小島歯科医院 名誉院長ブログ

6.9.15.

2024年09月05日(木)


【1】全身麻酔の抜歯手術で17歳生徒死亡 歯科医師2人書類送検
【2】石川県における集団個別指導・個別指導
【3】マイナ保険証に対するパブリックコメント
【4】歯科医師臨床研修制度の研修内容の見直しについて
【5】能登地震 石川県に緊急要望書を提出
【6】子どもの近視に予防の可能性 外遊び2時間で発症減
【7】人間組織は「ゴリラ社会」から「サル社会」になりつつある
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】全身麻酔の抜歯手術で17歳生徒死亡 歯科医師2人書類送検
   気管から酸素チューブ外れたか 業務上過失致死の疑い  
 (YAHOOニュース2024.8.26.)
news.yahoo.co.jp/articles/70b06d36ff657575077d03773f590c96226833f7
  大阪府堺市の歯科診療所で2023年7月、特別支援学校に通う17歳の男子生徒が全身麻酔で親知らずを抜く手術中に心肺停止となり、約1か月後に死亡した問題で、警察は26日、手術を担当した歯科医師2人を業務上過失致死の疑いで書類送検したと発表しました。
業務上過失致死の疑いで書類送検されたのは、堺市にある「重度障害者歯科診療所」の所長の男性歯科医師(55)と、当時勤務していた女性歯科医師(34)の2人です。
 診療所の報告書によりますと、2人は2023年7月、特別支援学校に通う富川勇大さん(当時17)の親知らずを抜く手術で全身麻酔を行いました。通常、全身麻酔を行う場合、自力で呼吸ができなくなるため、チューブを鼻から気管に通して直接、肺に酸素を送る必要があります。
 しかし、警察によりますと、このチューブが誤って気管から外れて、肺に酸素が送られていなかったということです。
 勇大さんは、麻酔開始直後に通常なら96%以上とされる血中の酸素飽和度が変動し、最終的には20%台にまで低下。約1時間15分後には心肺停止状態となり、病院へ運ばれたものの、意識が戻らないまま、低酸素虚血性脳症で約1か月後に亡くなりました。
 勇大さんは搬送時、腹部が異常に膨張していたということです。
 警察は2人がチューブが気管から外れていたことを確認しなかった上、男性医師は救急搬送の要請が遅れた過失で勇大さんを死亡させた疑いがあるとしています。
 診療所は遺族に対し、「判断ミスだった」として謝罪したということですが、具体的な説明はなかったといいます。
■勇大さんの父親は「体の不自由な方が治療を受けられる数少ない場所、二度と起こさないために対策を」
 亡くなった富川勇大さんの父親は2023年12月に取材した際、「(手術を受けた診療所は)体の不自由な方が治療を受けられる数少ない場所だと思っている。二度と同じような事故を起こさないためにきっちりとした対策を考えてもらいたい」と話していました。
 2人は当時、勇大さんに異常が生じた原因を別の「気管支けいれん」と疑って処置していて、男性医師は調べに対して「気管支けいれんと判断したこと自体はミスではなかったと思う。ただ、喉頭展開(正しくチューブが挿入されているか目視すること)するなどして、チューブの位置異常がないか当時確認しなかったことがミスだと思っている。救急要請が遅れたのは私のミス」と話しているということです。
 また、女性医師は「当時は気管支けいれんの処置に固執してしまった。気管支けいれんの処置が効かずに改善されないのであれば、途中でチューブの位置異常や食道挿管を疑って喉頭展開できればよかったと思っている」と話しています。
 警察は検察に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けています。
【2】石川県における集団個別指導・個別指導
情報開示資料からみえてくるもの
 (石川県保険医新聞2024.9.15.)
