放射線の健康影響
2012年02月19日(日)
石川県保険医協会 第38回 総会 記念講演会
原発・いのち・みらいシリーズ第4回
講 師:矢ケ崎克馬氏 琉球大学名誉教授
と き:2月19日(日)午前10時~12時
ところ:ホテル金沢4階「エメラルド」
対 象:関心のある方どなたでも ※お早めにお申し込みください
参加費:無料チラシ 放射線の健康影響
メモ
1.野田首相は、冷温停止し、「事故収束に向けた道筋のステップ2が完了した」
(2011年12月16日)
とはいっても、あまりにも不安定な状態
どんどん注がれている冷却水が、
メルトスルーで生じた圧力容器の下部の大きさ不明の穴から
放射能を含んだ汚染水となり、じゃぶじゃぶ垂れ流し状態となっている
2.原発は事故がなくても規制値以下(安全か?)の放射能が漏れている
事故当初アメリカが自国民に80㎞以遠へなぜ避難勧告したのか
参考に
原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録
blogs.yahoo.co.jp/kumagoro_sasayama/43230357.html
著者グールドは経済統計の専門家。アメリカ政府・医療当局の乳癌死亡統計を分析して、原発から50マイル(80㎞)、100マイル以内の郡(カウンティー)の乳癌死亡者が、それ以外の地域と比較して有意に多いことを突き止めた。
3.ICRPの2つの罪
・メリットがあるから犠牲は仕方がないとする受忍強要
・内部被曝隠しのためにレフリー付論文が出ないようにする
(学会が一定のプロセスによって評価した論文)
*広島の原爆影響調査のための土壌調査を、洗い流された枕崎台風後に行った
*ICRPに近い学者が99%、内部被曝派が0.1%、中間派が0.9%
4.食の安全
・食品をきちんと測定する
検査せずに売るべからず!買うべからず!
・汚染ゼロの食品を
限度値をドイツ並みの100分の1にする
*日本では500Bq/kg以下は安心となっているが、
ドイツでは、おとな8Bq/kg、こども4Bq/kg
・法定汚染ゾーン(ロシア)
管理強化 0.5~1.0mSv/年
移住権利 1から5mSv/年 移住する権利がある
移住義務 5mSv/年以上 移住しなければならない
*1mSvとは10万本の放射線を浴びること
*国民の健康を守るのか、東電や国を守る立場なのかを見極める
*責任を明確にする
・放射性物質の除去
野菜はよく洗う・茹でる
魚はエラと内臓を取り除く
・科学的根拠のないものや人格を傷つける風評被害を無くす
・老人は放射能汚染食品を食べても大丈夫か
免疫力が乏しく、病気がちであれば避けた方がよい
5.放射線の作用 分子切断
・電子を原子から吹き飛ばす
・ペアの電子を飛ばして分子を切断する
・放射線の種類によって飛ぶ距離や分子切断の程度が違う
www.weblio.jp/content/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E7%B7%9A
γ線(外部被曝)の場合はエネルギーを失わずに遠くまで飛び
所々しか切れないので正常に再結合する
α線(内部被曝)の場合は電離作用が強く、
DNA等も間違ってつながる可能性が高くなる
・分子切断の総量と密集度による細胞の変化
総量が多ければ死にいたる
密集度が高い(放射性埃が通過していく)ところに変化が起きる
・1㎝球の実質的被曝範囲ではなく、6㎝球の組織を調べるので
線量も平均され少なくなり、その影響もかなり矮小化される
6.内部被曝
・直径0.1μmの放射性埃に10億個の放射性原子が含まれ、
セシウム137であれば2600本/時間、
ヨウ素であれば1000本/秒の放射線を出し、
(β線1本で2万個の分子を切断)
1日にそれぞれが12億個や1.7兆個の分子を切断する
・放射性微粒子ままで体内に入るので、
飛ぶ距離が短くても電離作用の強いα線やβ線による内部被曝を引き起こす
・がんや遺伝だけではなく、あらゆる症状や病気が起きている
7.放射能汚染の実態
・町田市で3.11後、鼻出血など104件の異常が報告されている
放射性微粒子が鼻粘膜に直接付着して起きたものと考える
・福島県民3765人中、1117人に甲状腺内にしこりや嚢胞が見つかる
・日本の小児がん死亡率は、1950年以降急激に増加し、1965年頃にピーク
