原発報道ー東京新聞『こちら特報部』はこう伝えたー
2013年03月17日(日)
原発 いのち みらい シリーズ 第6回
石川県保険医協会第39回定期総会 記念講演
講師 野呂 法夫氏(東京新聞 特報部デスク)
とき 2013年3月17日(日)午後2時~午後4時
ところ 金沢都ホテル
対 象 関心のある人ならどなたでも(定員100 人)
参加費 無料(申込 必要)詳しくは チラシ 原発報道
申込 詳しくは
主催 石川県保険医協会
メモ
1.メディアの体質
多くの記者が「記者クラブ」の中で情報、資料提供を得、解説を受けて育ち、キャリアを重ねていく。このシステムにどっぷり浸かっていくほど居心地が良くなり、思考も当局や官僚寄りとなる。虜になり、深く考えずに同じ方向へ流され、「おかしい」と思っても言いづらく、批判できなくなっていく。
原発の場合は原子力ムラ
2.特報部
政府・官僚ではなく、市民の関心に応える紙面作りを心がけている。中日新聞の社論拘束が緩いことも幸いしている。
記者クラブに属さず、独自取材・自ら考える少数精鋭の部隊。部長1人、デスク4人、記者8人。その日担当のデスクは、持ち回りで、朝10時過ぎにテーマと方向性を説明。2人の記者が、自分の足で現場を歩き、拾い集めた市民や識者の声を夕方持ち帰る。そして、夜中までにデスクが紙面を作る。
特報訓
・最大公約数を追え
・二報に真実あり
・権力の肥大・ウソを監視する
・タブーへの挑戦
・中立報道を疑え
・缶詰・御用原稿はいらない
3.原発報道から得たもの
原発報道によって、既存メディアの目線や判断が官依存になっている現実が市民にばれてしまった。また、注意深い市民が明らかにしても、官が分からない・確定していないものを書かないメディアの姿勢にも疑問を持つようになった。
拡販活動ではなく、「特報記事は面白い」がネットで広まり、東京新聞全体の報道姿勢が関心を呼んだ。駅売りの新聞が売り切れになり、購読部数も増えた。
4.原発の課題
・原発を再稼働しなくとも、その敷地内の使用済み核燃料のお守りは続いている
・使用済み核燃料の最終処分に対する「未完の技術」の迷走に目をつぶる
・地層処分はすべきではない
地層の変化を10万年も予測できない
・安全な原発などあり得ない
・活断層
・除染ではなく、移染
・福島の年間の許容線量1ミリシーベルトと健康影響
低線量でも、チェルノブイリでは、食べ物などによる内部被曝から
前がんや明確ながんではない状態、
免疫力が落ちたり、体調不良や疲れやすい長崎・広島被爆者のぶらぶら病
などの異常を引き起こしている
5.「非原発」の誓い
ウィーンの物理学者ヴォルフガング・クロンブ氏の警告
kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-577.html
「日本のエネルギー政策は無責任だ。最大の過ちは何よりも、このような地震が多い国に原発を造ったこと。そのような土地に原発は全く不適である。どのような地震にも耐えられる安全な設計はあるとは思えない。ここまでは事故が起きても我慢できるとか、ここまではいいことにするなど計算することがそもそもおかしい。実際の核事故が起きれば、帳消しにできない足跡を、とてつもない長い時間にわたって残してしまうことになる。そして、それは許されないことです。」
【書評】
非原発 「福島」から「ゼロ」へ 東京新聞「こちら特報部」 編著
抄録
メディアは原子力政策、あるいは原子力そのものの是非について、真正面から論じることを避け、国民に原子力の正しい情報を伝えてこなかったのではないか。これが原発報道に対する不信感を助長している原因であると言えます。
そんな中、東京新聞は脱原発の立場を明確に打ち出し、権力にこびない・ぶれない、市民目線の報道を行っています。特に、『こちら特報部』の一連の報道は、「当局の“発表”に依存せず、自らの問題意識を基礎に取材し、その成果を紙面に反映させている」と高く評価され、2012 年度日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞などを受賞しました。
講師の野呂法夫氏は東京新聞特報部デスクとして、東日本大震災・原発報道の最前線に立ってきました。東日本大震災、福島第一原発事故、また原発をめぐるさまざまな問題を、関係者の本音を交えてお話しいただきます。多くの方のご参加をお待ちしております。
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