知っておきたい食物アレルギーのいろいろ
2018年06月30日(土)
講師:金沢医科大学病院 小児科医
中村 利美先生
平成30年度食物アレルギー講演会
学んで活かそう 子どもの食物アレルギー
日時:6月30日(土)9:30~11:00
会場:内灘町役場 町民ホール
対象:食物アレルギー疾患児をもつ保護者・ご家族
町内児童福祉施設・学校関係者
食物アレルギーについて知りたい方など
どなたでも
締切:6月22日(金)まで
お申込み・お問合せ:
内灘町保健センター076-286-6101
食物アレルギーの みかた
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食物アレルギー講演会 第2弾
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伊藤節子著「親と子の食物アレルギー」
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内灘町の現状
・平成30年就学児のうち約60人/年が食物アレルギーのため何らかの対応が必要
・10年前から毎年、食物アレルギー講演会を開催
初めは対象者が町の関係者の一部だったが、
いろいろ形や対象者を変え、今年は保護者も対象となった
・給食指示書が内灘町で27年から統一された
医師からの指示と家族からの食べている現状を記入
→給食内容の確認→代替食
参考に
保育園・幼稚園・学校における
東京都の食物アレルギー 日常生活・緊急時対応ガイドブック
www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/allergy/pdf/pri05.pdf#search=%27%E7%B5%A6%E9%A3%9F%E6%8C%87%E7%A4%BA%E6%9B%B8++%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%27
講演会メモ
・食物アレルギーは日々進歩している
・医療者は患児一人一人にあった安全で有効な治療法を提供できるよう日々努力している
・いろいろな情報が錯綜する中、お子さんにあった治療法や集団での対応方法を選択できるように、①医療者、②保育園・幼稚園・学校、③保護者が、共通の正しい知識を持ち連携をとることが大切
A.基礎知識
a.食物アレルギー
・免疫反応が食物に対しても異物と判断して過敏に働き
蕁麻疹やかゆみ、咳などが引き起こされる
b.主な原因食品
・卵、牛乳、小麦
・4位以下は年々変わる
・大豆は昔は煎っていたが今はランク外
c.どうやって判断する?
1.問診が最も重要な情報源
・いつ食べて、いつ症状が出て、いつ消えたかをきちんと食物日誌に書く
・思いこまない
・2時間以内に症状
2.診断のための主な検査
・血液検査 IgE抗体を測定
0陰性 ~ 6陽性
同じ値でも食べられたり、食べられなかったりする
年齢によっても食品によっても異なる
・皮膚試験
・除去試験 疑わしい食品を除去してみて改善するかを診る
・食物経口負荷試験
確定診断 即時型反応のリスクがある場合は実施しない
医科大では今年から前日ルートを確保・入院
どのくらい食べられるか閾値を診る
誤食しても大丈夫か
d.どんな症状が出る?
・92%は皮膚症状
・アナフィラキシー 2つ以上の臓器に症状
・アナフィラキシーショック 血管拡張→血圧低下
・食べてから数分~2時間以内に症状がでる
ピークは症状が出てから30~60分
e.タイプ
・食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
果物によるものが多くなってきている
定年退職者がパン食べて散歩後に起きる事例もある
感冒時や解熱鎮痛剤内服した時にも運動しない
・口腔アレルギー症候群
交差反応性抗原 ラテックス
花粉症と果物
ダニと甲殻類
f.治療法
・治療すると食べられるようになっていく
小さい時に発症したものは治りやすいが、
大きくなってからのものは治りにくい
1.食事療法
・食物完全除去 一定期間原因食物を全く摂取しない
・食事指導 閾値以内で原因食物を食べる
・経口免疫療法 閾値を超えて原因食物の摂取量を徐々に増量していく
2.薬物療法
3.対症療法
B.緊急時対応
www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/allergy/to_public/kinkyu-manual/7f76eea5e9ad849c49f85c28056a14b21.pdf
・症状に気づき人を集める
・緊急性の判断
・高い場合の対応
安静を保つ姿勢
脈を診る
C.誤食しないための体制
・正しい知識を共有
・指導表提出から給食対応までの流れを理解する
何をチェックするか、ダブルチェックが基本
・担当でなくても気にかける
・緊急時を想定した連絡、投薬、観察、搬送などの訓練
1.給食指示書
食物アレルギーのタイプ、アナフィラキシーの有無、原因食品と除去
緊急搬送先と問い合わせ先
2.除去食解除指示書
E.Q&A
a.予防
・一次予防 感作をブロックする
保湿スキンケア
・二次予防 感作されてしまったが、発症を防ぐ
乳児アトピー性皮膚炎緩解後、少量ずつ食べさせた方が発症しない
数値が高くても症状が出ていなければ食べ続けても大丈夫
食べ続けていないと元に戻る
b.救急車を呼ぶタイミング
・先ずは5分以内に緊急性の高い症状があれば
・その後5分ごとに状態を確認し、重症の症状が現れれば
c.給食に頻度の高いアレルゲン食品を入れないのはどうか
対象人数、アレルゲンの種類、重症度なども考慮する
1.メリット
・アレルギー児もそうでない児も同じ給食が食べられる
・誤食の危険性が減る
・職員のチェックの手間が減りその分保育や調理に時間が割ける
2.デメリット
・栄養面で偏らないか
・食材の種類が限られ献立がマンネリ化
・コストがかかる
・アレルゲンが多様化しており全部を除去できない
・一度も食べたことがない食材を増やす恐れあり
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