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DV防止法施行に伴う医療機関の役割

2002年01月15日(火)


 DV防止法(正式名称 配偶者からの暴力防止・被害者保護法)が成立、施行されます。従来、法は家庭には入らないとされてきましたが、今後は暴力は犯罪であり、処罰の対象となり、警察が積極的に介入できるようになりました。暴力に係わる通報や相談、接近禁止や保護、自立支援ができるようになりました。弱者の視点に立ち、空いた穴に注目し、一方的な隔離、離婚など力からの逃避に重点を置き、穴を空ける側の対処や両者の関係修復はまだまだのようです 。
 医療機関はDVの第一発見者、最前線になる可能性が高いですが、幼児虐待の対応と異なり、命に関わる時をのぞいて積極的に深入りせず、本人の意思を尊重し先入観を押しつけません。どんな患者にも同じ治療姿勢で臨みますが、予約時間や経済、保険など医療環境には特別な配慮を考えます。また、身体的苦痛だけでなく、精神的なダメージにも理解が必要であり、「あなたにも悪いことがありませんか」など追い打ちをかける二次被害防止に注意します。信頼できる歯科医師のネットワークを作り協力していきたいです。
 DV被害者の歯科治療
kojima-dental-office.net/20100622-824

石川県保険医新聞             2002年1月15日
2002年新春座談会
 パートナー・夫・恋人からの暴力
  ~DV防止法施行に伴う医療機関の役割~
     DV被害者を守るために
2001年11月2日(金)午後7時~9時
出席者  深川明子(おんなのスペース代表・金沢大学教育学部教授)
     広岡立美(おんなのスペース副代表・県会議員)
     高松弘明(内科)
   司会牛村繁 (眼科)
     平田米里(歯科)
     小島登 (歯科)
     北山吉明(形成外科)
     大平政樹(外科)   

 医療機関として、DVをまず知りましょう
【牛村】本日司会をさせていただく牛村です。保険医協会の機関紙部副部長で、眼科を開業しています。まず自己紹介をお願いします。
【深川】金沢大学の深川です。「石川おんなのスペース」代表で、今日はその立場からお話しさせていただきます。
【広岡】広岡です。県議会議員ですが、今日は「おんなのスペース」の副代表の立場で参加させていただきました。行政サイドからみたDVという視点でもお話しできればと思います。
【高松】協会の会長、高松です。「DV」についてはまだ深い理解がない状態です。協会として今後の取り組み方を考える上でも、今日はより知識を深める機会としたいと思います。
【北山】保険医協会機関紙部員の北山です。形成外科を主に開業しています。この問題については、これまであまり身近に感じることがありませんでした。でも今思いますと、過去に何人かそういう患者さんもおいで、いろいろ悩んだこともありました。
【平田】歯科の平田です。DVという問題をつきつめますと、私は昔加害者だったのかという思いがあります。一方で愛情の裏付けのある暴力とそうでない暴力を同列に論じられるのかという疑問も正直あります。私は前者だったと考えているのですが、今日はこの場にいる資格があるのかと思いながら、議論に参加させていただきます。
【小島】歯科の小島です。「DV」の言葉自体は、一カ月ほど前に知りました。歯が折れたときなどは「どうしたのですか」とは聞くのですが、突き詰めることはしません。そこまで深く立ち入れないところがあります。歯科医院という特性上、他の方との空間の確保も難しいですね。今後は状況に応じて、他の患者さんと離れた場を確保したり、時間をずらしたりなど、少し配慮する必要性があるのかなと感じています。
【牛村】「DV防止法」が施行されたことで、今後医療機関にそのような患者さんがおいでる機会も多くなるかと思います。その際、医療機関側はどう対処していけばよいでしょうか、ということを知りたいところなのですが、まずDVの実態とDVとはどういうものかをお話しいただけますか。
【深川】「DV=パートナー・夫・恋人からの暴力」は、身体的な暴力だけではなく、物にあたる、心理的虐待、経済的支配、性的虐待、子どもへの虐待、動物への虐待などのすべてを含め、「暴力」といいます。暴力にはサイクルがあり、まず爆発期。その後とても優しくなるハネムーン期。そこから時間がたってくると緊張が形成され、また、又暴力。暴力のサイクルは人によって違います。二年、三年という場合もありますが、一般的には、次第に過激となり、同時にサイクルも短くなります。
 DVの難しいところは、家庭内のことは表沙汰にしたくない、という誰にでもある気持ちです。その上法律も家庭の中に入ろうとしませんでしたので、一層解決を難しくしてきたということが言えると思います。女性の立場からいいますと、暴力を受けても最初は頻度も少なく我慢します。私が好きだった人ですから、私の力で何とか変えられるのではないかと考えます。ハネムーン期のこの人が本当の姿で、暴力を振るうのは本当の姿ではないと信じようとします。そうした繰り返しが解決を難しくしているのです。
 もう一つは離婚してしまいますと、子どもが一人親になります。父親のいない家庭は、いい家庭とはいえないという「父親神話」から抜け出せなくて、それもDV問題を解決する大きな障害になっています。そのほか女性の経済的自立という問題もあります。

