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クール・ジャパン!?

2024年07月23日(火)


外国人が見たニッポン
著者 鴻上尚史
講談社現代新書
2015年4月20日発行
900円
 番組では毎回テーマを決めて8人の外国人と一緒に話し合う。タレントではなく、学生や仕事で日本に来たり、夫と共に赴任した人たち。
 相手を知り、自分の国のことを具体的に知ることは、やがて、自分自身を知ることにつながる。世界にはこんな見方があり、こんな考えがある。多様であることを楽しむことは、きっと自分自身の人生も豊かにし、深くすることになる。
A.一神教、キリスト教の影響
 a.富士山を崇める日本人
 外国人には、「富士山を崇める日本人」は、じつに不思議に映った。山は登山するもので、山そのものを愛でる、山を神秘的なものとして崇める、という感覚が理解できない。外国にも山を写すライブカメラはあるが、天候を知るためのものであり山の状態を知るためのもの。
 キリスト教は、一神教として確立していくために自然信仰的なものを厳しく禁じた。例えば、「満月に祈る」「大きな木には精霊が宿るから大切にする」「湖や沼が神秘的な雰囲気だからお供え物をする」というようなことが全て「迷信」であり「悪魔の誘惑」であり「堕落への始まり」「異端の信仰」だと厳しく禁じた。
 b.「人間型ロボット」は日本の独壇場
 日本は、「鉄腕アトム」の時代から、ロボットと言えば、人間の形をしている。
 欧米では人間型のロボットを作らない。宗教的に神の教え「人間を創るのは神だけ、人間が人間を創ってはいけない」を守っている。
 c.日本は世間でできている
  1.世間と社会
  「世間」とは、あなたと人間関係や利害関係のある人たち、ご近所や会社、学校、趣味の仲間。対抗する概念は「社会」。「社会」は、あなたと人間的な関係も利害関係もない人たち。街で偶然肩が触れ合った相手は「社会」。
  ①欧米はすべてが社会
 第4ラテラノ公会議の告解の決定などを通じて、キリスト教が強力になり、神以外の人々の持つ「強力な繋がり・親密な集団」を消滅させた。人々は神の前にすべて均一な「社会」に生きる人間として組織された。
 西洋では、肩が軽く当たったら必ず声をかける。そうしない人は通常の社会に生きてない人、とみなされる。欧米では、「世間」と「社会」という分類がなく、声をかける相手とかけない相手の区別がない。
  ②「世間」は日本独特のもの
 日本人は「世間」と「社会」という2つの空間に生きている。メインは「世間」。「社会」に生きている時は、どんな風に振る舞えばよいのか分かっていない。
 日本人は、都会の雑踏で、肩が軽く当たったぐらいでは、相手が「社会」に生きる人だから、いちいち、謝ったりしない。もし、相手が「世間」に生きる人なら、深く謝ったり、心配したり、微笑んだりする。
 明治時代、政府は「富国強兵」政策の実現のために、「社会」という概念を強引に輸入して公布した。けれど、上から目線で強引に導入された「社会」という概念は、この国には完全に定着しなかった。日本人は今、中途半端に壊れた「世間」に住んでいる。江戸から明治、大正時代までの、充分に機能した「世間」ではない。
  ③世間話と社会話
 「世間話」は、内容がないけれども、「同じ世間に属している」という確認することの意味がある。お互い、助け合うつもりのない人とは「世間話」はしない。
 激しい格差社会である欧米のスーパーのレジ係が、客の目を見て言う「ハーイ」は、相手が社会生活を送れている人物かどうかを確認する大切な意味がある。「この人はちゃんとお金を払うつもりがあるのか。このまま、レジの前を走り抜けるつもりなのか」を見極める必要がある。日本では、丁寧に声をかけながら、相手の目を見ない。「いきなり商品を持ってお金を払う前に走り出すはずがない」と信じている。
 ちなみに、日本の「企業の社長と従業員の給与の割合」は、11対1。イギリスは22対1.アメリカは475対1。
  2.世間の五大ルール
  ①「長幼の序」
 年下は、たとえ1歳違いでも年上に従うべき、というルール。「彼は僕の先輩」という日本語のニュアンスは英語には翻訳不可能。
  ②「共通の時間意識」
