小島歯科医院 名誉院長ブログ

食物アレルギー講演会 第3弾

2023年07月09日(日)


テーマ:食物アレルギー 基礎から最新情報まで
講師 武石 大輔氏(城北病院 小児科)
ishikawahokeni.jp/230709-2/
 7月9日(日)石川県地場産業振興センターにて、武石大輔氏(城北病院・小児科)による講演会「食物アレルギー 基礎から最新情報まで」を開催した。
 この講演会は、2018年に第1弾、2019年に第2弾と開催して大好評だったシリーズの第3弾として企画した。新型コロナの影響で4年ぶりとなった今回の企画も、石川県教育委員会、金沢市教育委員会、石川県栄養士会、石川県保育士会の後援のもと、栄養士や養護教諭、看護師、保育士など、幅広い職種から92名が参加。久しぶりにオンラインなし、会場のみでの開催で、熱気溢れる講演会となった。
 武石先生は講演の中で、「コロナ一色」であった間にも食物アレルギーの診療が進歩してきたことを含め、基礎から最新情報までを分かりやすくお話された。2021 年に改訂された食物アレルギー診療ガイドラインでは、臨床型分類とアナフィラキシーの診断基準が変更になっており、前回の講演と比較すると違いがよく理解でした。アレルギー症状が出現する状況を「臨床型」として、免疫学的機序によって大きくIgE 依存性と非IgE 依存性に分類。最近日本ではsolid FPIES(固形食物によるFPIES)、特に卵黄のsolid FPIESの増加が注目されている。また、アナフィラキシーの診断基準が、典型的な皮膚症状がなくても食物アレルギーが原因と分かっている時と原因不明の時に分けられたことも報告された。
 そして、今回の講演会で特に参加者に好評だったのは、「おとな」の食物アレルギーに関するクイズ形式の事例報告であった。「中華料理を食べた後に救急要請」、「鴨南蛮うどんで日本酒を一杯」「アレルギーはないのに、親子丼を食べたら息苦しくなった」など、身近に起こり得る症例を紹介しながら、どのアレルギーを発症したのか、何が原因となったのかについて参加者と一緒に考えた。「隠れた抗原」や交差反応、調理方法、ダニにも注意したい。
 武石先生は、参加者から事前に寄せられた多くの質問についても丁寧に解説いただいた。講演後の質疑応答でも多様な職種の方から質問が相次ぎ、具体的な事例に触れる貴重な機会になり勉強になった。また、今回の講演会を通して食物アレルギーの知識がしっかりまとまり、その内容も有機的に把握できたように思う。今後も、食物アレルギーや多職種連携する企画を継続的に取り上げていきたい。

 参考に
 詳しくは保険医協会のホームページ 講演会の動画
ishikawahokeni.jp/230709-2/
 食物アレルギー講演会 第1弾 食物アレルギーの みかた
kojima-dental-office.net/20181111-4353#more-4353
 食物アレルギー講演会 第2弾 家庭・園と学校・病院 それぞれのみかた
kojima-dental-office.net/20190707-4611#more-4611
 メモ
A.食物アレルギーの基本的なこと
 1.食物アレルギーの定義
 食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象
 食物アレルギー診療ガイドライン2021 第2章 定義・分類
www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_2.html
 2.臨床型分類
  アレルギー症状が出現する状況を「臨床型」として分類。
  免疫学的機序によって大きくIgE 依存性と非IgE 依存性に分類。
   (前回の講演会と少し変わった)
  ①IgE 依存性食物アレルギーの臨床型分類
   a.食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
    ・1歳未満の乳児に発症
   b.即時型症状(蕁麻疹、アナフィラキシーなど)
    ・食べて2時間以内に発症
    ・最も多い
   c.食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)
    ・食べることと運動が重なって発症
   d.口腔アレルギー症候群(OAS)
    ・口の中が「イガイガ」する
  ②非IgE依存性消化管アレルギー
   a.新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症( FPIES)が最近増えている
    ・新生児から乳児期において主に牛乳が原因で
     嘔吐、血便、下痢などの消化器症状により発症する
   b.最近日本ではsolid FPIES(固形食物によるFPIES)、
     特に卵黄のsolid FPIESの増加が注目されている
 3.原因食物
  ①頻度
   ・卵、牛乳、小麦のトップ3は変わらない
   ・ナッツ、ピーナッツが増え
   ・魚卵類、甲殻類は多くはないが、重症のリスクが高い

