のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

今こそ知りたい!エネルギー・温暖化政策

2023年10月15日(日)


講師 明日香壽川氏(東北大学教授)
 未来世代法は、2015年からイギリスのウェールズではじめて施行された法律。
 国や行政機関が何を決めるときも、「その選択は、未来世代を幸福にするものかどうか?」チェックするよう求める法律。
 立憲民主党がの措置法を議員立法予定。市民が活発に動いている。
 詳しくは
 未来世代法
futuregenerations.jp/futuregenerations/
 メモ
A.早急なエネルギー転換の必要性
 1.1.5℃目標を達成するには、CO2累積排出量を抑える必要がある
   ・今から減らさないと、2050年に「実質ゼロ」では間に合わない
   ・2030年までの「決定的な10年」が大切
 詳しくは
 カーボン・パジェット
www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/stage2/contents/column0290.html
 2.各国の2030年CO2削減目標(1990年に比較した)
   ・目標が高いのは欧州、特にデンマーク、英国、ドイツ
   ・日本は、2013年(非常に多かった年)比を採用
     削減幅が大きく見えるようにしている
 参考に
 各国の温室効果ガス削減目標とは? 2030年・2050年目標
gurilabo.igrid.co.jp/article/2156/
 3.世界の再エネ電力の割合(2019年時点)
   ・石炭火力が36.4%、再生可能エネルギーが26.0%、原子力が10.4%
   ・再生可能エネルギーは
     日本は20%、アメリカは18%、中国でも27%
     カナダやスウェーデン、デンマークでは、すでに65%以上
 参考に
 各国の再生可能エネルギー比率は?
note.members.co.jp/n/nfffe02fd3ac9
 4.太陽光発電導入コスト
   ・世界的にはものすごい勢いで安くなっている
     2013年を境に原発より安くなる
   ・日本とロシアがダントツに高い
     日本は施行コストが高い
   ・再生エネルギーは、使えば使うほどやすくなるが、原発は使えば使うほど高くなる。
 参考に
 太陽光パネルの問題と環境破壊の危険性
eco-ousama.com/blog/taiyoukou-mondai/
 2023(令和5)年1月現在販売されている太陽光パネルは、シリコン系と化合物系・有機物系の3種類に分類されます。
 有機物系の太陽光パネルには、有害物質は含まれていませんがシリコン系と化合物系には有害物質が含まれています。太陽光パネルに含まれている有害物質は、人体に悪影響を与える物ばかりです。人体だけでなく生態系に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
 ・シリコン系⇒鉛
 ・化合物系⇒ヒ素・セレン・カドミウム
  *洋上風力
 漁協がはっきりしていて、許可が取りやすい、港近くの「着床式」の建設が先行。遠い沖合の「浮体式」では、影響を受ける多数の漁協が対象となり、コストと手間がかかる。
 参考に
 回らぬ風車 存廃岐路 内灘の風力発電 20年の寿命迫る
www.chunichi.co.jp/article/599870

B.脱炭素における原発の非合理性
 1.原発は基本的に高い
 詳しくは
 原発と再エネのコストー国内外の議論の最前線ー
www.ccnejapan.com/wp-content/20230214_CCNE_Asuka1.pdf
  ①原発新設は再生エネルギー新設よりはるかに高い
    米エネルギー情報局  2倍
    Lazard        3~8倍
    Bloomberg      5~13倍
   *2013年頃から太陽光より原発新設は高くなった
   *米エネルギー情報局(EIA)は発電エネルギー技術のコスト比較を毎年公表
   *原発は、工期延長、建設コストの上方修正
  ②原発の運転コストは、再生エネルギー新設+蓄電池コストとほぼ同じか高い
   ・最近日本政府が引用する2020年IEA文献では、運転延長は安いとなっているが、
    Lazard(2021)では原発運転コストは再エネ新設コストと同じか高い
 2.原発は温暖化対策にならない
  ①原発再稼働は温室効果ガス排出削減になると政府は言っているが、再生可能性エネルギーの方がはるかに削減になる
   ・温室効果ガス排出削減コストでは、原発運転延長と再エネ新設はほぼ同じ(3年前のIEA文献)
   ・原発運転延長の温室効果ガス排出削減コストは、再生エネルギー新設よりも6倍高い(IEA最新データ)つまり、削減量は6分の1
  ②原発はコストとスピードで負けている
   ・原発へ投資すると、同じお金を再生可能性エネルギーに投資した場合に比べて、CO2削減量は数分の1で、かつ、その排出削減は10数年後に実現
   その上、事故リスク、攻撃対象リスク、核拡散リスク、廃棄物処理等の問題がある。雇用創出も小さい。
 3.原発が稼働すると電気料金が下がる(下げる)?
   ・四国電力は再稼働しても値上げ申請
   ・原発再稼働した電力会社の負債は、原発再稼働していない電力会社よりも増加
   ・原発には、再生エネルギーに比較して巨額の税金と電気料金が支払われている