 同じ世間に住む人は、お互いが同じ時間に生きていると思っている。「これからもよろしくお願いします」と締めくくる、あいさつは、英語には翻訳不可能。
 日本では、先週奢ってもらった時は、次にあった時、「先週はごちそうさまでした」と改めて礼を言うのは礼儀とされている。西洋では「わざわざ、先週の話しをを言うと言うことは、今週も奢ってもらいたいということか」と思われる可能性が高い。お互いが同じ時間を生きていると思っていない、つまり、お互いが連続した共通の過去を生きている、という前提がない。
 キリスト教では、「あなたが誰かに御馳走になったら、その人にお返しするのではなく、貧しい人や恵まれない人に返しなさい」と教える。
  ③「贈与・互酬の関係」
 お中元やお歳暮を贈り、何かのお祝いをもらえば半返しの「内祝」を忘れず、知り合いや友人の家にお邪魔する時は、手土産を持参する、日本の慣習。海外で、日本人が引っ越しした時、挨拶は必要だが、そこで「贈り物」をする、という文化が理解されない。
 キリスト教では、「贈与・互酬の関係」を否定するのではなく、世間というものの存在を認めていない。あなたがつながるのは、世間という集団ではなく、「神」のみ。
  ④「差別的で排他的」
 一つの世間に属するということは、その世間に属しない人を差別し、排他的に対応するということ。電車に一番に乗り込み、後から来る自分の仲間たちのために席を取るおばさんは、彼女が属する「世間」の中では、思いやりのある優しい人。けれど、次に並んでいた「社会」の人は「私が座る順番」と思う。この時、おばさんは差別的で排他的な世間に生きている。
  ⑤「神経性」
 世間が強く残る地域や集団には、論理的な根拠はない「しきたり」「迷信」「伝統」などがある。論理より慣習を求める。それがどんなに非合理でも、変えない。神秘性を維持するためには、「儀式」が必要。
  3.終身雇用制
 働く側からすれば一生の「生活保障」であり、企業側からすれば「蓄積された技能の持ち主である従業員の定着は生産の増大と労務費用の節約に結びつく」ものである。つまり、経営者と労働者双方が作り上げた望ましい制度。
 組織のピラミッド型を維持するために、従業員を逐次排除し続けなければならないから、彼らにとっては終身雇用ではない。「終身雇用制」が不可能だと分かっている。
  ①入社式
 「終身雇用制」が困難だからこそ、日本の大企業は終身雇用の入口である「入社式」という「儀式」を派手に作り上げた。 「入社式」が成立するためには、「新卒一括採用」というシステムが必要。
  ②終身雇用制の起こりは、戦前と戦後の2つの流れがある
 日本も昔から終身雇用が主流だったのではなく、大正末期から昭和初期、熟練工の転職率が極めて高く、5年以上の勤務者は1割程度だった。そこで、大企業や官営工場が足止め策として、定期昇給制度や退職金制度も導入し、年功序列を重視する雇用制度を始めた。ただし、明文化された制度ではなかったので、経営側は一方的な解雇権を持っていた。
 戦中、終戦直後は、一時、終身雇用制は衰退するが、戦後の高度経済成長期に労働力不足を補うために、大企業において長期雇用の慣習が一般化し、終身雇用が制度として日本に定着した。日本の転職率は欧米の半分。
  ③定年制度
 世界には定年制度がある国とない国がある。アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアには、年齢による差別を避けるため、定年制度はない。
 欧米や韓国も中国も定年後はゆっくりするのが基本。定年のある国は定年を楽しみに待ち、定年がない国は経済的に見通しが立てば退職し、人生の後半を悠々自適に過ごす。それが世界の常識。
 日本の定年後の様子は世界の常識とは違う。多くの日本人は60歳で定年退職した後、次の仕事を探す。経済的不安というよりも、「働きたいから働く」。多くの外国人は理解できない。定年後に社会奉仕という生き甲斐を見つけた60代男性に対して、外国人たちは「社会と付き合う前に、自分や家族のために時間を使うべき」と強く言う。
 4.友達の作り方
 日本人は相手の立場が分からないと会話ができない、つまり「社会」の人と会話することがとても苦手。お互いの名刺交換をして、自分との社会的立場や年齢の上下関係を知って、やっと安心する。同じ「世間」に属している人たちとなら、簡単に会話ができ友達になれる。