(1945年の広島・長崎の原爆と1963年の大気圏内の核実験禁止条約)
・ベラルーシにおける小児甲状腺がんの推移(1986年チェルノブイリ原発事故)
www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html
・亡くなった人の調査では、あらゆる臓器にセシウムが見られ、
病気の可能性を示唆している
・放射能の害をたばこと比較するのではなく、かけ算して考える
参考に
市民と科学者の内部被曝問題研究会(略称:内部被曝研)
www.acsir.org/index.php
内部被曝に重点を置いた放射線被曝の研究を、市民と科学者が協力しておこなうために、市民と科学者の内部被曝問題研究会を組織して活動を行うことを呼びかけます。
【抄録】放射線の健康影響
矢ヶ﨑克馬
1. 放射線の基本的作用は、命の働きがおこなわれている分子の切断です。
2. ①分子が切られたら命の働きがうまくいかなくなります。急性症状が出てさらには命を奪われます。
②分子が切られても「つなぎ直す」命の働きが現れるときは遺伝子がつなぎ間違えられる危険が主になります。晩発性疾病や子孫に影響が出ます。
3. アメリカは「原爆の放射線被害者を隠す」核戦略を持ちました。国際放射線防護委員会はその実践機構です。
4. 内部被曝は、放射能の埃が体内に入り、体内で放射される放射線で被曝するものです。体の外から放射線がやってくる場合は外部被曝です。
5. 福島市、郡山市の汚染状況と同程度のチェルノブイリ周辺地で、健康被害は、免疫力の低下、平均寿命の15才もの低下(男子)、胎児死亡・先天的形成異常など、すさまじい被害が出ました。
6. 政府は住民の命を救うことをせず、限度値を引き上げるなど、発電会社と政府の責任の軽減を図っています。
7. (内部被曝を救う食糧基本政策)
①消費者も生産者も共に被害者。汚染ゼロを合言葉にする。
②政府の限度値の50分の1程度以下を健康限度値として、それ以上の汚染食品は市場に出さない、食べない。生産者補償を行う。
③全ての食糧産地に測定器を完備させる。測定なしには、売らない、食べない。東電に測定器を購入させる。
④汚染の無い土地で、食糧大増産を行う計画を立て、避難・移住等との関わりで計画する。
8. 年間1mSv以上の汚染地は移住の権利を保証する。学童の疎開を行う。5mSv以上の土地は国が避難・移住を実施する。居住可能な汚染度の低い土地には徹底した除染をプロの手で行う。
9. 放射能汚染物の捨て場を自治体ごとに定める。
10. 幼児、学童、妊婦、病人等の「被曝弱者」を特別に保護する。
11. 無料で、かつ病気の制限なしに医療保障を行う。
住民の健康を管理するきめ細かい健康診断制度と医療補償制度を確立する。
【プロフィール】
■2011 年5 月に、衆議院科学技術特別委員会・予算委員会の審議で、参考人招致され、内部被曝について説明された方です
1943 年東京生まれ。琉球大学名誉教授(物性物理学専門)
琉球大学理学部教授、琉球大学極低温センター長、日本学術会議物理学研究連絡委員会委員、琉球大学学生部長、琉球大学理学部長、琉球大学大学院理工学研究科長等を歴任。
2003 年より原爆症認定集団訴訟で「内部被曝」について証言を行う。
2011 年5 月20 日、衆議院国会審議 科学技術特別委員会「科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件(放射線の健康影響について)」参考人招致にて説明・質疑。
2011 年5 月27 日、参議院国会審議 第17 回予算委員会参考人招致にて説明・質疑。
著書に『力学入門』(裳華房、1994 年)、『隠された被曝』(新日本出版社、2010 年)、
『小出裕章 矢ヶ崎克馬 3・11 原発事故を語る』(本の泉社、2011 年)がある
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石川県保険医協会 http://ishikawahokeni.jp/
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電話:076(222)5373 FAX:076(231)5156
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