 半数以上の女性が、DVの被害者
【牛村】DVの発生数は全国でどれくらいあるのですか。
【広岡】一九九九年秋に総理府男女共同参画室が二十歳以上の男女四千五百人を対象にした調査では、「命の危険を感じるくらいの暴行」を受けた経験があると回答している女性が、四・六%います。金沢市の調査では五・二%で、金沢市の方がやや多くなっています。「医師の治療が必要になるほどの暴行を受けた」が、全国で四%、金沢市で四・三%です。暴力の頻度ですが「週に一回程度」が一二・七%、「週に数回」が二〇・六%、「毎日」が二二・二%、合計すると半数以上です。
【平田】一口に暴力と言いますが、その定義は何でしょう。例えば大声で怒鳴られたことも暴力ということになるのでしょうか。
【深川】大声で怒鳴られたことを暴力と認識するかしないかは、回答者の意識の問題で、その人がどう受け取ったかによります。ただ大抵の場合、大声を上げるだけで止まる人はいないようです。殴る蹴るの身体的な暴力と、精神的なものが両方ミックスされます。
【広岡】警察の統計から拾いますと、女性で殺された方のうち、年間大体百人を超える方がDVで殺されています。これはとても深刻な問題です。
【牛村】DVの起こる背景をもう少し掘り下げていただけますか。
【深川】なぜ暴力が起こるかということですが、女性側からすると女性に対する性差別といいますか、女性蔑視が根本にあると思います。「結婚してしまったら俺のもの」という考えが男性にあるのではないかということです。こうした根強い男性の偏見こそが、女性の人権を損ねていると私たちは考え、それがDVの一番大きな元になっていると考えます。それともう一つ忘れてならないのが、子どもも巻き込まれている実態です。金沢市の調査では、DV被害家庭の三分の一が、子どもも被害を受けています。子どもも直接被害者になっているのです。
【広岡】これは金沢市の場合ですが、日本全体では被害家庭の七割です。
【平田】DVをする夫、受ける妻という中に共通したイメージ像はあるのでしょうか。
【深川】特にありません。
【平田】被害者のアンケートばかりでなく、加害者側の事情も考えませんと、一致する解決点が見出せないのではないかと思います。
【広岡】以前はその視点から取り組まれていましたが、結果として被害を受けた人が全然救われませんでした。被害を受けた女性が逃げなければいけないのは、とてもおかしいことです。
【平田】DVの引き金として、妻の側に原因はないのですか。
【広岡】DVに対するスタンスの問題だと思うのですが、私たちはどうすれば被害者が救われるのですか、という視点で動いています。弱者、被害者の視点です。子ども、老人、女性。社会を取り巻く環境は依然として、弱者に様々な犠牲を強いています。彼らをどう救うかということから出発しませんと、誰も救えないことになります。それが人権を守るということです。いろんな意味で女性と男性の立場が対等だと言えるようになることが先決です。
【平田】年齢層による違いというものはあるのでしょうか。
【深川】今の若い人たちはわりあい保守的です。でもDV被害に遭って大変だと分かりますと、若いが故に決断し、別れる人も多いわけです。一方、婦人相談所では最近、六十歳を過ぎてからの相談が大変多いそうです。ずっとDV被害に遭っていて、どうしようもなくなり相談に来ます。子どものためにとか、私が我慢すればいいとか、あるいは経済的にも一人では食べていけませんからと、耐えに耐えて、でももう我慢できなくなって相談に来るというケースです。その意味での世代間の違いはあります。

