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2022年歯科診療報酬改定に向けた主な検討内容

2021年09月16日(木)


9/15 第1グラウンドの議論終了までの中間整理
(1)コロナ・感染症対応(7月7日中医協総会にて検討)
(2)在宅歯科医療(8月25 日中医協総会にて検討)
(3)歯科医療(8月4日中医協総会にて検討)
(4)個別事項(歯科用貴金属の随時改定)(7月21 日中医協総会にて検討)
  中医協総会
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html
 9月15日中医協資料
www.mhlw.go.jp/content/12404000/000832937.pdf
(1) コロナ・感染症対応(7月7日中医協総会にて検討)
ア.現状と課題
 • 感染症対策については、これまでの診療報酬改定において、経験のある医師や看護師の配置や、医療機関における研修、質の高い診療を実施できる医療機関とのカンファレンスの実施などによる取組を評価することにより、推進してきている。
 • これらの医療機関への財政的支援については、緊急包括支援金等によって、かかり増し経費に加え、医療機関における病床の確保や休床に対する補助も含め、多方面からの支援を講じてきているほか、診療報酬においても、新型コロナウイルス感染症患者の診療において生じる追加的な手間等を適切に評価するための特例等を設けている。また、診療報酬においては、新型コロナを受け入れている医療機関等において、人員配置の変更に係る柔軟な対応や、実績要件の緩和等の措置も講じてきている。
 • さらに、令和3年4月には、施設基準のうち、令和2年度診療報酬改定によって変更となった患者の診療に係る実績要件や、手術等の診療実績についても、新型コロナの診療に携わる医療機関に大きな影響が生じないよう、特例措置を講じつつ、その措置による影響については、医療機関から報告を求めることとしている。今後は、医療経済実態調査や関係学会による診療実態調査も予定されている。
イ.論点
 ・ 現行の特例措置の効果検証等も踏まえつつ、今後の新型コロナウイルス感染症対策のあり方について、どのように考えるか。
ウ.主な意見
 ・ 医療機関や薬局における初・再診料や入院への加算については、今後、新型コロナウイルス感染症が収束した場合であっても、医療機関では今後も感染症対策を万全にしていくことを考慮すれば、基本診療料に包括することも含めて継続すべき。
 ・ 新型コロナウイルス感染症患者等の診療に係る診療報酬上の特例的な評価が行われているが、コロナ終息後も感染症対策が必要であることを考慮した評価を検討すべき。
 ・ 感染症対策が実施可能な医療機関をさらに増やすため、感染防止対策加算の要件の在り方について検討が必要。
 ・ 診療報酬における特例的な対応は、現場での負担に鑑みれば必要であるが、実際にかかっている費用も含め、その評価は定量的な根拠に乏しいため、効果の検証が必要。
 ・ 診療報酬における特例的な対応として減収補填的な評価を行うことには反対。診療報酬は、診療への対価ということが大原則であり、補助金や交付金と診療報酬との役割分担を明確にする必要がある。

