小島歯科医院 名誉院長ブログ

歯科診療における消毒・滅菌の考え方

2009年07月28日(火)


原則
1.患者の感染症の有無に応じて処理方法を変更するのではなく、スタンダードプリコーションの考え方に基づき、すべての医療器械に感染の危険性があるものとして処理する
2.医療器材を確実に洗浄し、汚物や有機物を完全に除去する
3.確実に洗浄後、消毒または滅菌へと進めていく
4.消毒・滅菌の選択においては、医療器材の使用目的と使用部位対する感染リスクに応じ、スポルディング分類に沿って適切な処理方法を選択し実施する

スポルディング分類
 医療器材を使用目的と使用部位に対する感染の危険度に応じて3つのカテゴリーに分類し、適切な消毒・滅菌方法を示したもの(E.H.Spauldingによる)。ただし何よりも先ず洗浄が重要なことを忘れてはいけない。器材は、クリティカル器材、セミクリティカル器材、ノンクリティカル器材に分類。消毒は、高水準消毒、中水準消毒、低水準消毒に分類する。

クリティカル器材は、無菌の組織または血管系に挿入するもの(インプラント器材、手術用器材、ハンドピース、スケーラー、リーマー・ファイル類など)であり、耐熱性のあるものは高圧蒸気滅菌・感熱滅菌、非耐熱性のものはEOG、プラズマ滅菌を行う。

セミクリティカル器材は、粘膜に接触するもの(検診用ミラー、印象トレーなど)であり、高水準消毒(クリティカル対応としてもよい)を行う。

ノンクリティカル器材は、粘膜に接触しない・傷のない皮膚と接触・皮膚と接触しないもの(レントゲンヘッド、血圧測定カフ、治療椅子など)であり、低水準消毒または洗浄・清拭のみを行う。

洗浄
 医療器材に残存した有機物や汚れは、消毒薬を不活化したり、微生物を保護したりするため、消毒・滅菌が無効になることがある。洗剤などを用いた化学的作用による方法と、ブラシや洗浄機などを用いた物理的作用による方法がある。

消毒薬の分類
高水準は、すべての微生物を殺滅しする。主な消毒薬にはグルタール、フタラール、過酢酸があり、20分以上浸漬洗浄する
中水準は、芽胞以外の細菌、多くのウイルス、真菌を殺滅する。主な消毒薬に次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、エタノールがある。
低水準は、ほとんどの細菌、ある種のウイルス、真菌は殺滅するが、結核菌や芽胞は殺滅できない。主なものにグルコン酸クロルヘキシジン、オスバン、界面活性剤がある。

 

 

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