 西洋人は、パーティで知らないもの同士がいきなり出会い、話し始めて、友人になれる。銀行やレジに並んでいる時でも、バス停や電車でも友達になれる。
 5.恋人も世間で選ぶ
 衝撃的な「デーティング・ピリオド」。この間は何人とデーとしていても問題ない。セックスを含む交際の「お試し期間」を最大7,8人持てるのなら、相手のことを充分分かり、恋人選びに失敗することはないだろう。
 日本人はエッチをするのは交際の始まりを意識することが多いが、アメリカやカナダではエッチは相手を知る行為の一つ。
 日本人のデートは、「ダンドリ勝負」。西洋人は、デートのテーマが「2人で楽しむこと」よりも「お互いを知ること」だから、基本的に「ぶっつけ本番」が多い。
B.男と女、そして親と子
 a.寝室問題では西洋vs.その他の地域
 西洋では、子供の淋しさより夫婦関係を大切にしている。東洋では、夫婦の営みより子供を淋しくさせない事を重要だと思っている。西洋の人たちは、子供が横で寝ていると夫婦の営みができないから、生まれたばかりの子供を別室で寝かせる。一緒に寝ているのは、アジアとアフリカ。
 日本で夫婦仲がギクシャクしてくるのは、子供が生まれてからが多い。子供が生まれ、夫婦の時間が減り、子供が一緒に寝るようになると営みも減る。それで離婚してしまうのなら、子供が淋しくならないように一緒に寝ていても、結果的には子供にひどいことになる。
 ソーシャル ジャスティス 一人で寝る習慣
kojima-dental-office.net/blog/20230828-17350#more-17350
 b.「女らしさ」「男らしさ」の基準
 西洋では、外見的に「「女らしい」はメリハリのあるボディ。つまり、大きな胸と大きなお尻。セクシーであるためには「胸」と「お臍」が見える服装をする。ただし、日本女性のようにミニスカートで大胆に脚を見せるのは、誤解される。春を売る女性だと思われる。胸の谷間やお臍をいくら見せてもそうは思われない。西洋人が日本の女子高生のミニスカートに激しいショックを受ける理由がこれで分かる。
 海外の理想的な「男性像」は、「強くてたくましい」。日本人男性は「dandy」。英語では、「なよなよしている」「きつい仕事ができない」などいい意味ではない。
C.日本人とは?
 a.生涯学習
 僕が38歳でイギリスの演劇学校に留学した時に、「一生勉強ですから」と理由を言ったら、イギリス人が「勉強に来たと言ったら、お前のことを周りは低く見る。日本で20年近く演出家のキャリアを積んだ人間が『勉強』のために来たとは言ってはいけない。『調査』のために来たと言え。この違いは大きい」とアドバイスしてくれた。
 日本人からすると、「一生勉強を続ける」が普通だが、それだと未熟な人だと思われてしまう。
 b.ストレスをためるのは日本人だけ
 アメリカ人、イギリス人、中国人、フランス人、メキシコ人、オーストラリア人、イタリア人、スペイン人など外国人はストレスをためない。
 日本人は飲み会でストレスを一時的に忘れようとするが、外国人はその原因を解決しようとする。「世間」がなく「社会」だけのシステムだから、気軽に他人と話せる。外国人から見ると、日本人はストレスの原因や根本に向き合わないで、ストレスを忘れるためにいろんな工夫をしている。
  1.「ちゃんとする」の基準
 日本人がストレスを感じるのは、「言いたいことを言わない」と言うのもあると思うが、「ちゃんとする」という使命感が原因だと思う。
 僕がイギリスに住んでいる時、秋の終わりに奇跡的に良い天気が続き、みんな昼休みに公園でサンドイッチなどの昼食を取りのんびり過ごしていた。結果、銀行や郵便局、会社などの午後の開始時間が遅れている、とテレビのBBCニュースになった。テレビのキャスターは「イギリス経済に影響が出ている」と伝えていた。しょうがない、というニュアンス。天気が良ければ1時間の昼休みを1時間15分とか1時間半とかに勝手に延ばす。
 日本では絶対にない。どんなに天気が良くても1時間の昼休みは1時間。そもそも、接客業で一斉に昼休みを取ることはない。交代で休みをとって、お客さんのためには自分の空腹を犠牲にして「ちゃんと」働く。
 c.日本人は時間に正確なのか?
