金沢在宅NST経口摂取相談会チャレンジセミナー 2015
2015年03月02日(月)
口から食べられる幸せを応援しています。
日 時 平成27年3月2日(月)午後7:15~9:00(開場6:45)
会 場 ホテル金沢4階 金沢市堀川新町 1番1号
対 象 医療・介護・福祉関係者
参加費 無料
[主催] 金沢在宅NST経口摂取相談会 代表:小川滋彦
内 容
1. ミニセミナー
『訪問栄養食事指導をご存知ですか』
演者 加藤 寿子
(小川医院 栄養ケアセンター 管理栄養士)
2.事例報告
『口から食べる!=かかりつけ医のホンネ=』
演者 熊走 一郎
(わかくさ ホームケアクリニック 医師)
竹内 満
(ものがたり診療所・城北クリニック 言語聴覚士)
近藤 政子
(近藤クリニック 歯科医師)
3.相談会経過報告および平成27年度の計画
講演会メモ
120名以上の参加があり、大盛況だった。当初の見込みよりを大幅に上回り、椅子席を追加しなければならなくなった。現場で役立つ身近で有意義なお話だったと思う。和気あいあいの雰囲気の中で、質疑のやりとりにも気づくことが多かった。
1. ミニセミナー『訪問栄養食事指導をご存知ですか』
①在宅訪問栄養食事指導の役割 ~安心して在宅で過ごせるために~
・通院が困難な方の自宅へ訪問し、生活・身体状況や栄養を評価し、
適切な食事内容や食形態のアドバイスを行う。
・本人・家族の意向を把握することが大切。
②在宅訪問栄養食事指導の介護保険と医療保険との違い
・医療保険では、主治医と同一の医療機関に属する管理栄養士が介入
・介護保険では、居宅療養管理事業所に所属する管理栄養士
③在宅訪問栄養食事指導介入の主な目的
・低栄養の改善
・過栄養の改善
・嚥下障害による食形態の工夫
・疾患に応じた栄養管理(糖尿病、腎臓病、肝臓病など)
④主な取り組み内容
・栄養補助食品の提案(特にゼリー状の水分補給)
・食事内容の見直し、レシピ提供(介護者の負担軽減)
・ご本人にあった食べやすく、飲み込みやすい食材や形態を探る
・安全に食べられる姿勢や環境作りの指導
・ヘルパーとの連携が重要(関わりの時間が圧倒的に長い)。
⑤栄養指導における在宅での特徴(病院と比べて)
・在宅では療養者が主役
・嗜好に合わせられるので摂取量がアップする
・直接調理指導ができるので、伝わりやすい
⑥訪問栄養士だからできること
・摂取量の評価
栄養素の過不足をチェック
サプリメントや健康食品の摂取状況を把握。病状を悪化させる可能性も
・食品や料理の組み合わせを提案
食べやすさ+栄養アップ+バランス
・身近で手に入るもので献立作成
生活区域のスーパーにあるもので、具体的に説明が可能。
冷蔵庫事情も把握できる。
⑦県内で訪問栄養士のいる所は3医療機関
・これから需要は増えていく
・管理栄養士が訪問できるのは4~6人/日
2.事例報告 『口から食べる!=かかりつけ医のホンネ=』
①かかりつけ医が患者さんの現病歴や現状と本音を報告
・意欲活動性の低下を相対的副腎不全と考え、フロリネフの少量投与を開始
約2週間後開眼し明快に受け答えするまでに改善
・本人は食べたがっている
・家族も食べられるんではないかと思っている
・でも、窒息するかもしれない
・現状で嚥下機能評価ができるのか
・評価後、誰が指導訓練するのか
・これらのことを誰に相談したらよいのか
② 金沢在宅NST経口摂取相談会の登場
・訪問評価に6職種が出かける
・それぞれの専門職が評価シートを使って評価
・月1回の定例会で検討し、かかりつけ医にレポートを提出
③外来にて嚥下造影検査
・間接・直接の段階的接触嚥下訓練の導入が可能
④かかりつけ医は、これを機会に学びたい
・担当ケアマネにプラン修正をお願い。
・上限枠内で週1回訪問リハ(3ヶ月12回)と歯科随時を提供