【高点数理由の個別指導が令和6年度より再開】
  令和 2 年度から令和 5 年度にかけて、高点数理由の個別指導は中止されていたが、厚労省事務連絡「令和 6 年度における指導監査等について」(2024年 1 月26日)により、指導大綱通り実施するとされ、高点数理由の個別指導が再開することとなる。令和 4 年度に集団的個別指導を受けた医療機関が令和 6 年度の高点数理由の個別指導の対象となる。ただし、厚労省事務連絡では令和 5 年度における新型コロナの影響を考慮し、令和 6 年度においては、対象となる医療機関の数の上位より概ね半数程度(最大で保険医療機関等数の 4 %程度)を選定し、実施に当たっては、令和元年度に集団的個別指導を実施し、かつ令和 3 年度に高点数を理由とする個別指導の対象に該当していた保険医療機関等を実施対象とする旨が示されている。
 石川県でも個別指導に選定された件数は医科28件(再指導 6 、高点数22)、歯科18件(全て高点数)であるが、実施計画では医科12件、歯科 6 件とされている(表 2 参照)。実際は、医科は再指導 6 件、高点数 6 件、歯科は高点数 6件が計画されていると思われる。
【令和 6 年度の集団的個別指導】
<表3>は、令和 6 年度の集団的個別指導の対象医療機関数・選定基準値である。集団的個別指導は、表の類型区分ごとに平均点数が高い医療機関の上位 8 %を対象に実施することになっている。今年度の対象医療機関は病院 7件、医科診療所34件、歯科診療所38件であり、医科・歯科ともに 9 月に実施する予定となっている。平均点数をみると小児科、泌尿器科で昨年より減少している。
【令和6年度の適時調査の実施予定】
適時調査とは、保険医療機関の届出内容が施設基準に照らし適正かどうかを調査するものである。昨年度は医科病院を対象に60件が実施され、本年度は医科病院61件に対し実施される予定である。
なお、適時調査の対象は届出を行った全医療機関とされているが、本年度も医科診療所、歯科診療所に対する実施予定はなく、すべて病院対象である。
【3】マイナ保険証に対するパブリックコメント
public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000278925
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律別表の主務省令で定める事務を定める命令の一部を改正する命令案及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第八号に基づく利用特定個人情報の提供に関する命令の一部を改正する命令案」に係る意見募集の結果について
               令和6年8月 30 日
               デジタル庁デジタル社会共通機能グループ
 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律別表の主務省令で定める事務を定める命令の一部を改正する命令案及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第八号に基づく利用特定個人情報の提供に関する命令の一部を改正する命令案」について、令和6年6月 17 日から同年7月 16日まで御意見の募集を行ったところ、92 件の御意見をいただきました。
命令案に関するいただいた御意見の概要及びそれに対するデジタル庁の考え方について、以下のとおりまとめました。
 参考に
現行の健康保険証廃止まで、あと半年 マイナ保険証ない人はどうなるの?
 (東京新聞2024年6月2日)
www.tokyo-np.co.jp/article/330736
 現行の健康保険証の廃止まで、あと半年となりました。ただ、マイナンバーカードとひも付けた「マイナ保険証」の利用は低迷しています。12月2日以降、新規に保険証の発行が停止されると、どうなるのでしょうか。
 ◆最長1年は現行の保険証も有効
Q 廃止されると、マイナ保険証がないと病院や薬局で受診できなくなるのでしょうか。
A そんなことはありません。発行済みの保険証は最長1年間有効と見なす経過措置が取られます。現行の保険証を使っている人は、有効期限が切れるまで引き続き使えます。
Q 現行の保険証の有効期限が切れたら、マイナ保険証がないと受診できなくなるのでしょうか。
A マイナカードを持っていない人や持っていても保険証とひも付けていない人には、現行の保険証の代わりに「資格確認書」を交付します。わざわざ新たな書類を発行することに、医療現場からは「現行の保険証を残せば済む話」との批判もあります。
【4】歯科医師臨床研修制度の研修内容の見直しについて
 (資料2 2024.8.6.)
