「3歳児の不正咬合」が増えている
2023年10月17日(火)
歯並びの叢生は、約50年前まではあまり見られなかったが、診療室で約30年前より永久歯に見られるようになり、約10年前より乳歯にも見られるようになってきた。3歳児健診でも、下顎の乳前歯で叢生が見られるようになった。
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 歯科口腔保健の推進に関する専門委員会の報告書によると、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項19項目の中で、唯一悪化しているのは「3歳児の不正咬合」であった。この原因は、添い乳と食姿勢や食べ方、鼻閉などによる口腔機能発達の仕方にあると推測され、それらを学ぶ機会が重要である。そして、これを、2024年度から実施予定の次期「健康日本21(第3次)」の重要課題とし、国及び地方公共団体の施策等に反映させるべきである。
保険診療でも2018年4月から「小児口腔機能管理加算」が導入され、2020年4月から対象者が離乳完了前と後の2区分となり、離乳完了前のチェックリストが追加になった。しかし、中央社会保険医療協議会 総会(第549回)の資料によると、小児口腔機能管理料の算定回数は、年々増加しているが、歯科疾患管理料の算定回数に対する割合は2022年で、4.9%にとどまっている。この要因は、管理・指導を続けていくための咀嚼機能の検査や訓練に対する評価が認められていないからだと考えている。
今後、地方公共団体における施策や健診時の「口の働きを育てる」周知活動の充実が必要である。また、唾液量測定や咀嚼能率などの口腔機能検査と、正常な口腔機能の獲得・成長を促すための歯科診断に基づく適切な訓練や治療までの一連の流れを保険診療でできるように診療報酬上の改善をねばり強く求めていきたい。
参考に
3歳児の不正咬合が増えている
kojima-dental-office.net/20221123-6720#more-6720
歯科口腔保健の推進に関する基本的事項
最終評価報告書(2022年10月11日公表)
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会
歯科口腔保健の推進に関する専門委員会
www.mhlw.go.jp/content/000999685.pdf
厚生科学審議会 地域保健健康増進栄養部会
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127751.html
添い乳の弊害について
kojima-dental-office.net/20131009-208#more-208
お口の機能を育てましょう
kojima-dental-office.net/category/ikusei/function
小児口腔機能管理加算
kojima-dental-office.net/20180721-4227#more-4227
歯科診療報酬改定のまとめ 2020年
kojima-dental-office.net/20200321-4824
中央社会保険医療協議会 総会(第549回)
kojima-dental-office.net/20230906-7218
演題 「小児の口腔機能発達の栄養行動発達への影響」
講師 横浜市歯科医師会 横浜市青葉区開業 元開富士雄先生
kojima-dental-office.net/20150726-1159
③口唇閉鎖は咀嚼開始の第一歩
・口唇閉鎖の獲得とは、上唇の伸展性を高めること
・授乳中は下唇のみが下顎と舌運動に連動して運動するが、
上唇はほとんど動くことない
・下唇とオトガイを抑制させ上唇により捕食させるようなスプーンの運びが重要
・上唇を育てる ストロー→ コップ飲み、風船の膨らまし
・上唇が運動を獲得できなければ翻転し、口角が下垂した乳飲み口ができあがる
(富士山型の上唇)
kojima-dental-office.net/20081120-232#more-232
・口唇閉鎖の獲得が遅れると
鼻呼吸が安定せずに口呼吸になりやすいということも考えられる
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