小島歯科医院 名誉院長ブログ

歯周病患者に対するジスロマックの効果

2009年04月02日(木)


 近年注目を集めてきているジスロマックの効果を急性発作時に対応する抗生剤投与とは違う観点から調べてみた。2004年3月24日から2008年12月12日までに当院に通院していた重度歯周炎患者105人を調査対象とし、次の投薬条件、評価基準で効果を判定した。

 投薬条件として 
1.プロービング・デプス6mm以上で排膿が見られる
2.患者本人が排膿や臭いなどを認識できる
3.ジスロマックの効果と副作用などの欠点を理解し承諾している
4.ブラッシング指導とスケーリングなどの初期治療を受け、歯周治療に意欲的である 
5.定期健診に来院できる

 評価基準および結果
 投薬後1週間後に自覚症状、そして、3ヶ月後以降にプロービングデプスの改善を確認する
◎ プロービング・デプス3mm以上改善   60人
○ 自覚症状の改善                          29人
× 効果なし                                10人
△ 不明(未来院)                            6人

考察
 ジスロマックを内服した80%以上の患者さんは、3日から1週間で口の中の改善が認識できた。そのうちの65%以上がプロービング・デプスも著しい改善が見られ、非常に効果が高いと思われる。そして、外科的に歯肉を開けて歯石を見ると、明らかに違う感触であり、とりやすい状態になっていた。しかし、改善が見られない場合には、局所的には歯根の破折や分岐部病変が多く、全身的にはワーファリン以外の循環器疾患の薬を内服している患者さんに多いような印象を受ける。
 従来重度歯周炎に対する治療法は、患者さん本人のプラークコントロールとスケーリングなどの初期治療の後に外科的な処置を行ってきたが、今後は選択肢の一つとしてジスロマックを内服し、3ヶ月後以降に外科処置を考えていきたい。

ジスロマック添付文章
products.pfizer.co.jp/documents/lpd/ztm03lpd.pdf#search='ジスロマック 錠’
併用注意 ワルファリンなど
薬物動態  高い組織内濃度が持続する
副作用  下痢など10人に1人

お薬110番
www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se61/se6149004.html

 

 

歯周治療の実際の最新記事