www.mhlw.go.jp/content/10804000/001284417.pdf
 歯科医師臨床研修制度の改正に関するワーキンググループ(令和6年度)
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_127374_00010.html
●歯科医師臨床研修制度は平成18年度に必修化されて以降、5年ごとに制度改正を実施。
●令和3年度(前回改正時)に、必修化以降、最も大きな見直しを行った。
 【医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 報告書】
   -医師臨床研修制度の見直しについて- 令和6年3月25日 より
1臨床研修の到達目標、方略及び評価について
〈見直しの方向性 〉
○現時点では、「臨床研修の到達目標、方略及び評価」に基づく臨床研修が開始されてから十分な期間が経過しておらず、その評価が困難であることから、今回の制度見直しにおいては、「臨床研修の到達目標、方略及び評価」は改訂しないこととすることが適当である。
○今後、「臨床研修の到達目標、方略及び評価」に基づく臨床研修を修了した研修医、指導医及びプログラム責任者に対するアンケート調査の結果、基本的臨床能力評価試験3の結果のデータ、卒後臨床研修医用オンライン臨床教育評価システム(PG-EPOC)に蓄積されたデータ等を活用して、今般の改訂の効果 、改善点等を分析し、次の改訂につなげることが必要である。その際、医学教育モデル・コア・カリキュラム (令和4 年度改訂版)との整合性を図ることが重要である。
【5】能登地震 石川県に緊急要望書を提出
 (石川県保険医協会2024.9.4.)能登半島地震対応における医療提供体制に係る要望
ishikawahokeni.jp/240904-2/
 要望項目は、(1)医療保険における一部負担金の免除期限(9月末)の延長を国に働きかけること、(2)奥能登公立4病院の存続と機能強化、(3)民間の医科歯科医療機関の復旧・存続のための県独自の補助施策等の創設や、なりわい再建支援補助金の申請支援や要件緩和等の3項目です。
 令和6年能登半島地震
kojima-dental-office.net/20240301-7386#more-7386
 参考に 
 ①6.8.23.【7】「石川県創造的復興プラン」に対する提言
kojima-dental-office.net/20240823-7651
 ②能登地震に係る保団連厚労省要請(東京):2024.9.5.(木)13:30~14:30
  厚労省から17人(官僚 16 名のうち、能登に行った方は誰もいなかった)
  保団連から8人(石川協会・工藤事務局長が参加)
  重点的に要望したのは、一部負担金免除の延長と医療機関に対する経済的支援の2点
【6】子どもの近視に予防の可能性 外遊び2時間で発症減
 (日本経済新聞2018年1月15日)
www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO24824350Z11C17A2000000/
 「近視は、一部の病的近視を除いて病気ではない」――。これまでは、日本の眼科医も含めて、こうした認識が一般的で、積極的に治療する研究などもあまり進んでいなかった。近視は学齢期には進行するが、ある年齢になるとほとんど進まなくなると考えられてきたからだ。しかし近年、そうではないことが分かってきた。近視が進行して視覚障害になる人が増えていることが明らかになってきているのだ。いまや、「たかが近視」と軽視できない状況を迎えている。
 こうした事態を背景に、眼科医の間にも危機感が広がり始めており、近視の予防に関する研究にも力が入るようになってきた。いま、近視予防の研究者の間で注目されているのは、「外遊びの時間が長い子どもは、近視の発症率が低い」という事実だ。
 近視は、環境因子と遺伝が関わって発症するのだが、環境が同じならば、両親とも近視の子どもは、片親だけ近視の子どもや両親とも近視でない子どもに比べて近視になりやすいことが分かっている。しかし米国の研究で、両親が近視であっても、1日2時間超外遊びをする子どもはほとんど外遊びをしない子どもに比べて、近視の発症率が3分の1以下に減っていたのだ。
 ほかにも、勉強やパソコンやスマートフォンなどの近くの画面を見続けるなどの近くを見る作業(近業作業)の時間が長いと近視のリスクが高まるが、1日2.8時間以上屋外活動をしている児童は、近業作業の時間の長さに関わらず、近視リスクが抑制されていたという研究報告もある。
 その一方で、外遊びの要素の一つとしての運動と近視の関係についての研究から、屋内活動は近視のリスクを減らす効果が少ないことも分かっている。こうしたことから、外遊びの要素の中で、太陽光が近視抑制に重要な働きをするのではないかと考えられるようになってきているわけだ。
 参考に
①子どもの視力を守るための習慣
 (外あそび推進の会2023.08.16)
kodomo-sotoasobi.com/shirumanabu/kiko-kinshimechanism/#:~:text=%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82-,%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E8%A6%96%E5%8A%9B%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E7%BF%92%E6%85%A3,%E3%81%A7%E8%A8%BC%E6%98%8E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
 近視の予防には両親の近視の有無にかかわらず、一日2時間以上の屋外活動を行うと近視発症の確率が抑えられることが複数の研究で証明されています。
②1日2時間の屋外活動で近視を予防!