C.日本版グリーン・ニューディール(レポート2030)と政府GX基本戦略との比較
 詳しくは 未来のためのエネルギー転換グループ
 日本版グリーン・ニューディール(レポート2030)
shiminrengo.com/archives/6299
 1.雇用創出数
  ・エネルギー転換で影響を受ける方の現在の雇用数は約20万人
  ・新規雇用は、2030 年までに年間約254万人の雇用が10年間維持される
  ・特に地方で増加
 2.政府GXの優先順位が間違っている
  ①どんな思惑があろうとも、なにも高い設備、高いコストで発電する必要はない。
  ・
コストパフォーマンスの悪い原発へ投資するのではなく、コストの安い再生エネルギーへ投資すべき、CO2削減量も大幅に増加する
  ②財政支出(国債)の対象を原発投資から3点に変更すべき(エネルギー支出削減)
   ・送電網
   ・地方公共交通インフラ
   ・ソフトインフラ
   *儲かる再生可能性エネルギー投資は民間に
   *借金大国日本にそんな余裕はない
  参考に 5.10.4.
 【8】日本の家計貯蓄率、貯蓄額世界一は、遠い昔
kojima-dental-office.net/20231004-7218
  ・世界の国の借金ランキング 2020年
  順位・国名    借金額  対GDP比
  1位 アメリカ  約2362兆円   104.3%
  2位 日本    約1300兆円 237.1%
  ・2022年の世界の政府総債務残高対GDP比 国際比較統計・ランキング
   1位は日本の261.29%、2位はギリシャの177.43%、3位はエリトリアの163.77%
  ③経産省の巨大化から解体へ
   ・国庫に入る税ではなく、経産省に入る賦課金となっている
   ・政府は、「脱酸素」という言葉でカモフラージュしながら、実際には今の原発・化石燃料をに依存するエネルギーシステムを維持し、経産省に、より多くの権限と予算を与えようとしている。

D.まとめ
 1.技術的あるいは経済的な問題ではなく、政治的な問題
   ・エネルギー・温暖化対策では、原発よりも良い(経済合理性かより高い)代替案があるけど特効薬はない、全てをやらなければならない
 2.今後の課題
   ・原発は気候変動対策としても経済政策としてもデメリットしかなく、逆に気候変動対策を邪魔する存在であることに対する共通認識形成が大事。
   ・地方版グリーン・ニューディール 雇用と外に出て行くお金を地域に残す
   ・雇用転換に関する議論
   ・発電コストの再計算、補助金の分析
   ・送電網の分離だけではなく、発電と販売の分離も必要
   ・既存の電力会社と新電力との不公平
   ・省エネ 偏差値60%
 参考に
 リニア中央新幹線をめぐって
kojima-dental-office.net/blog/20211114-14976#more-14976
 在来新幹線よりはるかに多くの電力を必要とするリニア新幹線は、原発の再稼働か新増設に依存することを前提として計画されている。

第21回原発・いのち・みらいシリーズ講演会
とき 2023年10月15日(日)10:00~12:00
ところ 石川県地場産業振興センター本館2階 第1研修室
定員 会場 参加 100人 Zoom 参加
参加費 無料
対象 どなたでも
参加申込
 〔締切〕10/10(火)午前中
[主催]石川県保険医協会
〒920-0853 金沢市本町 2-11-7  
  金沢フコク生命駅前ビル 7 階
TEL 076-222-5373(平日 9:00~17:00)
FAX 076-231-5156
 <略歴>
 東京大学工学系大学院(学術博士)、INSEAD(経営学修士)。京都大学経済研究所客員助教授などを経て現職。専門は環境エネルギー政策。『今こそ知りたいエネルギー・温暖化政策Q&A(2023年版)―政府GXによる原発回帰は、国民負担が増すだけで、脱炭素にもエネルギー安定供給にもつながらない』(原子力市民委員会、2023年)『グリーン・ニューディール:世界を動かすガバニング・アジェンダ』(岩波書店、2021年)など著書多数。
 <講演抄録 講師 明日香壽川>
 グリーンニューディールを進めて
 グリーンウォッシュを防ぐために知るべきこと
 政府のグリーントランスフォーメーション(GX)を名目とした原発推進においては、電力安定供給および脱炭素化の二つがその理由として強調されている。しかし、他の発電エネルギー技術などと比較した場合、原発は電力の安定供給にも脱炭素にも貢献しない。逆に、原発に投資することで、他のより経済合理的な発電エネルギー技術への投資が減ることになり、これは電気代の高騰をもたらすだけでなく、脱炭素を遅らせることになる。
 本講演会では、発電コストおよび温室効果ガス排出削減コストに関する最新状況を紹介することで、日本政府の議論が誤った前提や仮定に基づいたガラパゴス的なものであることを明らかにする。同時に、原発推進の別の理由である核兵器産業の保護や核兵器転用ポテンシャルの維持に関しても議論する。
 ※グリーンニューディール : 再エネ・自然資源などへの投資で温暖化防止と景気活性化を図る経済政策
 ※グリーンウォッシュ : うわべだけ環境保護に熱心にみせること
原発 ≠ 電力安定供給
原発 ≠ 脱炭素
それでも 原発推進の旗を降ろさないのは なぜ

原発投資は…
お金ののムダ !
温暖化対策を遅らせる! この夏 地球灼熱化
・電気代も高騰

 

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