(2)在宅歯科医療(8月25 日中医協総会にて検討)
ア.現状と課題
 ①在宅歯科医療を取りまく状況
 ・歯科訪問診療を実施している歯科診療所数は微増傾向。
 ・在宅療養支援歯科診療所について、地域における連携を推進する観点から、機能に応じて評価しており、連携機能を強化している在宅療養支援歯科診療所1は増加傾向。
 ・歯科訪問診療等を実施していない理由は、在宅療養支援歯科診療所では「歯科訪問診療の依頼がないから」、それ以外の歯科診療所では「歯科訪問診療に当てる時間が確保できないから」が最も多かった。
・ 新型コロナウイルス感染拡大による影響を踏まえた歯科訪問診療を行う際の対策として、使用する感染防護具を増やすなど対応を行っている。
 ②在宅歯科医療の診療報酬上の評価について
 ・在宅歯科医療を推進する観点から、歯科訪問診療料の見直しや外来受診していた患者について、かかりつけ歯科医が継続的に歯科訪問診療を実施した場合の評価など、評価の充実を行っている。
 ・歯科訪問診療料の算定回数は増加傾向にあり、特に歯科訪問診療2の増加が顕著。
 ・歯科訪問診療1及び2と比較し、歯科訪問診療3は 20 分未満の割合が多い。
 ・歯科訪問診療料を算定した患者における、口腔機能の評価に基づく継続的な歯科疾患の管理について評価の充実を行っている。
イ.論点
 ・患者のニーズにあわせた歯科訪問診療を推進するために、近年における診療報酬改定の内容を踏まえ、どのような対応が考えられるか。
ウ.主な意見
 ・歯科訪問診療を実施している医療機関は少なく、地域差も大きい。必要な機材や人材の不足への対応、ICT の活用も含め、歯科訪問診療の体制構築を推進するとともに、広く他職種や国民に認識される工夫を検討すべき。
 ・感染対策や診療内容に合わせた器機の準備など訪問歯科診療は手間と時間がかかることを踏まえて、評価を検討すべき。
 ・在宅で療養を行っている患者に対する口腔機能管理について、評価の在り方を検討すべき。
 ・小児への歯科訪問診療も推進すべき。重度心身障害児施設も重要だが、児童養護施設入所者への対応を検討すべき。
 ・歯科訪問診療の回数が増加するよう、かかりつけ歯科医機能強化型診療所や在宅支援歯科診療所の施設基準の見直しについて検討すべき。
 ・在宅療養支援歯科診療所の施設基準は、歯科訪問診療が未実施の小規模な歯科医療機関が参入しやすくなるような工夫も必要。
 ・要介護高齢者は受診につながっていないため、その要因を検証するとともに、要介護高齢者を訪問歯科診療につないでいく多職種連携が必要。
 ・薬局から歯科に情報共有を行うなど、歯薬連携の推進を検討すべき。
 ・新型コロナウイルス感染症の影響は、長期的な影響も含めて精査すべき。