 2001年10月にDV法が施行
【北山】このDVの運動は最初どこから起こってきたのですか。
【深川】アメリカでの取り組みが早く、二十年くらい前からです。一九九五年に北京で「世界女性会議」があって、特に女性の受ける暴力について考えようということになり、これが大きな契機になりました。五年ごとなので、昨年はニューヨークでした。世界規模で、DVの研究とか、被害者の調査、支援活動の充実、DVを起こさないための教育の必要性とかが討議され、いろいろな国で取り組まれています。
【牛村】それでは「DV防止法」についてお話しいただけますか。
【広岡】「DV防止法」は、正確には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」といいます。国会で超党派の女性議員たちが作りました。被害者をどう保護するかという観点で作られています。「接近禁止」「保護命令」などが盛り込まれ、それに基づき、直接的処罰も明記されています。二〇〇一年十月十三日に施行されました。残念なのはDVの問題は民間が貢献できる部分がとっても多いですのに、法律ではそれがまだまだ未整備なのです。そうした意味では不十分な法律だと思います。
【深川】前文に「暴力は犯罪である」と明記されたのです。多くの方の認識を高める意味では大きな役割を果たしていますが、確かに使い勝手はあまりよくないように思います。
【牛村】被害を受けた女性はどういう形で、その法律を適用されるのですか。
【深川】「DV防止法」の保護の流れは、大きく三つに分かれています。暴力の相談をしたいときは警察か婦人相談所です。夫から一時的に逃れたい場合は婦人相談所を経て保護施設に入ります。夫が近寄ってこないように保護命令の申し立てを行うときは地方裁判所へ行きます。ただ、場合によっては公証人役場へ出かける必要もあります。体も心もボロボロになっている人間に、そういうところへ行ってこいといいます。これでは法律の精神が生かされていません。
【牛村】「DV防止法」ができても、あまりよくないということですか。
【深川】運用の仕方によっては、被害者に有益に働くと思います。現在、私たちも婦人相談所や関係諸機関といろいろ連絡をとって活動をしていますので、運用面でお互いの分担、関係をきちんと整理することが必要になってくると思っています。まだまだこれからです。

 暴力のない社会と被害者支援を
【牛村】「石川おんなのスペース」という名称を初めて聞くのですが、今までどういう活動をされてこられたのですか。
【深川】「石川おんなのスペース」は二〇〇〇年の四月から準備を進めて、六月に発足しました。モットーは「DVのない社会、子どもも女性も安心して安全に住める家庭を、社会を」で、そのために何ができるかを考えています。一つは啓蒙活動で、講演会あるいは学習会などを開いて、いろんな方にDVについて理解していただく努力をしています。もう一つは実際に被害にあった方を支援する活動です。ホットラインでの電話相談、それと命の危険を感じている方を一時保護するシェルターもあります。いろんな取り組みを通して自立を支える試みもやっています。
【広岡】県外へ逃げて行く方の、いろいろな相談にも乗っています。県外から来る方もいます。子どもの学校の問題もありますし、経済的な問題、住む場所、職探しとか、生活にかかわるすべてのことが相談内容として関わってきます。
【牛村】今まで相談においでた被害者の方はどのくらいですか。
【深川】ホットラインを引いたのは二〇〇〇年の十一月二十五日で、大体一年たっていますが、電話では一回に一件か二件、話が長くなりますので、それだけで時間が来てしまいます。
【広岡】一回のホットラインが二時間です。まだ人手不足もあって、第二・第四の月曜日と土曜日の午前十時から十二時だけ実施しています。話すことで自分で道を見つけられる方もいますので、その方は電話で終わりになります。県外の民間シェルターからの相談もあります。