  ②年齢別原因物質
   ・0歳児では、卵、牛乳、小麦
   ・1~2歳では、2位が魚卵類、3位が木の実類
   ・3~6歳では、1位が木の実類
   ・7~17歳では、1位が果物類
   ・18歳以降では、1位が甲殻類
 4.症状
  ①症状出現頻度
   ・皮膚症状が100%でないことに注意が必要
      皮膚症状がなくても食物アレルギーの可能性がある
  ②即時型症状の臨床所見と重症度分類(グレード1、2、3)
   ・各臨床所見における重症の症状を把握しておく
  ③アナフィラキシーの診断基準が2021年のガイドラインで変わった
   a.原因不明でも
    ・皮膚症状と次の3つのうち一つでもあれば
      呼吸器障害
      血圧低下や末梢機能障害の関連症状
      特に食物でないアレルゲンに曝露した後の重篤な胃腸症状
   b.典型的な皮膚症状がなくても食物アレルギーが原因と分かっている
    ・血圧低下+気管支攣縮または喉頭病変
   *エピペンが処方されている患者で
     アナフィラキシーショックを疑う場合は躊躇せずに
 5.感作 アレルゲン暴露により準備状態(アレルギーが生じる状態になること)
  ①胎内感作 明らかではない
   ・母親が食べたもので起きるとは考えにくい
  ②経皮感作 有力
   ・湿疹のある皮膚から直接入ったアレルゲンによってIgE抗体が作られる
  ③経消化管感作 正式なルート
   ・アレルギーを抑える免疫細胞が活発に
  ④経気道感作
   ・小麦粉など、塵埃中の食物アレルゲンの吸入により、経気道的に感作が成立
   ・花粉の経気道感作は、交差反応による花粉-食物アレルギー症候群の原因となる
 6.診断 次の2点を証明することで確定
   ➀特定の食物の摂取により症状が誘発されること。
   ➁症状誘発が、特異的IgE抗体など免疫学的機序を介する可能性があること。
  *血液検査と皮膚テストは可能性を探り、負荷試験は診断となる
  a.免疫学的検査 血液検査(特異的IgE抗体検査)、皮膚テストなど
   ・検査で陽性=アレルゲンへの「感作」を示している
    →それが必ずしも症状誘発に関わる真のアレルゲンであるとは限らない
   *食べて症状がない→食べる
   【特異的IgG(IgG4)抗体検査】
    ・アレルゲン特異的IgG(IgG4)抗体の陽性をもって、
     「遅延型食物アレルギー」と称する診断が行われる場合があるが、
     医学的に確立された病態ではない。
    ⇒日本小児アレルギー学会および日本アレルギー学会から、
     この問題について注意喚起が出されている
  b.食物経口負荷試験
  【目的】
   ①食物アレルギーの確定診断(原因アレルゲンの同定)
    ・食物アレルギーの関与を疑うアトピー性皮膚炎の病型で
      除去試験により原因と疑われた食物の診断
    ・即時型反応を起こした原因として疑われる食物の診断
    ・血液検査で調べて感作されているが未摂取の食物の診断
   ②安全摂取可能量の決定および耐性獲得の確認
    ・安全摂取量の決定(少量~中等量)
    ・耐性獲得の確認(日常摂取量)
    *卵の場合、お菓子などの加工品→ゆで卵、炒り卵→半熟→生卵
  【食物経口負荷試験の実際】
    ・症状なし→同量から開始し、自宅で増量していく
    ・症状あり→症状が出た量の1/10から開始し、自宅で増量していく
B.事前質問
 a.アナフィラキシーを起こしてしまったために、アレルギー症状が悪化してしまうことはありますか?(ハチに刺された場合は1回目よりも2回目の方が危ないことと同じ?)
   ・ちょっと違う。2回目の方が弱くなることが多い
   ・ハチの場合は、1回目に感作が成立し、抗体が作られ準備状態となり、
           2回目に刺されると、アレルギー症状を起こす
  b.食物アレルギーをもつ乳児との関わり方について。
   ①給食提供を前提とした上で、生活管理指導表を活用して組織的に対応することが重要。アレルギーの子と、そうでない子に差がないように。
 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン
www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku03.pdf
   ②「不必要な除去」を避ける
    ・正しい診断のつけ方を知っておき、保護者に適切に案内する。
    ・口の周りの発疹は、塩かぶれや仮性アレルゲンによる反応のことが多い。
      (接触性皮膚炎)
    ・血液検査の必要性は病院で判断するので、相談してくださいと伝える。
 参考に
 チャイルドヘルス 2023年 Vol.26 No.7 2023-06-28
www.shindan.co.jp/books/index.php?menu=03&zcd=6
 【特 集】現場の外からみた「保育」~今までと違う視点で~
   5.知っておきたいアレルギーのある子どもへの対応…武石大輔
  c.薬用はみがき類使用後に発現したアナフィラキシーについて
    2022年12月~2023年5月の間に、歯磨き粉でのアナフィラキシーの報告が3件あった。歯科関連ニュース5.5.25.
kojima-dental-office.net/20230525-7006
    ・どんな物でもアレルギーは起こり得ることを知っておく。
    ・可能であれば薬剤(エピペンなど)を置いておく。
    ・いざという時のためにシミュレーションしておく。
C.「おとな」の食物アレルギー
 a.中華料理を食べた後に救急要請中華料理を食べた後に救急要請
  19歳男性
  【主訴】呼吸困難
  【現病歴】12歳のときにミックスナッツを食べた直後に蕁麻疹があり、
       その後は木の実類全般やピーナッツを避けて生活していた。
     ・夕方に友人たちと中華料理店で会食を始めて15分後に呼吸が苦しくなり、
       気分が悪くなったために救急要請した。
     ・出された料理はエビのチリソース炒め、棒棒鶏、豆腐、春巻き。
       飲酒はしていない。
       いずれのメニューの食材も材料レベルでは
       過去にアレルギー症状を起こしたことはない。
  【診断】ピーナッツアレルギー
     ・棒棒鶏のソースにピーナッツが入っており、
      それに反応したアナフィラキシーと考えられた
     ・木の実類やピーナッツのアレルギーは寛解しにくく、
       またアナフィラキシーショックなど重篤な症状を起こしやすい。
      さらに調味料や菓子類などに使用される場合は目視では困難となるため、
