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歯科領域を中心に加速する再生医療

2011年11月06日(日)


     その抜去歯、捨てるのはもったいない!
と き 11月6日(日)午前10:00~12:30
ところ  ホテル金沢 4階 エメラルド
講 師  ・里村 一人氏
              鶴見大学歯学部 教授 (口腔内科学(口腔外科学第二)講座)
    ・岩堀 禎廣氏
                 株式会社再生医療推進機構
対 象   会員、会員医療機関の スタッフ(定員 100人)
参加費   無 料 (申込必要)チラシ 再生医療
主催  石川県保険医協会 歯科部

メモ
 知的好奇心を刺激する充実した講演会だった。里村先生の研究に打ち込む姿勢に感服する。データの地道な積み重ねが素晴らしい。再生医療が信じられるところまで来た感じがする。
 イモリの指が再生するけど、カエルではしないように、再生能力は両生類の有尾と無尾の間に大きな境界がある。そして、そこでなぜか成体の造血機能が肝臓から骨髄へ移動している。これらの謎が解けると、再生医療が飛躍的に発展する可能性を秘めている。 
1.自然には十分に再生できない臓器・組織を再生させ、機能を回復させることを目的とした医学の研究分野を再生医学と呼び、その研究成果を駆使して行われる医療を再生医療と呼ぶ。
2.再生医療の3要素は、幹細胞、シグナル(骨なら骨になる)、足場である。
3.幹細胞には、ES細胞、iPS細胞、成体幹細胞
4.ES細胞には倫理的な問題
  iPS細胞では遺伝子を入れるためにウイルスを使うことと、腫瘍化の問題
  成体幹細胞は数が非常に少ない(若い人の骨髄でも1/10万細胞)
5.幹細胞はすき間があれば増殖していき、やめた後に性格を表す(分化)
6.好む環境に置くと分化する
7.骨髄と比べて歯髄の成体幹細胞への利点は、容易な採取と遺伝子損傷が少ない点(硬い歯質に覆われている)
8.妊娠期間約3週間のマウスでバラバラにした歯胚を移植して歯を再生咬合するまでに50日かかった。
  40週の人では相当の日数が予想される。
9.メラトニンは骨を造るスピードを上げる(歯原性細胞も同じと考える)
10.iPS細胞の材料として
   体細胞は数が豊富で増殖は早いが、iPS細胞になる確率が低い
   成体幹細胞は数が少なく、増殖も遅いが確率が高い
11.骨髄バンク登録者のHLA遺伝子から見ると、1万人のサンプル数で人口の50%をカバーできる
12.歯髄から幹細胞になる(2000年に発見)
  乳歯や智歯の歯髄バンクの有用性は高い
www.acte-group.com/

<案内文>
 現在、失われた組織を元の細胞で補う技術「再生医療」は凄まじい進歩を遂げており、歯科領域においても、歯槽骨再生や歯周組織再生シートなどの実用化段階に入った再生医療に期待が高っております。加えて、全身の再生医療を行う細胞ソース(治療材料)として、抜去歯に含まれる歯髄細胞が注目を浴びており、歯科界が再生医療促進に貢献するプロジェクトとして、2009年より様々な研究機関が歯髄細胞バンクをスタートさせております。
 今回、講師をお願いした里村一人先生には「歯科領域を中心に加速する再生医療」について、岩堀禎広先生には、歯髄細胞を用いた新薬開発の動向や放射能の内部被爆の備えとしても利用されている「歯髄細胞バンクの取り組み」についてご紹介をいただきます。
 再生医療の最新情報をお届けするこの講演会に、是非ご参加ください。

参考までに
2004年10月17日(日)
第二の永久歯歯科における再生医療‐第二の永久歯‐
講師:上田 実 氏 (名古屋大学大学院医学系研究科教授)
kojima-dental-office.net/20041017-2640#more-2640

