歯周病と関節リウマチ
2023年04月15日(土)
「歯周病があると関節リウマチの炎症が引かない」と医科の先生に言われて患者が来院した。歯周病と関節リウマチは双方向性の関連がある。歯周病菌が作り出す毒素(炎症性物質)によって、関節リウマチが発症・進行することや、歯周病の治療によって、関節リウマチの症状が改善することが分かってきている。しかし、何故そうなるのかに対する決定的なエビデンスは、まだ得られていない。
参考文献
1.歯周病による関節リウマチ発症・悪化機序の解明
www.ircp.niigata-u.ac.jp/seeds/9722.html
新潟大 医歯学総合病院 准教授 小林 哲夫
歯垢の細菌数は体内最多で、同細菌感染による炎症性疾患が歯周病です。歯周病は、高い罹患率から国民病とも言われ、全身の健康にも悪影響を及ぼします。近年では、代表的な自己免疫疾患である関節リウマチと双方向性の関連にあることが考えられています(図1)。
私どもは、本学腎・膠原病内科学分野ならびに新潟県立リウマチセンターとの共同研究によって、2疾患のリスク遺伝子、遺伝子epigenetic修飾と翻訳後修飾発現の共通性・類似性、歯周病治療による関節リウマチ改善を明らかにしました。また、サイトカイン阻害生物学的製剤は歯周病にも改善効果があり、その関節リウマチ改善効果は歯周病と代表的歯周病原菌Porphyromonas gingivalisにより抑制されることも報告しました(図2)。
本研究では、これまでの研究結果を基にして、2疾患に共通する自己免疫関連マーカーに着目し、歯周病による関節リウマチ発症・悪化機序の解明を目指しています。同機序の解明により、歯科における関節リウマチ予防システム開発が期待され、その基盤的研究を展開したいと考えています。
2.歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズムの可能性
佐藤圭祐*1,山 崎 和 久*2
*1 新潟大学大学院医歯学総合研究科歯周診断・再建学分野
*2 新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔保健学分野
日本歯周病学会雑誌2019年 論文 歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズムの可能性
ここでは最近のトピックである歯周病原細菌と腸内細菌叢について触れられています。
3.「ペリオドンタル・メディシン」出版記念祝賀会
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4.臓器たちは語り合う 5.腸 ①腸内細菌
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- カテゴリー: 全身疾患と歯周炎