顔面に見られる腫瘍
2010年10月13日(水)
1.血管種
血管種の85%以上は1年以内の乳幼児に発生するか、あるいは先天性のものである。先天性の血管種の約50%は自然消退するので経過をよく観察する必要がある。また、血管種の過半数は頭頸部の皮膚か粘膜に見られ、口腔内においては舌、口唇、頬粘膜が好発部位である。顎骨内に発生する中心性血管種もまれに見られる。 血管種の処置に関しては口腔外科へ紹介する。虫歯や歯周治療は、スタッフ共々細心の注意を心がける。
舌に生まれつき黒いアザ
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症例1
患者 21歳女性
初診 昭和57年6月1日
主訴 左上7番のインレー脱離
現症 左側下顎頬部に血管種
職業 看護師
経過
6/1 左上6,7番部を口腔粘膜に注意を払い歯牙形成し、印象採得する
6/5 同部位にインレーを装着する
症例2
患者 31歳女性
初診 昭和62年4月8日
主訴 虫歯の治療
現症 左側顔面から口唇部の血管種
経過
4/8 細心の注意を払い、右上5番と左上4番の治療をする
4/21 県立中央病院へ入院し、左側中顔面に植皮を受ける
それから平成14年4月23日までスタッフの共通理解の上で
定期検診(歯周検査、ブラッシング指導、歯石除去、クリーニング)を続ける
症例3
患者 44歳男性
初診 平成3年4月23日
主訴 上顎前歯の虫歯治療
現病歴 昭和62年2月に左下顎歯肉から頬部にかけての血管種に対し、金沢大学医学部付属病院歯科口腔外科にて一部切除後凍結療法を行う。
経過
4/23 歯周検査、ブラッシング指導、スケーリングを始める
7/2 プラークコントロール定着後、右上2,3番に充填する
以降、定期検診を続けていたが、
平成7年9月9日に左下4番部が急性発作を起こし腫脹する
柔らかい歯ブラシを使うことの指導と抗生剤の投与
9/13 金沢大学医学部付属病院歯科口腔外科へ紹介する
平成6年5月に前歯部口腔前庭に再発を認め、経過観察中であり、
左下4番部周囲に血管種が残存している可能性もあるので、
できるだけ保存的処置とのコメントが届く。
平成9年6/27 同部位が腫脹
抗生剤投与とクリーニング
2.耳下腺腫瘍
唾液腺に生ずる腫瘍は、耳下腺に最も多い。一般に唾液腺に生ずる腫瘍は良性腫瘍が多く、そのなかでも多形腺腫多い。悪性腫瘍の場合もあり、とくに舌下腺にはが多い。治療法は、早期に手術的切除。
症例
患者 51歳男性
初診 昭和62年3月16日
主訴 左耳前方部の腫脹
現症 左耳前方部に1×2×0.5センチの軟骨様硬の腫脹
可動性あり
病歴 高血圧175/120mmHg
臨床診断 耳下腺腫瘍
病理学的診断 多形性腺腫
経過
3/16 県立中央病院へ紹介
諸検査
5/14 耳下腺浅葉切除術及び胸鎖乳突筋での再建術
昭和63年
8/17 特に問題なし
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