破折しにくい支台築造の考え方
2014年09月27日(土)
27日(土)6時半から金沢勤労者プラザにて荒井良明氏の講演会「データに基づいた破折しにくい支台築造の考え方」がありました。ポストを必要としない条件、ねじ込み型金属ピンによる亀裂、キャストコアとファイバーポストコア、フェルールの必要性、ファイバーポストの入れる位置と方向などなど。そして、光ファイバーを使用したレジンコアの模型実習もありました。
今さら聞けない臨床シリーズ講演会シリーズ 第⑤回
ファイバーポストとレジンセメントの勘どころ
模型実習付き
講 師 荒井 良明 氏 新潟大学医歯学総合病院 顎関節治療部 准教授
と き 2014年9月 27日 (土) 18:30~20:30(予定)
ところ 金沢勤労者プラザ 101研修室
〒920-0022 金沢市北安江3-2-20 (JR金沢駅西口より徒歩10分)
<駐車場>
金沢勤労者プラザの駐車場は有料となります(割引あり)。
割引後の料金は以下のとおりです。
8:00~22:00 1時間無料、以後1時間ごと100円
22:00~8:00 500円
対 象 : 会員医療機関の 歯科医師、 スタッフ (定員 70人)
申込締切:9月19日(金) ※定員になり次第締め切ります
申込みはこちらへ チラシ 破折しにくい支台築造
参加費 : 無料
主 催 : 石川県保険医協会
金沢市尾張町2-8-23 太陽生命金沢ビル8階
TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156 Eメール ishikawa-hok@doc-net.or.jp
メモ
A.破折しにくい支台築造
1.ポストは必要か
・コアに保持が必要な場合はポストをつける。必須ではない。
・クラスⅠではポストが歯根補強に役立たない
・クラスⅠ・Ⅱ・Ⅲではポストは必要なし
今年からⅠ・Ⅱは保険でも認められるようになる
・参考に 根管処置歯の残存歯質の分類(Naumannの分類)
クラスⅠ 4壁残存
クラスⅡ 3壁残存
クラスⅢ 2壁残存
クラスⅣ 1壁残存
クラスⅤ 0壁残存
2.レジンコアVSメタルコア
予後に関する15年間のコホート研究
・15年の累積生存率は、レジンコア(73.7%)がメタルコア(55.4%)を上回る
・リスク因子
男性
歯冠部の残存歯質が少ない
装着時の患者の年齢が高い
・フェルール(歯質の立ち上がりを残す)
歯軸に平行で厚み1mm、高さ2mm以上
口蓋側に歯質が残っていると破折しにくい
圧縮より引っ張りに弱い
3.レジンコアのポストは何がいいのか?
・スクリューポストによるマイクロフラクチャー
・理想の既成ポストは、ストレートで溝がある物
・ファイバーポストは弾性係数が象牙質とほぼ同じ
4.ファイバーポストは有効か?
・メタルスクリューポストよりファイバーポストは予後がいい
接着面それぞれで重合収縮を起こすので、1級窩洞は外れやすい
スメア層が厚い
セメントが入れづらい
シリンジで根管内にセメントを入れる
噛んだ時に歯の変位に抵抗する側(牽引側)にMain fiberを入れる
上顎前歯のみ口蓋側、他は頬側に
ファイバーを抵抗する方向に傾斜させる
6.支台築造の臨床
・ファイバーポストでは歯根の垂直的破折はほとんどない
・フェルールを確保する
参考文献
ファイバーポストの効果的利用方法
ーレジン支台築造の失敗を防ぐためにー
荒井 良明
日本歯科評論2012年4月号
B.ファイバーポストの実習
サンメディカルによる模型実習
<ご案内>
今次診療報酬改定で、支台築造「その他」の算定要件が変更されました。根管治療を実施した歯の歯冠部の近遠心及び唇頬舌側歯質のうち3面以上が残存しており、複合レジン(築造用)のみで築造できる場合は、スクリューポスト(支台築造用)等を使用しなくても、支台築造「その他」を算定できることになりました。金属価格の高値が続く昨今においては、メタルコアによる修復が減少し、レジンコアによる修復処置が今後も増加しそうです。
ところで、レジンコアといえば光ファイバーを使用したレジンコアも普及してきてはいますが、歯根破折を起こしたり、コアごと脱離する症例もまだ多いように思えます。そこで、今回は、『日本歯科評論』2012年4月号に論文「ファイバーポストの効果的利用方法―レジン支台築造の失敗を防ぐために」を執筆された新潟大学の荒井良明准教授をお迎えして、“破折しにくい支台築造の考え方”をご教授いただくことになりました。
今回も、日頃の臨床を確実なものにするための一助になればと企画しました。お時間の許す先生はぜひご参加ください。
抄 録
荒井 良明
2014年4月の歯科診療報酬改定で、小臼歯にCAD/CAM冠が応用可能となりました。これまで先進医療としてCAD/CAM冠を臨床評価してきた大学で、900本装着したCAD/CAM冠の2年間の予後は、失敗が3本(破折と脱離)で成功率99.7%であったということです。この非常に高い予知性の報告が、保険導入を後押しする一因になったと言えます。この背景には、近年のCAD/CAM技術やブロック材質の向上も挙げられますが、レジンセメントによる接着技術の急速な進化も挙げられます。
一方で、歯の喪失原因の全国調査によりますと、歯周病42%、むし歯32%に続き、歯根破折が11%で第3位であり、歯根破折の好発部位が失活の小臼歯と、今回のCAD/CAM冠の適応部位とも重なります。CAD/CAM冠をはじめとして失活歯補綴の長期予後には、歯根破折しにくい支台築造が求められます。
そこで本講演では、歯根破折しにくい支台築造の考え方と、支台歯と一体化させて破折や脱離を防ぐ接着方法の考え方についてまとめさせて頂きます。
現在発売されている支台築造材料とレジン系接着材料を中心に、材料を特徴別に分類し、それぞれ臨床例を提示させていただくことで、先生方の材料選択や臨床応用の一助となれば幸いと考えています。
今後、我々歯科医師は、ますます進化していく歯科材料の特徴を十分に把握し、患者さんのニーズや自身の臨床に合った材料を、数多くのシステムから“適材適所”に選択して、効果的に使用するための知識を常に探求していく必要があると思います。
<講師略歴>
1993年 新潟大学歯学部卒業
1997年 新潟大学大学院修了
1997年 新潟大学歯学部附属病院 助手
2002年 ドイツ連邦共和国マインツ大学 歯科外科客員助手
2003年 新潟大学医歯学総合病院 講師
2006年 新潟大学医歯学総合病院 准教授
日本補綴学会専門医,指導医
日本顎関節学会専門医
- カテゴリー: 補綴