夫婦の歯周炎
2010年11月07日(日)
夫婦の歯肉の状態を見てみると、病的な歯肉形態がよく似ていたり、意欲によって改善状態が変化したりすることが分かる。妻は早期に歯周炎に罹患していたが、食生活の改善やプラークコントロールの定着、定期健診の継続により15年後も口腔機能に支障なくすべての歯牙が働いている。しかし、夫は初診当初軽度の歯周炎だったが、徐々に進行している。
患者 妻25才女性
初診 平成6年9月7日
主訴 右下1番の歯肉からの出血が気になる
特記事項 小学3年生から6年生始め頃に左右下の4番と右上4番、左上2番を抜歯して矯正治療を行い、最後に左右6番にクラウンを装着した。1年ほど前、風邪をひいた時左右6番部の歯肉が腫れた。歯石が付いているから歯肉から血が出ると思っていた。
現症 歯肉の発赤、腫脹が著しく、歯石も多量に見られる。プロービングデフスは、右下6番の9mmを除いて全体に4~6mmであり、出血が著しい。歯牙の脱灰も顕著であり、咬合も不安定である。
治療方針 プラークコントロールの定着と食生活の改善後に、全顎にわたりルートプレーニングを行う。下の両側6番の分岐部病変は経過観察とした。
経過 9/7 口の中の状態を説明し治療方針をお話しする。翌日より赤染めによるブラッシング指導・よく噛む食事指導とスケーリングを開始する。しかし、翌月、妊娠2ヶ月に気づき、つわりもがひどくなったが、本人の工夫と歯科衛生士によるクリーニングで少しずつよくなり、12/27、3ヶ月後には歯肉の状態はかなり改善された。その後子どもさんが小さいときには通院ができなかったが、1才になってからは定期健診を続けている。
平成12年8/25 歯肉の状態は安定し、プラークコントロールも定着している。
平成17年11/18 下顎前歯唇側部の歯根露出が著しく付着歯肉がほとんど無く、歯槽粘膜部が歯根を取り巻く状態となり、プラークコントロールが不十分になりやすく歯肉の炎症も生じやすい。しかし健康な口腔への意欲を持ち、今でも定期健診を続け、右下6番も動揺・自覚症状なく機能している。
患者 夫25才男性
初診 平成6年7月22日
主訴 左上がしみる
特記事項 心臓弁膜症にて時々入院する。ワーファリンを内服している。
現症 左下1番に歯肉の発赤、腫脹は見られるが、プロービングデプスは右上6番と右下7番の5mmを除いて4mm以下である。咬耗が著しい。また、歯ブラシ圧が強く1ヶ月使用できない。歯根露出による知覚過敏と考えられる。
治療方針 歯ブラシ圧の体得と習慣化
経過 7/22 しみる原因についての説明を受け、赤染めによるブラッシング指導を数回体験する。1ヶ月ほどでしみなくなる。以後定期健診を受ける。
平成8年7/5 歯肉の状態は左下1番部は改善しているが、プロービングデプス5mmのところが初診時より上顎左右7番と追加になり、2本も増えた。また、プラークコントロールももう一歩のところである。
平成14年1/8 右下8番や左上3番が腫れる。タバコの量も増える。プロービングデプス5mm以上が左上3番も追加になる。以降定期健診に通っているが、プラークコントロールに対する意欲が今ひとつであり、歯肉の改善もあまり見られない。
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