢期には進行するが、ある年齢になるとほとんど進まなくなると考えられてきたからだ。しかし近年、そうではないことが分かってきた。近視が進行して視覚障害になる人が増えていることが明らかになってきているのだ。いまや、「たかが近視」と軽視できない状況を迎えている。
 こうした事態を背景に、眼科医の間にも危機感が広がり始めており、近視の予防に関する研究にも力が入るようになってきた。いま、近視予防の研究者の間で注目されているのは、「外遊びの時間が長い子どもは、近視の発症率が低い」という事実だ。
 近視は、環境因子と遺伝が関わって発症するのだが、環境が同じならば、両親とも近視の子どもは、片親だけ近視の子どもや両親とも近視でない子どもに比べて近視になりやすいことが分かっている。しかし米国の研究で、両親が近視であっても、1日2時間超外遊びをする子どもはほとんど外遊びをしない子どもに比べて、近視の発症率が3分の1以下に減っていたのだ。
 ほかにも、勉強やパソコンやスマートフォンなどの近くの画面を見続けるなどの近くを見る作業(近業作業)の時間が長いと近視のリスクが高まるが、1日2.8時間以上屋外活動をしている児童は、近業作業の時間の長さに関わらず、近視リスクが抑制されていたという研究報告もある。
 その一方で、外遊びの要素の一つとしての運動と近視の関係についての研究から、屋内活動は近視のリスクを減らす効果が少ないことも分かっている。こうしたことから、外遊びの要素の中で、太陽光が近視抑制に重要な働きをするのではないかと考えられるようになってきているわけだ。
 参考に
①子どもの視力を守るための習慣
 (外あそび推進の会2023.08.16)
kodomo-sotoasobi.com/shirumanabu/kiko-kinshimechanism/#:~:text=%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82-,%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E8%A6%96%E5%8A%9B%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%BF%92%E6%85%A3,%E3%81%A7%E8%A8%BC%E6%98%8E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
 近視の予防には両親の近視の有無にかかわらず、一日2時間以上の屋外活動を行うと近視発症の確率が抑えられることが複数の研究で証明されています。
②1日2時間の屋外活動で近視を予防!
  最新事情[東京医科歯科大学の五十嵐多恵先生監修]
 (学研こそだてマップ2023.3.8)
kosodatemap.gakken.jp/life/health/48322/
 屋外の明るい環境で過ごす時間が長い子どもほど近視になりにくく、近視が進行しにくいことがわかってきた。屋外活動が近視を抑制するメカニズムで、有力なのは「光誘導性ドーパミン仮説」。強い光が目の網膜に達すると、網膜内で光誘導性ドーパミンという物質が放出され、これが近視の進行を抑えるのではないかと考えられている。
 近視対策の屋外活動は、太陽の光を直接浴びるということではない。重要なのは光の明るさで、1000~3000ルクス(*)程度の場所。屋外なら、晴れた日は10万ルクス、 曇りや雨の日でも1万~2万ルクスの明るさがある。つまり、炎天下の日なたに出る必要はなく、日陰でもよいし、庭やマンションのベランダに出るだけでもよい。むしろ夏場は、熱中症や日焼け対策を十分に行ったうえでの屋外活動。強い日差しのもとでは、帽子やサングラスなどで光をさえぎっても、目には2000ルクス近い光が届く。
 目標は1日2時間の屋外活動。2時間連続して行う必要はなく。トータル2時間、が目安。たとえば30分ずつ4回に分けてもよい。仮に2時間に満たなくても一定の効果は得られる。
【3】人間組織は「ゴリラ社会」から「サル社会」になりつつある
 (メディカルトラスト2022.03.09)
www.medical-tt.co.jp/column/320/
 京都大学の前総長でゴリラ研究の第一人者でもある山極寿一氏の著書「サル化する人間社会」。人間社会は「サル化」していると指摘。
 サル社会は、「上下関係」「優劣」「勝ち負け」がハッキリとしている。コミュニケーションせずとも上下や優劣が分かっているため、愛想笑いを利用して最初から敵対を避ける。その結果、その場に応じて判断していくのではなく、ある定まった関係(サルだと強い・弱い)に基づいて物事を判断してしまうようになる。その例として、「食物があったら強い者がとる」というルールがニホンザルにはある。強いか・弱いかだけで、誰がとるかを決めてしまう。動物園のニホンザルが餌を掴むとその場を即座に離れ、自分ひとりの場所で食べる。その『ルール化』に人間の社会もなりつつある。これを煮詰めていくと、「正解でなくても、叱られなければ良い」という思考停止に陥ってしまう。実際、そのような考え方は若い人に広がっているように感じられる。
 相対するのがゴリラの社会。ゴリラの社会には「優劣」がない。群れのリーダーがメスや子供と食物を分け合うのはごく「当たり前」のことで、しかも「向き合って食事をする」。ゴリラ社会はサル社会と違い、子供やメス同士が喧嘩になったとき、第三者はどちらに加勢することもなく介入に入り、その喧嘩に「勝ち」も「負け」もつけない。
 サルとゴリラの違いは「リーダー像」にも当てはまる。サルは「地位」にアイデンティティを持っている。自分の地位を脅かそうとする相手を徹底的に排除する。それも、力や地位を利用した方法を取る。
 一方、ゴリラ社会にはサルのような序列はなく、リーダーの仕事は喧嘩の勝ち負けを判断することでなく、双方を対等に招き決着させる。ゴリラのリーダーは「自分の役割」にアイデンティティを持っている。体の小さいゴリラやメスや子供に食物を与えるのは当たり前の自分の役割であって、優劣だとは考えていない。
 人間がゴリラから受け継いだことは ,「体の大きい・小さいだけに関わらず , 状況に応じたお互いの関係が変化する中で , 判断をする」ということ。行きすぎた序列でメンバーを思考停止させるのか、相手の立場に立って物事を考えられるメンバーを育成するのか。リーダーが目指すべき方向は明らか。
 山極寿一著 「サル化」する人間社会
www.shueisha-int.co.jp/publish/%E3%80%8C%E3%82%B5%E3%83%AB%E5%8C%96%E3%80%8D%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA%E9%96%93%E7%A4%BE%E4%BC%9A

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