       「隠れた抗原」として意識することが重要
 b.鴨南蛮うどんで日本酒を一杯
    35歳男性
   【主訴】蕁麻疹、咳嗽
   【現病歴】夕食にそば屋で鴨南蛮うどんと日本酒を1合摂取したところ、
     食事開始30分ほどして掻痒感を自覚し、直ちに頚部、肘窩に蕁麻疹を認めた。     さらに喉頭絞扼感と咳嗽が出現し、蕁麻疹が全身に広がったために救急要請。
   【既往歴】小児期にソバを少量摂取した際に口腔内違和感があったため、
     摂取を回避してきた。
   【診断】そばアレルギー
      ・うどんとそばのゆで釜は共有されており、つゆはそのゆで汁を使用
 c.アレルギーはありません…なのに親子丼を食べたら息苦しくなった
     48歳女性
    【主訴】鼻汁、咳嗽、呼吸困難
    【現病歴】ここ数カ月、加熱が十分ではない鶏卵料理を摂取すると
      咽頭違和感や蕁麻疹が現れるようになっていた。
      ・受診当日の昼に半熟の親子丼を一人前摂取したところ
        10分後に鼻汁、咳嗽、呼吸困難を訴え救急外来を受診した。
      ・子どもの時は卵アレルギーではなかった
    【生活歴】20年前からセキセイインコを飼っており、
      1年ほど前から羽毛の生え変わりの時期にくしゃみや鼻汁を認めていた。
      ・最近は腕にインコを載せると接触部位の発赤を認めるようになっていた
    【診断】バードエッグ症候群
      ・鳥類を飼育している人が⾧年羽毛や糞便を吸入することで
        該当鳥類に対し感作が起こり、その後に加熱の十分ではない
        鶏肉や鶏卵黄を摂取することで即時型の食物アレルギーを起こす疾患
 d.豚肉の卵炒めを食べた後の全身蕁麻疹、腹痛・下痢
     27歳女性
    【主訴】咽頭掻痒感、蕁麻疹、喘鳴、腹痛、嘔気、下痢
    【現病歴】26歳の夏に生カキを食べて、軽度の腹痛、嘔吐、下痢症状が出現し、          市販の胃整腸薬を服用し数日で回復した。
         また冬にカキを食べた後ものどの痒みと四肢・体幹の掻痒感に加え
          同様の消化器症状が出現し、市販の抗ヒスタミン薬と胃腸薬を
          服用し2日で改善した。
         27歳の春に中華料理店で豚肉の卵炒めを食べた20分後に
          のどの痒みから全身の蕁麻疹、喘鳴が出現し、
          腹痛、嘔気、下痢も伴ったため、救急外来を受診した。 
    【診断】カキアレルギー
      ・細菌やノロウイルスあるいは貝毒による食中毒との鑑別を要する。
      ・食中毒の場合は、症状は摂取後2~24時間以内に出現しやすく、
        発熱を伴うことが多い。また、生のカキで起こることがほとんど。
      ・カキアレルギーの場合、加工しているオイスターソース
        原料がカキのため摂取しないことが肝要。
 e.繰り返すアナフィラキシー!原因がわからない!?
     22歳男性
    【主訴】繰り返すアナフィラキシーの精査目的
    【現病歴】5年前からアナフィラキシーを5回経験。
         過去5回精査をしたが、原因が突き止められなかった。
         今回もアナフィラキシーで深夜2時に救急搬送。
      ・前日の昼食はpm12:30にオフィス近隣の飲食店で和定食
        (焼いた紅鮭西京漬け、里芋・人参の煮物、オクラと納豆の和え物、
         豆腐入り味噌汁、白米)を食べて、帰宅するまで自身のデスクで業務
     【診断】納豆アレルギー
      ・納豆摂取から5時間~半日程度遅れてアナフィラキシーを呈する。
      ・クラゲと交差反応を示すため、マリンスポーツにおける
        海洋生物との経皮・経粘膜的な接触も確認する
       サーファーなどクラゲに刺されている人は注意
 f.具材豊富なお好み焼きを食べた後に
     35歳女性
    【主訴】呼吸困難
    【現病歴】8月某日、自宅でお好み焼きを作って昼に食べたところ
       数分後に顔面と前胸部に膨隆疹が出現し、
       呼吸困難と喘鳴を自覚したため救急要請した。
    ・お好み焼きに入っていた具材は卵、イカ、タコ、キャベツ、ニンジン、豚肉
    ・これまでに小麦製品(パン、うどん、パスタなど)は問題なく摂取できていた
    【合併症・既往歴】通年性アレルギー性鼻炎
    【診断】Pancake syndrome(口腔ダニアナフィラキシー)
     ・家庭用のお好み焼き粉や天ぷら粉、ホットケーキミックスなどを開封後、
       常温で放置すると粉の中でダニが繁殖する。
     ・通年性のアレルギー性鼻炎や気管支喘息を有する患者では
       ダニへの感作を有していることが多く、このダニが繁殖した粉を
       調理して経口摂取した際にアナフィラキシーを起こすことがある。
     ・ダニはアミノ酸を含んだ粉を好むため、一度開封したお好み焼き粉は
       冷蔵庫で保存し、開封後はなるべく早期に使い切るようにする。
 g.キャンプ場でのアナフィラキシー
      49歳男性
     【主訴】膨疹、下痢
     【現病歴】年に何回か食事摂取後に全身の膨疹と下痢が出現していた。
       趣味であるキャンプに行き、バーベキューで食事をとった2時間後に
       全身の膨疹と下痢が出現し、排便後のふらつきも認めたために救急要請
       搬送先でアナフィラキシーの診断で同日緊急入院した。
【診断】マダニ媒介赤身肉アレルギー
        ・趣味のキャンプなどで過去に十回以上ものマダニ咬傷の既往
        ・牛肉特異的IgEも陽性
 h.ローストポークのディナーには赤ワインをあわせて
       46歳女性
     【主訴】喘鳴、発疹、下痢
     【現病歴】8年前から自宅でネコ1匹を飼育していた。
       ・夕食で、低温調理したローストポークを摂取した。
       ・食事している最中から腕が痒くなった。
       ・食後、2時間ほど経って、喘鳴と全身の膨疹・発赤が出現したため、
         救急要請した。
【診断】Pork-cat syndrome
       ・ネコ血清アルブミンに経気道感作された後に、
         交差反応による豚肉摂取時のアナフィラキシーをきたした症例。
       ・豚肉中の血清アルブミンは十分に加熱することでアレルゲン性を低減
       ・豚肉を摂取する際は、十分に加熱されたものであることを確認する。
       ・加熱の不十分な豚肉や燻製した豚肉の摂取で症状が出やすい