 海外で夜7時からのパーティに招かれたら何時に行きますか?7時に決まっているだろうと即答した人は海外では苦労する。欧米人はだいたい30分から2時間遅れてパーティに来ると言う。アメリカもイギリスもフランスも1時間くらい。スペイン人だけは、「3時間は遅れるね」と、平気な顔で言う。1時間以上遅れるというのは日本人にはできない。
 「どうして、時間通りに来ないの?」と質問すると、「一番最初に来る人間にはなりたくない。まるで、暇で焦っている人みたいに思われる」とナイーブな答えが例外なく返ってくる。「時間を持て余していて、誰も遊ぶ相手がいないから、真っ先にパーティーに来た」と思われたくない。
 スペイン男性が「スペインでは、夜7時のTVニュースは7時に始まらない」という衝撃的な発言。番組のNHKスタッフがスペイン大使館に問い合わせると、「はい、そういうこともある」と驚愕のコメントが返ってきた。7時のニュースが2,3分遅れで始まるのは、普通のこと。
 d.日本人は写真好き
 携帯電話にカメラ機能を世界で初めてつけたのは日本人。そして、それをメールに添付して遅れるようにしたのも日本人。使い切りタイプの、フィルムを内蔵した簡易カメラ「レンズ付きフィルム」を世界的に流行させたのも日本人。
  1.日本人は、なぜ家族の写真を職場に飾らないのか
 欧米は勿論、アジアでも自分の職場の机の上に、妻や子供、愛犬の写真を置くのが普通。上司に怒られた時、机の上の妻の写真を見てホッとする。
 日本人は「恥ずかしい」とか「プライベートな写真を仕事場に出したくない」。妻の写真を見てストレスが増えないと発言した僕を冷たい目で見ていた。
  2.食べ物だけの写真を撮るのは、世界中で日本人がダントツ
 世界中のブログを覗くと、多くの外国人は、食べ物と自分を撮る。食べ物を前に驚いている自分、喜んでいる自分、感動している自分。
 e.世界中で日本人だけが麺をすする
 「麺を食べる時に音を出す」のは、日本人だけの特徴。蕎麦もラーメンもうどんも、すする。すすって音を出す。何とも不思議なこと。西洋でパスタをすすったらエチケット違反。
 アジア人も静かに母国の麺を食べる。中国人がラーメンを食べる時も、韓国人が冷麺を食べる時も、フィリピン人が汁ビーフンを食べる時も、インドネシア人がミーゴレンを食べる時も、すすらない。
 科学的には、すすって食べた方が美味しいと番組では研究した。すすると、少量のスープが麺とが一緒に口の中に入り、味が豊かになる。なおかつ、空気も一緒にすうので、匂いが鼻と口に広がる。
 江戸時代、屋台の蕎麦を食べる時に、せっかちな江戸っ子が時間がないってんで、すすったのが始まりかもしれないと、番組では推測した。すすってみると、口に含んで噛むよりも何倍も美味しいことに気づく。
 f.終電について考える
 日本に住み始めて、「終電」というシステムに驚く。ニューヨークの地下鉄は24時間運行。ロンドンの地下鉄は終電はあるが、代わりに深夜バスがあちこちに向かって走っている。パリもほぼ同じ。世界に誇る大都市・東京、そして大阪は、終電以降、タクシーしか頼れない。カプセルホテルに泊まるしかないことをと外国人は不思議に思う。
 「終電は不便じゃないか」という外国人に対して、日本人は「終電があるから、飲み会が終われる」と答える。日本人は、集団から単独で離脱するのは本当に不得手なので、終電という「飲み会を終わらせる正当な理由」が必要
 g.絵文字が世界を駆け巡る
