金パラ随時改定告示価格据え置きは理不尽(平成31年4月改定)
2025年10月16日(木)
歯科用金銀パラジウム合金(金パラ)が今年に入り高騰している。ほとんどの歯科医院は歯科材料店から金パラを30g単位で購入しているが、それが5万円を超え、消費税込みで6万円を超えたこともあった。市場価格と保険診療で定められた告示価格との乖離による逆ザヤが歯科医療を直撃している。
金パラを使用した大臼歯の金属冠であれば、告示価格1㌘1458円の金パラを約3.5㌘(5130円)使用することになっているが、もし、5万5千円で購入したものを使用すると、3.5㌘が6417円となり1287円の逆ザヤとなる。この逆ザヤが大きくなれば、技工料金へのしわ寄せ、ひいては歯科医療の質が下がることも懸念される。
しかし、今年1 月16 日の中医協総会は、歯科用貴金属(金、銀、パラジウム)の素材価格(1498円、2.7%上昇率)の変動率が5%を超えなかったとして、今年4月の随時改定は行なわず、告示価格の据え置きを決定した。素材価格で購入している歯科医院はない。理不尽である。
随時改定では市場価格ではなく、金、銀、パラジウムそれぞれの「素材価格」を調査しているが、調査内容が公表されず価格決定の過程も不明瞭である。また、調査期間が今回の改正であれば昨年の7 月から12 月とタイムラグがあり直近の価格変動に対応できていない。6ヶ月毎の随時改定と、変動率5%という規定を廃止し、金パラの告示価格をより市場価格に近づける必要がある。
さらに問題なのは、肌身で感ずる購入価格と告示価格があまりにかけ離れていることだ。抜本的に制度を見直し、告示価格の決定過程を明瞭化し乖離幅を解消すべきである。保険医協会は、よりよい歯科医療を目指せる環境を整え、すべての国民が安心安全な歯科医療を受けられるように医療保険制度のより一層の改善を追求していく。
*参考に
参院・内閣委員会において、自民党の上月良祐議員が、金パラ問題についての質問
2020年3月10日
www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
「審議中継カレンダ」ーの「3月10日」をクリックし、開いたら3月10の「内閣委員会」のアイコンをクリックし、自民党の「上月良祐」議員をクリックすると質問がはじまる。該当の部分は「全体」の委員会質問の中の、1時間40分4秒から1時間46分50秒までの6分間。
・1gにつき1,000円の「差損」が生じること
・大臼歯の治療した患者に5,000円渡すのと同じであること
・後追いの価格決定ルールがおかしいこと
令和元年10月改定
パラ逆ザヤシミュレータ 実勢価格調査2019.12.2.
歯科用貴金属の価格高騰に対する緊急対応を求める要請書 2019年3月金パラ緊急要請書2019年3月
過去の記録
1998年12月8,000円、1999年10月に12,000円だった12%金パラ30gが
2000年に入り急騰し、16,000円を越え、20,000円に迫る勢いです。
歯科用貴金属価格の随時改定について(平成25 年10 月改定)2013年
kojima-dental-office.net/blog/20130904-8120#more-8120
追記
金パラ高騰 2025.10.16.
10月1日に109,750円/30gだったが、16日は122,650円/30gになり、さらに上がる気配。緊急対応が必要なレベル。
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