  最新事情[東京医科歯科大学の五十嵐多恵先生監修]
 (学研こそだてマップ2023.3.8)
kosodatemap.gakken.jp/life/health/48322/
 屋外の明るい環境で過ごす時間が長い子どもほど近視になりにくく、近視が進行しにくいことがわかってきた。屋外活動が近視を抑制するメカニズムで、有力なのは「光誘導性ドーパミン仮説」。強い光が目の網膜に達すると、網膜内で光誘導性ドーパミンという物質が放出され、これが近視の進行を抑えるのではないかと考えられている。
 近視対策の屋外活動は、太陽の光を直接浴びるということではない。重要なのは光の明るさで、1000~3000ルクス(*)程度の場所。屋外なら、晴れた日は10万ルクス、 曇りや雨の日でも1万~2万ルクスの明るさがある。つまり、炎天下の日なたに出る必要はなく、日陰でもよいし、庭やマンションのベランダに出るだけでもよい。むしろ夏場は、熱中症や日焼け対策を十分に行ったうえでの屋外活動。強い日差しのもとでは、帽子やサングラスなどで光をさえぎっても、目には2000ルクス近い光が届く。
 目標は1日2時間の屋外活動。2時間連続して行う必要はなく。トータル2時間、が目安。たとえば30分ずつ4回に分けてもよい。仮に2時間に満たなくても一定の効果は得られる。
【7】人間組織は「ゴリラ社会」から「サル社会」になりつつある
 (メディカルトラスト2022.03.09)
www.medical-tt.co.jp/column/320/
 京都大学の前総長でゴリラ研究の第一人者でもある山極寿一氏の著書「サル化する人間社会」。人間社会は「サル化」していると指摘。
 サル社会は、「上下関係」「優劣」「勝ち負け」がハッキリとしている。コミュニケーションせずとも上下や優劣が分かっているため、愛想笑いを利用して最初から敵対を避ける。その結果、その場に応じて判断していくのではなく、ある定まった関係(サルだと強い・弱い)に基づいて物事を判断してしまうようになる。その例として、「食物があったら強い者がとる」というルールがニホンザルにはある。強いか・弱いかだけで、誰がとるかを決めてしまう。動物園のニホンザルが餌を掴むとその場を即座に離れ、自分ひとりの場所で食べる。その『ルール化』に人間の社会もなりつつある。これを煮詰めていくと、「正解でなくても、叱られなければ良い」という思考停止に陥ってしまう。実際、そのような考え方は若い人に広がっているように感じられる。
 相対するのがゴリラの社会。ゴリラの社会には「優劣」がない。群れのリーダーがメスや子供と食物を分け合うのはごく「当たり前」のことで、しかも「向き合って食事をする」。ゴリラ社会はサル社会と違い、子供やメス同士が喧嘩になったとき、第三者はどちらに加勢することもなく介入に入り、その喧嘩に「勝ち」も「負け」もつけない。
 サルとゴリラの違いは「リーダー像」にも当てはまる。サルは「地位」にアイデンティティを持っている。自分の地位を脅かそうとする相手を徹底的に排除する。それも、力や地位を利用した方法を取る。
 一方、ゴリラ社会にはサルのような序列はなく、リーダーの仕事は喧嘩の勝ち負けを判断することでなく、双方を対等に招き決着させる。ゴリラのリーダーは「自分の役割」にアイデンティティを持っている。体の小さいゴリラやメスや子供に食物を与えるのは当たり前の自分の役割であって、優劣だとは考えていない。
 人間がゴリラから受け継いだことは ,「体の大きい・小さいだけに関わらず , 状況に応じたお互いの関係が変化する中で , 判断をする」ということ。行きすぎた序列でメンバーを思考停止させるのか、相手の立場に立って物事を考えられるメンバーを育成するのか。リーダーが目指すべき方向は明らか。
 山極寿一著 「サル化」する人間社会
www.shueisha-int.co.jp/publish/%E3%80%8C%E3%82%B5%E3%83%AB%E5%8C%96%E3%80%8D%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA%E9%96%93%E7%A4%BE%E4%BC%9A

歯科関連ニュースの最新記事