 「ピクトグラム(絵文字)」は1964年の東京オリンピックの時に広く日本で普及した。美術評論家の勝見勝氏の主導のもと、デザイナーが集まり、さまざまなピクトグラム月クラレ、世界的に高い評価を得た。デザイナーたちは、勝見氏の呼びかけに応じて、自らの著作権を放棄した。この感動的な行動によって、この時創られたピクトグラムは、広く長く世界で使われるようになった。この時、それぞれが著作権を主張していたら、ピクトグラムの歴史は別の道を歩んでいた。些細なデザインの違いに対して訴訟合戦が起こったか、似たデザインにならないためにどんどんシンプルから離れて複雑になった。
 ピクトグラム 「TOKYOオリンピック物語」の最下段
kojima-dental-office.net/blog/20110804-1350#more-1350
 h.外国人が「自分が日本人になったと思う瞬間」
  1.褒められた時「いえいえいえ」と謙遜した瞬間
 西洋人は、褒め上手だし、褒められ上手。例えば、友達が素敵な服を着ていると思うとすぐに「I like your jacket 私はあなたのジャケットが好きだ」と褒める。自分の感情を語るだけ。でも、日本語だと「その服、いいね」となる。価値判断を含む。日本人の褒め下手・褒められ下手は、日本語の言い方と関係がある。
  2.車がいない交差点でも信号待ちしている自分に気づいた瞬間
 西洋では普通、右見て左見て、全く車がいなければ、信号が赤でも渡る。車がいないから。ほとんどの日本人は、全然車がいなくてもじっと信号が青に変わるのを待つ。日本に来たばかりの外国人は、「どうして車の姿が見えないのに待つ風景」に理解できない。
D.クール・ジャパン
 番組が始まった当初、「日本でこれはクール(かっこいい・優れている・素敵だ)と思ったものは何?」と質問すると、彼ら彼女らは、「洗浄器付き便座」「ママチャリ」「アイスコーヒー」と言った。外国人も日本滞在が長くなってくると、日本が好きになる人が多く、だんだんと「クール」だけを言うようになる。
 日本人が考える「クール・ジャパン」と、外国人が感じる「クール・ジャパン」は違う。世界の人がかっこいい、素敵だ、クールだと思うものが、クール・ジャパン。
 「日本人の誇り」を感じる時は、国力とか伝統とかそんな大げさなものではなくても、「アイスコーヒーを作った国」とか「強力なストレート・パーマを開発した国」とか「スーツケースに初めて小さな車をつけた国(これをつけたから、私たちは思いスーツケースを持ち運ばないで、引っ張りながら旅ができる)」、そんなレベルを根拠にするのも悪くない。
 a.「アイスコーヒー」の衝撃
 イタリア人が「私の国にはなくて、日本に来て初めて飲んで感動した」と答えた。番組に出ていた他のヨーロッパ人やブラジル人、ロシア人がうなずいた。
 ヨーロッパやブラジルの人たちは「コーヒーは香りを楽しむもの」という絶対的がルールがあるから、アイスコーヒーを発想しなかった。冷たくしてしまうと、香りを楽しめなくなると思っているから、日本初の缶コーヒーがまだ世界に受け入れられない。
 海外のアイスコーヒーと日本のアイスコーヒーは、作り方が微妙に違う。日本のアイスコーヒーは、アイスコーヒーに合う豆を選んで、少し濃いめに作って、これに氷を入れる、という作り方が主流。海外では、普通に淹れたコーヒーに氷を足す、というケースが多い。
 b.人生を変えた「ストレート・パーマ」
 アメリカの若い女性が「私にとってのクール・ジャパンは、日本の『ストレート・パーマ』、「日本のストレート・パーマ(英語では、ジャパニーズ・ストレイティング)はアメリカの美容院がどうにもできなかった私の縮れたくせっ毛を見事にストレートにしてくれた」。「日本のストレート・パーマが完全に私の人生を変えてくれた」。僕は彼女の笑顔を見ながら感動した。彼女の人生を変えたストレート・パーマを作った日本人と同じ日本人であることに誇りさえ感じた。彼女にとっての日本は、彼女の人生を前向きな方向に変えた国として胸に刻まれる。