 ホットラインを知っていれば…
【牛村】医療機関側から、これまでのDVにまつわる経験を話していただけますか。
【北山】私の経験から、受診された患者さんには大きく分けて二つのタイプがあります。暴力を受けたと非常にはっきり言う方と、ちょっとお酒を飲んでいましたのでとか、曖昧な言い方をする方。前者の方は今後のことも含め自分の意見を毎回きちんと話されました。僕が答えるといっても「そうですか、大変ですね」としか言いようがありませんでした。ホットラインがあると知っていれば、相談しなさいと、サポートはできたでしょうが・・・。

暴力的かどうかは周りから見えにくいです
【高松】私のところは二人のおばあちゃんです。一人は六十歳くらいです。旦那さんは酒、バクチ。しかもアルコール性の肝硬変のかなり末期で、病院通いをしています。昔から大変な暴力にあって、殴る蹴るされて今日まで来ていました。今は病気の悪化で立場が逆転しています。子どもがかわいくて別れませんでしたと、言われるとおりの理由です。穏やかなおばあちゃんですが、殺してやろうかと何度思ったか分からないと言います。
 もう一人は後妻で、夫と前妻の子ども全員からやられています。ちょっとしたことで殴られて、何度も私のところへ来ました。今まで警察、民生委員にも言いいましたが、彼らもどうしたらいいか分かりません。あなたにも悪いところがあるのではということで、いつも話が終わっています。ところが、その夫の方ですが、周りから見るととても暴力を振るうようには見えないんです。
 最近もう一例あって、これは若い夫婦です。多重人格者のような男性で、妻に甘えてベッタリの幼児になってしまいます。会社へ行くと普通にやっていますので、会社側ではまったく分かりません。家では物を投げつけたりします。とうとう女性は逃げ出しました。

被害者の立場で医療機関の協力を
【平田】ホットラインの実態というのはどんなものなのでしょうか。
【深川】電話で相談する場合と、実際にその方と面接する場合とがあります。これは危険だと思ったら、シェルターへ来ていただきます。それは場合によります。
【広岡】当事者の思いが第一です。こちらからああしたらいい、こうしたらいいとは言いません。当事者がどうしたいかがまず第一で、それに沿って私たちができることをします。
【北山】児童虐待の場合は、話はかなり変わってきます。こちらが積極的に見つけ出していかないと救われませんから・・。DVの場合は、そこまで積極的に救い出そうとしなくてもいいのですか。僕たちはやっぱり最前線にいる気がします。歯科もそうですが、顔面などの外傷をたくさん扱うので・・。医者はどうあるべきかについて、「おんなのスペース」の立場から、ご意見はありますか。
【深川】DV被害を受けた方が、一番最初にタッチされるのはお医者様だということは、本当にそうだと思います。だからこそDVに関して認識した上で、ご協力いただきたいと思います。受診する方、病院に来る方は殴られてもいますが、それ以上に心も病んでいるんですね。それをまず知って欲しいんです。
【牛村】私は眼科ですが、以前、眼の周りを真っ黒にして来られた女性の患者さんがいました。特に眼球には異常がなかったのですが、その三カ月後に今度は反対の眼の周りを真っ黒にして来られました。結局四回同じように目の周りを黒くして来られましたが、今、思うとそれがDVだったのでしょうと・・・。本人は全然殴られたと言わないのですが、そのときに「どうしたのですか。殴られたのですか」とは聞かない方がいいわけですね。
【深川】本人が言わない限りは・・・。心が整理されていませんのに、他人に入られるとショックだと思いますので、そこは大事にしてあげて欲しいです。