⑤目標設定 本人のもっている摂食嚥下能力を引き出し・再獲得
・ちゃんと寝られる
もぞもぞできる
寝返りが打てる
ベッド上で座位が採れる
・ちゃんと座れる
重心が安定する
嚥下時にうつむくことができる
・体力がつく
食事の間は姿勢が崩れない
・咀嚼力をつける
⑥歯科医師の関わり
・直接訓練が可能とした理由
咀嚼、食塊形成、食塊の口腔保持機能がほぼ維持されている
訓練により改善する可能性がある
・義歯着脱ができるようになる
・直接訓練における誤嚥性肺炎のリスク
寝ている時の不顕性誤嚥が原因で、
口から食べたことで誤嚥性肺炎になることはほとんどない。
白色の舌苔が舌一面に硬く肥厚した状態で付着
本人と家族に舌苔除去の必要性を指導
⑦終了時の姿
・座位3時間
・自力で食事できるようになる
・本人の好きなものが食べられるようになったので、満足
・これ以上望みません。目標達成
⑧自宅に置いてあるものが「カルテ」の原本と考える
・日時、今日の出来事、本人の様子、身体の調子
バイタルサイン、特記事項、質問・伝言など
・写メを撮って、事業所のカルテに転記
・担当者はいつでも医師らのコメントを見返すことができる
目標や課題を共有できた
・本人家族が納得できる説明を行う習慣が医療者側に付く。
⑨成功へのヒント
・かかりつけ医をその気にさせて、始めの一歩を踏み出しましょう
・任せれば動いてくれる人たちがいる事に気づかせてあげましょう
・何が何でも食べさせることが前提ではない
金沢在宅NST経口摂取相談会とは
医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員(ケアマネ)、社会福祉士などから成るボランティアチーム。
『胃瘻だが食べられないか?』『最近食べてくれない』『むせが目立つ』といった方への訪問評価を行っている。
担当医、ケアマネ、ご家族からの要請を受け、金沢市およびその周辺地域での、訪問評価や指導に精力的に取り組んでいる。
活動メンバーおよびサポーター募集中!
サポーター事務担当
金沢在宅NST経口摂取相談会
通信委員長 小島 登
kanazawazaitaku.nst.supp@gmail.com
摂食嚥下・経口摂取の取り組みは、まさに日々あたらしい発見と挑戦があります。そういった思いで大胆にも「チャレンジセミナー」と名付けました。外部講師ではなく、活動メンバーによる手作りの企画です。ご参加いただく皆様にも、新しい発見と明日へのチャレンジ精神を目覚めさせる何かをきっと得ていただけるものと、鋭意準備中でございます。ぜひのご参加をお待ちしております!
『事例報告』では、かかりつけ医が気づき、当会へとつないだことをきっかけに、さまざまな紆余曲折を経つつも最後には経口摂取の獲得へと至った一例について取り上げます。患者さんとご家族に火をつけた 竹内 満 言語聴覚士の奮闘(悪戦苦闘?)ぶりは一見の価値ありです。
『ミニセミナー』は、加藤 寿子 管理栄養士による訪問栄養食事指導の紹介です。名は「指導」ですが、実際には利用者の方々の思いに寄り添い、幸せに暮らしていけるように「支援」し、ともに歩む姿勢で取り組んでいる管理栄養士の存在を、ぜひ在宅療養に関わる多職種の方々に知っていただきたく存じます。
素敵な案内チラシもまた、 当会の言語聴覚士石原亜紀(石川県済生会金沢病院)の手づくりによるものです。
P.S. 最近、当会、音沙汰ないとお思いでしたら、とんでもない。昨年11月には、全国8箇所の食支援の先進的取り組みに位置づけられ、厚労省老健局老人保健課とその外郭団体の視察とヒアリングがございました。そのうち、モデルケースとして事例紹介にアップされる予定です。
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