小島歯科医院 名誉院長ブログ

口腔がんの自己チェック法

2008年08月28日(木)


お口の中にも「がん」ができることをご存じですか?口腔がん(口の中にできるがん)は、日本ではすべてのがんの約2~4%を占めており、年間約6000人がこの病気にかかり、進行した状態で発見されるために約3000人が亡くなっています。しかし、早期がんの治療成績は90%です。自分で口の中のがんや「前がん病変」を見つけましょう。

こんな症状に要注意!!

1.口の中が痛いです
悪性腫瘍の場合、痛みがあまりないものが多いのですが、早期がんで潰瘍やびらん(口の粘膜の表面の上皮が、はがれたり傷ついたりした状態)を作った場合や、進行がんで、大きくなってがんが神経を蝕んだり、痛み物質を出しはじめた場合などに痛みがでます。
2.口内炎が2週間たっても治りません
早期のがんは、口内炎や入れ歯がすれてできた傷とよく似ている状態もあります。通常の口内炎であれば口腔ステロイド剤の塗り薬や、殺菌などの治療で、数日から2週間程度で治るものが多いですので、口内炎が持続する場合には、要注意です。
3.どこかわからないが出血します
口腔がんは痛みを伴わないことが多く、がんにより表面の上皮が破けたような場合に出血します。出血によりがんが見つかることも多いですので、要注意です。もちろん、歯周病による出血もありますので、すべてが「がん」ではありません。
4.口の中のどこかに、「しこり」や「はれ」、肥大した部分があります
がんは「できもの(腫瘍)」ですから、口の中に腫れた部分やしこりがある場合には要注意です。ただ、良性腫瘍(がんではないできもの)や骨の出っ張り、正常な臓器ができものに見えるものなども多くありますので、過剰に心配されることはありません。多くのがんは、表面に潰瘍やびらんがありますが、唾液腺(唾液を作る組織)のがんは、表面がつるんとしていることもあります。
5.舌、歯肉、頬の粘膜などに赤斑(赤い部分)があります
前がん病変(がんになる前の状態の病変)の中に、紅板症というものがあります。この紅板症の約半分がすでにがんになっていると言われています。紅のように赤く、少し硬い感じがしたら要注意です。
6.舌、歯肉、頬の粘膜などに白斑(赤い部分が混ざることもある)があります
前がん病変(がんになる前の状態の病変)の中に、白板症というものがあります。この白板症の約6~10%が「がん」になると言われています。
7.噛みづらい、または頬や舌の動かしづらさがあります
がんが、頬や舌を動かす神経を蝕んだ場合には、舌を動かしにくいなどの症状がでます。
8.舌や、口の中のその他の部分に、しびれ・麻痺感があります
がんが、舌や頬などの感覚をつかさどる神経を蝕んだ場合には、舌や頬、その他の部分にしびれや麻痺感などの症状が出ます。
9.首のグリグリ(リンパ節)の腫れが3週間以上続いています
がんが口の中を蝕んだ場合に、首のリンパ節が腫れることがあります。もちろん、首から上の部分をケガしたり、風邪をひいたり、むし歯や歯周病などの炎症でも首のリンパ節は腫れますが、そのような場合には、傷や風邪が治ったり、炎症が治まったりするとリンパ節の腫れも引きます。そのような原因もなく、首のリンパ節が腫れた場合には要注意です。
10.のどの痛みや声がれがあり、6週間以上治りません。また、のどに何かひっかかっている感じがします
口のがんではありませんが、喉頭がんという「のど」のがんや、食道がんの時にこのような症状が出ますので、要注意です。
11.顎が腫れて義歯(入れ歯)が合わなくなったり、違和感(変な感じ)があります
入れ歯をしているかたで、がんなどのできものにより、入れ歯が合わなくなり、噛みづらいなどの訴えをされるかたがいます。
12.原因不明の歯のグラつきが3週間以上続いています。また、抜歯後、治らない状態が3週間以上続いています
歯肉がんの場合に、がんが歯を支えている骨を吸収する(溶かす)ことがあります。グラついた歯の周りの歯肉がきたなく盛り上がっていたり、上皮に潰瘍やびらんがあれば要注意です。同様に、抜歯した後、3週間以上経ってもなかなか治らない場合も要注意です。
13.鼻の片側だけに鼻詰まりがあります。とくに、膿や血の混じった分泌物(鼻水)が出たりする場合
鼻詰まりや膿は、鼻炎や上顎洞炎(蓄膿症)などの場合にしばしばみられる症状です。その他に、上顎洞の粘膜から、がんが発生することがあります。ここで重要なのは、片側にそのような症状が出現した場合には、要注意であるということです。

自己チェックのポイントは?
1.まわりの健全な組織との境界がはっきりしないしこり、腫れ、できものがないかを注意してみましょう。
2.治りにくい傷はありませんか、入れ歯の当たりや、さし歯がこすれていないかに注意しましょう。
3.口腔がんは舌、口腔底(下あごの歯肉裏側と舌の裏側のあいだ)、歯肉に発生しますので、ここを慎重に見ましょう。
4.がんにともなうびらんや潰瘍は口内炎と間違いやすいものです。口内炎であれば2週間程度で治っていきます、または場所が変わるということを忘れずに。
5.粘膜のただれや赤くなった部分がありませんか、こすってもとれない白い部分がないかを注意しましょう。
6.色が違う部分や表面が赤い、白い、ただれたところなどがあれば、触ってみましょう。

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