強盗対策
2003年09月15日(月)
2003.9.15.
関東地方で今年5月以降、歯科医院ばかりを狙った緊縛強盗が相次いでいる。犯行の酷似した手口などから、同一グループによる犯行とみられている。最も特徴的なのが、犯行時間が閉院準備中の午後8時ごろに集中している。最後の患者が医院を出た直後に多発している。歯科医院ばかりが狙われる背景には、歯科独特の特殊性がある。歯科は完全予約制の性格が強く、患者のいない時間を把握しやすいためと思われる。事前に最後の予約を入れて犯行におよぶ場合もある。石川県内でも今年1月から7月までに670件の住居対象侵入盗があり、歯科医院も数件耳にする。
この機会に、以下の対策を参考に、各医院の効果的な防犯策を検討し、訓練しておこう。「どこの歯科医院でも対策している」と思わせることが一番大切だ。また、地域町内会や交番、防犯協会と交流を深めよう。
A)必要な対策
1.自主警戒について
・診療時間帯に、定期的に医院の周囲の見回りを行うなどして、不審者又は不審な車の発見などの自主警戒を行うとともに防犯カメラの設置なども考慮して頂きたい。
・今まで発生した事件は、閉院終了直前に被害に遭っている事から、特に閉院時は医院周囲の自主警戒をする必要がある。
・被疑者が、下見をしていることが十分考えられるので、不審者又は不審な車を発見した場合は、受け持ちの警察署又は110番通報すること。
2.現金、キャッシュカードの保管場所について
強盗犯人は、医院に置いている現金とキャッシュカードを奪い取ることから、保管場所には十分注意すること。
3.受付・待合室を外から見やすくする。
受付カウンターが外からよく見えると襲い難い。
4.挨拶をする
防犯とは関係ないように思えるかも知れないが、サービスを向上するべきだろう。特に来院したときに、目を見ながらきちんとあいさつする。もし強盗をしようとして入ったときににっこりと声をかけられ、目をあわせたら犯行には及びにくい。
犯人は他に誰も居ない時間を見計らって犯行に及ぶわけだから、患者が多く、いつも忙しい歯科医院は安全になる。サービスを良くすると、経営も良くなるし、安全にもなる。一石二鳥だ。
5.情報の入手
強盗犯は連続して近隣の店舗を襲う例が多いので、近隣の商店、診療所、警察と協力し、犯行があったら連絡し注意をする必要がある。最近では防犯協会などが連絡組織を作ったり、緊急情報をファックスで流す等の対策があるので地区により活用するべきだろう。
B.強盗に襲われたとき
以上のように注意していても運悪く強盗に襲われたときの対処の方法をしっかりトレーニングして置く必要がある。
1)ヒーローになるな
決して強盗に立ち向かってはならない。幾ら武術の有段者であっても立ち向かってはならない。お金は働けば戻ってくるが命は戻ってはこないのだ。
2)冷静になれ
レジの内部に必要な釣り銭だけ入れて置けば被害額は5~6万円ですむのだ。重要なのは、冷静になって犯人の顔の特徴(鼻、目、耳の形、ほくろの位置)、服装、なまり、年齢、身長、靴など正確に覚えて置くことだ。この特徴を正確に警察に伝えることにより犯人の逮捕が早くなる。また、逃走した場合、逃走方向、逃走手段、車を使用するのなら、ナンバー、車の色、メーカー名などをすぐにメモし警察に連絡することが重要だ。また、凶器の種類、サイズも重要な証拠になるので覚えるとよい。
特に重要なのは犯人の身長だ。身長を正確に計測するには入り口のドアーへの目印や棚の高さとの比較などの訓練が有効だ。
3)連絡
犯人が立ち去ったら、逃走用の車、自転車、逃走方向を確信したら、必要なことをすぐにメモし、110番をする。次に最寄りの交番への連絡を忘れないようにする。
慌てると、電話番号がわからなくなるので、緊急用の電話一覧表を電話器のそばにおいておく必要がある。
4)現場の保管
犯行後は直ちに歯科医院を閉め、犯行現場を保存する。犯人の指紋や、靴跡など証拠を荒らされないようにすることが重要だ。
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