食物アレルギー講演会 第3弾
テーマ:食物アレルギー 基礎から最新情報まで
講師 武石 大輔氏(城北病院 小児科)
ishikawahokeni.jp/230709-2/
日時:2023年7月9日(日)14時~16時
場所:石川県地場産業振興センター 新館1階 コンベンションホール(最大300人)
    (階段教室のような造り、机が備え付けられていない)
   机がないので、バインダー等をお持ちいただくことをおすすめします。
<対象>
  歯科医師、医師、医療機関のスタッフ、保育士、養護教諭、栄養士、
  調理師等のほか興味のある方はどなたでもご参加いただけます。
◆ 定員200人 前回は200人を超えでした
  定員に達した場合は、申込締切より前に締め切る場合があります。
  お早めにお申し込み下さい。
◆申込方法 詳しくは230709_食物アレルギー_チラシ
  ①医療機関または団体名、②申込者名、③電話番号、④参加者名と職種を記入の上、  石川県保険医協会にお申込みください。
 [申込締切」7/3(月)
 [ご質問]講師へのご質問は 6/26(月)までにお送りください。
  新型コロナ感染拡大による予定変更や申込を受付できない場合等に限り主催者からご連絡します。
主催:石川県保険医協会
 金沢市尾張町2-8-23太陽生命金沢ビル8階
 TEL 076-222-5373
 FAX 076-231-5156
  Email  ishikawa-hok@doc-net.or.jp
<後援>石川県教育委員会、金沢市教育委員会
     石川県栄養士会、石川県保育士会