<抄録>
■ 「歯科領域を中心に加速する再生医療」        講師:里村 一人
再生医療を実現するためには、安定した幹細胞の供給源を確保するとともに、その増殖と分化を適切に制御することが重要であり、これまで胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた再生研究が進められてきているが、依然、細胞の安定性、安全性等の克服すべき課題が残されている。
 従来われわれは骨髄細胞に注目し、その多分化能性に関する研究を行ってきた結果、骨髄間質中に成体幹細胞と考えられる細胞が存在していることを確認した。さらに、最終分化した機能細胞に対して、分化転換技術を応用することにより、まったく別の機能細胞に直接的に再分化させることを試みた結果、骨芽細胞を遺伝子導入を行うことなく、神経細胞へ分化転換させることに成功した。本講演では、成体幹細胞の概念について概説するとともに、幹細胞に依存しない新たな再生医療実現に向けた取り組みについてご紹介させていただく予定である。
 <里村一人氏の略歴>
1992年 徳島大学大学院歯学研究科修了(学位取得)
1992年 徳島大学歯学部 助手(口腔外科学第一講座)
1995-98年 米国国立衛生研究所 Visiting Follow
2001年 徳島大学歯学部附属病院 講師(第一口腔外科)
2003年 徳島大学医学部・歯学部附属病院 講師(歯科口腔外科)
2005年 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 准教授
     (口腔顎顔面外科学分野)
2009年 鶴見大学歯学部 教授(口腔内科学(口腔外科学第二)講座)
現在に至る
 
■ 「歯髄細胞バンクの取り組み」        講師:岩堀 禎廣
 再生医療(細胞治療)および応用技術(病態解明や創薬などの治療技術開発)は、日本が国際競争力を有する分野であり、将来の日本経済の中核を担う産業の一つとして期待されている一方で、ヒト研究用細胞や細胞技術者のスペシャリストが圧倒的に不足していることが再生医療普及の課題である。
 われわれは、課題に対するソリューションの一助を担うべく、歯髄細胞バンクから各研究機関に研究用細胞の提供を開始した。今回は、その研究用の歯髄細胞の活用事例に加え、歯髄細胞バンクが医療界そして社会全体に果たす役割についてご紹介させていただきたい。
<岩堀禎廣氏の略歴 >
1999年 明治薬科大学大学院博士課程修了
2000年 慶應義塾大学医学部先端医科学研究所にてがん免疫研究に従事。
2001年 慶應義塾大学医学部神経免疫学研究グループにて神経再生研究に従事
2002年 GBS研究所にてがん免疫研究、神経再生研究に従事
2010年 再生医療推進機構の技術部長として鶴見大学との歯髄細胞バンク事業に参加。
専門分野は、再生医学・神経免疫学・分子生物学・薬学。

申込方法
次のいずれかの方法でお申込みください
① 医療機関名、会員名、参加人数を記入の上、Fax送信
② 医療機関名、会員名、参加人数を明記した電子メールを左のアドレス宛てに送信
③ 電話による申込み

石川県保険医協会
金沢市尾張町2-8-23
太陽生命金沢ビル8階
TEL 076-222-5373
FAX 076-231-5156
Email  info@ishikawahokeni.jp

再生医療講演会を開催(石川保険医新聞)
          津田謹誠(歯科部員・津幡町歯科開業) 

 石川県保険医協会歯科部は、11月6日、ホテル金沢において再生医療講演会を開催し、約30人の歯科医師、歯科衛生士等が参加しました。
 講演会はまず、鶴見大学歯学部口腔内科学教授の里村一人先生より、「歯科領域を中心に加速する再生医療」というテーマで、再生医療の基礎から最新情報までをお話いただきました。 
 講演のなかで特に興味をもったのは次の二点です。①歯の再生研究において、ハツカネズミの歯の形成には50日かかる。これをヒトにあてはめると膨大な時間を要するため、歯の形成を促進させる方法を確立しておくことが重要であり、そのキーポイントになるのがメラトニンである②分化転換現象を利用して、生体内で最終分化した機能細胞を別の機能細胞に変化させることにより、幹細胞に依存しない再生医療の実現をめざすということ。
 初めて耳にする話も多く、膨大な情報を90分という限られた時間でわかりやすく解説してくださった里村先生に敬服すると同時に、再生医療分野のトップランナーが歯科の領域にいらっしゃることを大変心強く感じました。 
 里村先生の講演後は、株式会社再生医療推進機構技術部長の岩堀禎廣先生より、「歯髄細胞バンクが果たす役割」というテーマでお話しいただきました。
 細胞バンク用の細胞は、歯髄が臍帯血や骨髄と比較してさまざまな点で有利であること、放射性物質であるストロンチウムは歯牙に蓄積するために内部被曝の指標に使えること、虎の門病院の医師が福島原発事故処理の作業員に再生医療用に細胞をストックしておくことを推奨したことなどから、福島の方々から歯髄バンクへの問い合わせが激増しているお話も興味深い情報でした。
 私たち歯科医師は日々、歯科医療を通じて患者さんの未来の幸せに貢献したいと考えています。今回、両先生から再生医療が着々と実用化されている現状をお聞きしたことで、私たちが再生医療に貢献できる日もそれほど遠くないと確信し、歯科界の未来にも希望をもつことができました。

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