 c.ママチャリ
 外国大使館員や外資系企業の外国人ビジネスマンの奥様が、日本に来て気に入り、帰国の時に買って帰る二大商品が、「ママチャリ」と「洗浄器付き便座」。
 日本のママチャリは、方向転換の時に転倒しないように前輪が後輪に比べて小さくなっている。また、子供用の椅子が前に付いていて、子供の姿を見ながら運転できる設計になっている。
 d.トイレ
  1.給水タンク
 「もったいない精神」の具現化として、トイレの給水タンクで手を洗うことができるシステム。給水タンクの上から水がでて、そこで手を洗ってその水がタンクに溜まるようになつている。これは日本オリジナルの工夫。
 また、トイレで水を流す時、西洋では「大・小」の区別はないが、日本スタイルでは「大・小」の区別がある。アジアでは導入されている。
  2.洗浄器付き便座
 「体験前は無意味で過剰なことだと思っていた」というレベルから、「実際に体験してみると、その快適さに驚く」というギャップ、さらに、温水がでることと便座が温かいことがクールだと思う。
 洗浄器付き便座は、日本人の発案ではない。欧米にはノズルでお尻を洗う医療用の機械が付いたトイレがあった。それを商品化して、トイレにコンパクトに組み込んだのは、日本のメーカー。世界で今ひとつ売り上げが伸びない一番の理由は、文化的な理由。西洋では、「お尻を洗う」イコール「ホモセクシャル」というイメージがある。文化的な壁があまりない、中国を中心としたアジアでは売り上げが伸びている。もう一つは海外では硬水が多く(日本は軟水)、ノズルに石灰がつまって故障しやすい。
 トルコ大周遊15日間
kojima-dental-office.net/blog/20231207-17636
 11/26(日) エフェソス遺跡  公衆トイレは、水洗
 11/27(月) トルコのリゾートホテル
     トイレのウォシュレット 蛇口を回すとお尻めがけて水が出る
 e.世界に誇る「umami」
 和食の基本は出汁。出汁からでる「うまみ」という言葉は「umami」として『オックスフォード英語辞典』に載った。西洋では長く、味は4つの要素【sweet(甘味)、sour(酸味)、salt(塩味)、bitter(苦味)】だったが、世界的に味の基本は5つと言われるようになり、日本語のままの「umami」。
 f.自動販売機の威力
 海外では自動販売機があっても屋内。それもタバコや清涼飲料水だけ。外国人が驚くのは、冬に「温かい飲み物」と「冷たい飲み物」が同時に売っていること。アルコールの自動販売機があることにも衝撃を受ける。海外では絶対にない。アルコールは有人販売で、なおかつ、時間制限があり、夜中になったら絶対に手に入らないことが海外では主流。
 ちなみに、深夜、電球が切れて、替えの電球を手に入れられるの国は日本だけ。つまり、「コンビニエンス・ストア」の存在。ニューヨークでも、ロンドンでも、パリでも、電池もアルコールも、タバコもノートも深夜に手に入らない。
 g.居酒屋はすごい
 アメリカ人の男性は「我々の文化では、食事をする時はレストラン、お酒を飲む時はバーという風に2つにきっちり分かれている。でも、居酒屋は、食事をしながらお酒が飲める。じつにクールだ」と言う。さらに「居酒屋は、注文しながら食事ができる。レストランは、最初に全部を注文しなければいけない」と感動した顔で付け加えた。

 

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