代理エンドポイント
2005年11月20日(日)
予防歯科の未来
講師 花田 信弘 氏 (国立保健医療科学院 口腔保健部長)
日時 2005年11月20日(日) 午前9時~正午
場所 全日空ホテル
参加対象:歯科医師、歯科衛生士
参加費:会員医療機関 おひとり 1000円
非会員医療機関 おひとり 10000円
主催 石川県保険医協会
真の疾患(トゥルーエンドポイント)になってしまってからでは元通りに治りませんので、ひどくなる前のコントロールできる状態を、危険な状態(代理エンドポイント)として位置づけ、それにアプローチし、治すことを予防的治療と呼びます。そして、代理エンドポイントの状態をサロゲートエンドポイント(数値出来るもの)で評価します。
例えば、医科では代理エンドポイントの「高血圧症」にアプローチし、血圧をコントロールし、真の疾患「脳卒中」を防いでいます。
歯科医療でも、「歯肉炎」、「初期う蝕」、さらには原因となっている「バイオフィルム」を代理エンドポイントとして考え、治療すれば治るという概念が確立できれば、不可逆的な「歯周炎」、「齲窩」はほとんど予防でき、抜歯や歯を削るなどの後始末はかなり少なくなると思います。そして、「バイオフィルム病(仮称)」が保険適応になり、プラークスコアなどで評価し、リスク発見に重点を置き、幼い頃よりプラークコントロールの治療が進めば、大部分の人に健康な口腔を生涯にわたりもたらすでしょう。
講演抄録
歯科医療では、“歯牙喪失”がこれまでの真のエンドポイントであり、アウトカムは総義歯でした。しかし、生涯にわたって歯があるのが当たり前という新しい概念が登場し、総義歯が歯科治療のアウトカムだとする考え方は成立しなくなってきました。歯科治療は、う蝕と歯周病にならないことを目指すべきだという考え方が生み出されました。そこでう蝕と歯周病の治療学とは別にう蝕と歯周病にならないための予防的治療という概念が登場しました。う蝕と歯周病を発症させてしまうと元に戻せませんので、代理エンドポイントを唾液中の細菌叢の変化にするのが妥当だと考えられます。健康からエナメル質う蝕、根面う蝕および歯周病へ移行する際に唾液中の細菌叢が変化します。このような変化を代理エンドポイントと設定し、健康が維持できる細菌叢へ引き戻すことがこれからの予防的治療です。
う蝕と歯周病の予防的治療①
国立保健医療科学院口腔保健部
花田信弘
osk-net.org/gakkainew/ig/h17/hanada/hanada_1.htm
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