~講師からのメッセージ~
 この 3 年は、新型コロナウイルス感染症一色でした。医療機関はもちろん、保育や学校の現場でもその対応に追われることが多かったと思います。しかし、どんな現場でもコロナ以外にも対応しなければいけない課題がたくさんあります。その中の1つが食物アレルギーです。
 コロナ一色だったこの 3 年の間にも、食物アレルギー診療も進歩しています。2021 年には食物アレルギー診療ガイドラインが改訂され、最近は大人の食物アレルギーも注目を集めています。
 今回は、食物アレルギー診療の基礎をおさらいしつつ、最新の情報をみなさんにお伝えしたいと思います。
[略歴]
  2003 年金沢大学卒業
  2010 年 4 月~10 月  国立病院機構相模原病院でアレルギーの研修
  2010 年 11 月~2011 年 3 月 東京慈恵会医科大学第三病院でアレルギーの研修
  2011 年 4 月~ (公社)石川勤労者医療協会城北病院小児科で勤務
~主催者からのご案内~
 2018 年と 2019 年に開催して好評を博した武石大輔先生の食物アレルギー講演会第3弾を企画しました。
 第1弾の講演会では、IgE の血液検査と症状は必ずしも一致しないこと、口から入ったアレルゲンより、湿疹のある皮膚からの方が発症リスクが高いこと、牛乳・小麦は3歳、卵は6歳で6割が自然治癒するが、小学校まで持ち越すと治りにくいこと、心配のあまり離乳食の開始時期を遅らせると、アレルギー発症の危険性が高くなること等、多くのことを学びました。
 第2弾では、病院、家庭、園・学校の立場から、子どもたちが安心して安全な食生活を送れるようにするにはどうしたらよいかを皆で考え、異なる立場の方々と、双方向の意見交換をすることができました。また、乳児期の湿疹を治療しておくとアトピーや食物アレルギーの発症が減ること、いたずらに除去を続けないこと、症状が出たら医師の指示に従うこと、自宅では少しずつ食べられるようになっても、園や学校など集団生活では解除確認まで除去を継続することなどを学びました。
 第3弾では、講師の武石先生に、食物アレルギーの新しい知見や考え方を交えてお話しいただきます。食物アレルギー問題に直面している皆さんと理解を深め、連携促進に役立つ機会となることを願っています。奮ってご参加ください。

 参考に
乳児期のアトピー性皮膚炎への”早期治療介入”が 鶏卵アレルギーの発症予防につながる ~二重抗原曝露仮説を実証する世界で初めての研究成果~
kojima-dental-office.net/20230507-7006

●朝日新聞トップ記事「食物アレルギー児童生徒52万人」
www.asahi.com/articles/ASR6Y544DR6QUTIL005.html?iref=comtop_7_01
30日の朝日新聞朝刊1面トップに「食物アレルギー児童生徒52万人 公立校調査で9年で12万人増、アナフィラキシー5万人。現場は試行錯誤」と報じられています。

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