(3)歯科医療(8月4日中医協総会にて検討)
ア.現状と課題
 ①地域包括ケアシステムの推進について
 ・歯科保健医療ビジョンにおいて、地域包括ケアシステムを推進する観点から、専門分野に応じた歯科診療所間の役割分担等により、機能分化を図ることとされている。
 ・歯科保健医療ビジョンではかかりつけ歯科医に求められる役割として、歯科疾患の予防・重症化予防や口腔機能等のきめ細やかな患者等のニーズに対する対応や、訪問歯科診療を含めた切れ目ない提供体制の確保、医科歯科連携等を含めた他職種との連携などが掲げられている。
 ②安心・安全で質の高い歯科医療の推進について
 ・平成30年度及び令和2年度診療報酬改定において、院内感染防止対策を推進する観点から、歯科初診料及び歯科再診料の見直しを行った。
 ・歯科初・再診料の院内感染防止対策に係る届出医療機関数は、令和元年7月 1日現在、65,200 施設(約 95%)であった。
 ・新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染予防策として、診療室内のエアロゾル対策やゴーグル又はフェイスシールドの着用などが必要とされている。
 ③生活の質に配慮した歯科医療の推進等について
 ・歯科疾患の重症化予防を推進する観点から、令和2年度診療報酬改定において、6か月以上の歯科疾患の管理及び療養上必要な指導を行った場合の評価を新設した。
 ・小児及び高齢者に対する口腔機能管理について、歯科疾患の継続管理を行っている患者に対する診療実態と合わせて、評価の見直しを行っている。
 ・歯科固有の技術について、これまでの診療報酬改定において、口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下、生活の質に配慮した歯科医療を推進する観点から新規技術の導入を行っている。
 ・歯科用貴金属の代替材料について、保険適用が進んでいるが、一部の技術については代替材料は存在しない。
イ.論点
 ・地域包括ケアシステムを推進する観点から、かかりつけ歯科医に求められる機能や医科歯科連携等の他職種連携を推進するために、どのような対応が考えられるか。
 ・歯科外来診療における感染防止策等について、どのように考えるか。
 ・口腔疾患の重症化予防や口腔機能の管理を推進する観点から、どのような対応が考えられるか。
 ・歯科固有の技術の評価について、引き続き生活の質に配慮した歯科医療の提供等を推進する観点から、どのような対応が考えられるか。
ウ.主な意見
 ①地域包括ケアシステムの推進について
 ・かかりつけ歯科医による口腔疾患の重症化予防や口腔健康管理の取組がより推進されるよう引き続き対応していくべき。
 ・かかりつけ歯科医機能強化型診療所は地域包括ケアシステムを推進するために地域の中心として活動することが求められている。これが広がらない理由について検討しつつ、更に推進されるような項目を施設基準に組み込むこと等について検討すべき。
 ・どの歯科診療所がかかりつけ歯科医機能強化型診療所なのかを国民にわかるようにしていくことが必要。
 ・周術期等口腔機能管理を実施する施設に関して、地域の歯科診療所が参加できる機会を広げるよう、推進を図るべきではないか。
 ・糖尿病や摂食嚥下障害などに対する診療など、医科歯科連携が必要な診療について、より連携を推進するような対応が必要。歯科から医科への診療情報の提供や介護施設やデイサービス等への口腔の情報提供などの重要性が高まってきている。
 ・歯科標榜のない病院や介護施設における ICT を活用した口腔機能管理など、地域の状況に応じた ICT の利活用について検討すべき。
 ・歯科と他職種連携の推進について、歯科医師と薬剤師、歯科診療所と薬局の連携の推進についても検討すべき。お薬手帳などによる情報連携を含めた連携の在り方について検討が必要。
 ②安心・安全で質の高い歯科医療の推進について
 ・感染防止について、令和2年度改定において一定の評価がなされたが、十分なものかどうか検討が必要。
 ・歯科医療機関における感染防止対策については、前回の改定で職員の研修を要件とすることで十分に対応したものと考えており、現行の特例的な対応との整理が必要ではないか。
 ・院内感染対策は初診・再診料の点数で推進するものではなく、研修や教育の充実で行うべきではないか。
 ③生活の質に配慮した歯科医療の推進等について
 ・根面う蝕を含め、成人期以降のう蝕について、継続管理の仕組みの検討が必要。
 ・口腔機能の管理がさらに充実されるような引き続きの対応が必要。比較的早期から口腔機能が低下する場合や小児以降から継続的に管理する場合などの検討が必要。
 ・入院患者等に対する口腔の管理は重要であり、歯科専門職による口腔機能の管理を推進すべき。
 ・少子高齢化の進展やう蝕の減少により、口腔機能などを含めた治療・管理・連携型へ移行し、重症化予防や機能管理が大切なことは理解できる。歯周病安定期治療などは病状が安定した際の対処であるが、治療と予防の境界線が曖昧とならないように留意すべき。
 ・歯科疾患管理料について、令和2年度の診療報酬改定で初診時の点数を 80 点に引き下げ、長期管理について高く評価することとしたが、新型コロナウイルス感染症の影響はあるにしても検証が必要である。
 ・患者に現在の口腔の状況を客観的に示す観点から、新しい検査法の導入についても検討が必要。
 ・ICT の活用や歯科固有の技術の推進などについて評価が必要ということは理解するが、従来の技術で必要性の薄れた技術の見直しについても同時に行うべき。
 ・歯科矯正治療は原則として自費となっているが、小児の口腔機能なども踏まえ、歯科矯正治療の必要性などについて検討すべき。
 ・歯科用貴金属の代替材料については、その範囲は限定的で歯科用貴金属を用いる技術をすべてカバーされておらず、引き続き CAD/CAM 冠など代替技術の推進が必要。

(4)個別事項(歯科用貴金属の随時改定)(7月21 日中医協総会にて検討)
ア.現状と課題
 ・歯科用貴金属(金銀パラジウム合金等)については、その素材である貴金属が市場価格の変動の影響を受けやすいことから、通常の2年に1度の市場実勢価格に基づく診療報酬改定に加え、 対象期間の平均素材価格の差を算出し、価格の変動幅が一定以上の場合に随時改定を実施している。
 ・令和2年度には、歯科用貴金属の価格の乱高下に、速やかに対応できないとの指摘をうけ、従来の4月、10 月の随時改定(変動幅±5%を超えた場合)に加え、1月、 7月にも随時改定(変動幅±15%を超えた場合)を行うように見直しを行った。
 ・頻回な告示価格の改定により生じる医療機関におけるシステム改修等の事務負担にも配慮し、 1月、 7月の随時改定における変動幅は±15%を超えた場合とした。

イ.論点
 ・歯科用貴金属材料の基準材料価格改定についてどのように考えるか。

ウ.主な意見
 ・随時改定には3か月前の平均素材価格を用いているが、このいわゆるタイムラグについて、より直近の平均素材価格を反映できる制度の構築や、随時改定の頻度について、検討する必要がある。
 ・診療報酬改定時に用いる市場実勢価格の調査についても、より精度を高めるようにお願いする。

 

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