命に関わる場合、まず“通報”を
【牛村】失明したときには誰が加害者かが問題になりますね。どう対処すればいいのですか。
【深川】普通は「DVでないのですか」と尋ねて「そうだ」となったら、「婦人相談所や警察へ連絡してもいいですか」と本人に聞きます。その上で「いい」と答えれば連絡します。「いや」と言っても命に関わりそうだとか、危険だとお医者さんの立場で判断された場合には、その限りではありません。「被害者の明示の同意が確認できないときでも、通報できることは当然である」と書いてあります。医師としては、ここまでできるということですね。
【牛村】医者がどこまで立ち入るかというのは、難しいですね。
【深川】当事者の気持ちを大事にしてあげることが一番です。「あんたも悪いところがありませんか」「一発や十発、私だって殴られました。我慢したらいい」など、相談に行った民生委員に言われたという話を聞いたことがあります。被害者が一歩踏み出して相談しようと思うそのときに、「あんたも悪い」と言われると本当に落ち込んでしまうんです。それを二次被害と言っています。そういう無神経な言葉をなるべく控えて欲しいのです。
【高松】女性側が人権意識を持って、この問題を早く認識して我々を利用していただくのが、最も大切ですね。最初からこちらが突っ込むと逆効果になりかねませんから・・。
【北山】二次被害と言われますと、グサッときます。迂闊に話せなくなります。力になろうという気持ちはいっぱいありますが、主導型ではないですからね。医者は考え方が主導型ですよね。患者さんを治すという立場ですから、自分がメインで動こうとする傾向があるんです。それを抑えながら被害者の考えをできるだけサポートするように動くということですね。
【牛村】シェルターは金沢にあるのですか。
【広岡】はい。県内にいくつかあります。
【北山】ちょっと話が戻りますが、問題を被害者側に絞るのではなくて、被害者と加害者をペアにして、その中で解決するという視点も必要だと感じるのですが・・・。加害者側に対する相談窓口もあるようですが、そこは紹介されたりはしないのですか。
【広岡】そこまでは手が回らないです。被害を受けている方の問題が大きいですので、とにかくそちらに対応しています。アメリカでは二十年前から対策をいろいろやっていて、加害者である男性が立ち直るための「加害者プログラム」があります。結構大変なものらしいです。それをやったとしても立ち直る割合は一割いないのが現実だそうです。
【深川】精神的にも身体的にも、とにかく暴力がひどいですので、女性が結局、自分を守るために殺人を犯すケースも、少ないですがあります。裁判になっている例もあり、救済のための署名活動などもやっています。
【牛村】保険医協会が「おんなのスペース」に協力できることとしては、まず理解ある医療機関を紹介するということでしょうか。
【深川】そうですね。繰り返しになりますが、多くの先生方にDVに対しての理解を深めていただき、少なくとも二次被害を受けることがないように気を配っていただきたいことと、できればこの先生ならという先生方を紹介いただいて、そういう先生をどんどん増やしていただければと思います。さらには医療機関と警察、婦人相談所、支援センターなどが連絡できる体制作りをして、お互いに情報交換をしていくことも必要だと思っています。保険医協会にDVについての問い合わせなどがありましたら、理解と知識を持った理事の方、あるいは事務局の方に対応していただく形は可能でしょうか。
【小島】即答できませんが、理事会の中で検討したいと思います。
【広岡】私たちも二〇〇〇年から現状を知ることより始めました。先ほど高松先生が失敗例をおっしゃいましたが、私たちもよく失敗をしています。実際に相談に来られた後、「あのとき、あんなことを言わなければよかった」とか「こう言えばよかった」ということがあります。そんな中で少しずつ勉強している状況です。

 弱者の視点に立って人権が守られる社会を
【牛村】最後に皆さんに本日の座談会での感想をお願いします。
【小島】医療機関としては、二次被害を起こさないため必要以上に深く詮索しない方がいいかなと感じました。医療行為自体はゆとりを持って配慮していきたいと思います。歯科としてチームを何人かで作り、各地区にいるようにすれば、何とかなるのではないかとも思います。
【深川】心強いご提案ありがとうございます。保険医協会には昨年、私たちの活動を『石川保険医新聞』に大きく紹介していただきました。これがきっかけで、本日のような機会を得たわけです。保険医協会のお名前は知っていましたが、正直、こんなに素敵な先生方がたくさんいらっしゃる団体だとは知りませんでした。今後ともよろしくお願いいたします。
【高松】大切なのはDVの中で最も傷つき、被害者となっている女性の視点から、ものを考えること。被害者の叫びを聞く耳を医者も持たなくてはいけないのだ、そう感じました。結局DVにしても児童虐待にしても、基本は「人権」を守るということに尽きます。患者の視点、弱者の視点、これは、医師の仕事の基本であり、保険医協会の目的そのものです。今後も、一緒にがんばりましょう。

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