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菅 直人氏「総理大臣として直面した福島原発事故の真実」

2023年03月05日(日)


 理系総理らしく、積み重ねた事実を謙虚に話された。秘書である長男、菅源太郎氏がサポートしていた。
 メモ
A.福島原発事故はほとんど発生前に原因がある
 a.標高35メートル→10メートル
   ・建設地は元々標高35メートルの飛行場だった所を掘り下げて10メートルにした
   ・海水での冷却水をくみ上げる電気代節約のために低くした
 b.アメリカGE社の原発をモデルに設計している
   ・アメリカは、竜巻を想定しているが、地震や津波を想定していない
   ・ディーゼルの補助電源を原発海側の地下に設置している
   ・アメリカは内陸部にあり、日本は海岸線にある
 c.原子力安全・保安院長は原子力の専門家ではなかった
   ・経産省の経済学部卒の役人
B.原発事故の真実
 a.総理官邸危機管理センター
   ・地下にあり、携帯がつながらず、地上で会議となる
   ・事実(現場の様子)やその理解が官邸に挙がってこない
   ・内容が分かる担当官がいなかったので判断ができない
     *アメリカは原発の専門家が軍にいる
 b.原子炉を冷却し続けるため電力が地震と津波で2系統とも喪失
   ・地震により鉄塔が倒れて外部電力は遮断
   ・少し遅れて津波により、緊急用のディーゼル発電が遮断
  *原子炉を冷却し続けられなくなり、
   原子炉でのメルトダウン、放射性物質の大量放出となる
www3.nhk.or.jp/news/special/nuclear-power-plant_fukushima/feature/article/article_08.html
 c.対応やその理由が混乱
   ・東電の社長も副社長も東京にいなかった
   ・東電の指揮命令系統がはっきりしていない
 d.翌日、福島へヘリで飛んだ
   ・吉田所長が現場を仕切るに足る人物と見極められた
   ・津波でどこまでが陸で、どこまでが海かが分からなくなっていた
     自衛隊に最大規模の10万人を要請
   ・東電の中に「政府との統合対策本部」を作った
 e.半径250km・5千万人避難が必要な最悪なシナリオ
 近藤駿介 不測事態シナリオの素描
www.asahi-net.or.jp/~pn8r-fjsk/saiakusinario.pdf
C.安全保障上の問題
 a.原発はターゲットになり得る
   ・通常兵器でも破壊可能
   ・ウクライナのザポリージャ原発で実証済み
   ・大惨事になるリスクがあることを十分認識する必要がある
 b.アメリカの対応
   ・民間人には退去勧告があったが、大使館は移動しなかった
     *フランスなどは関西へ移動した
   ・第七艦隊の母港である横須賀も維持した
D.原発回帰か再生エネルギー100%か
 a.GX会議
   ・原発事故以来再生エネルギーに傾いたものを経産省主導で原発回帰へ転換
   ・利権が事実をねじ曲げる
   ・経産省内にあった原子力規制委員会を分離独立させたが、最近緩くなってきた
 原子力規制委員会
www.nra.go.jp/
   ・太陽光発電を20円で買えるのに10円/kwで買い、25円で売電
     経産省と東電が結託し、再生電力が増えないようにしている
 b.電力の推移
   ・2010年
     化石燃料65%、原子力25%、再生エネルギー9.5%
   ・2020年
     化石燃料76%、原子力4%、再生エネルギー20%
   ・2030年政府目標
     化石燃料41%、原子力20%、再生エネルギー39%
   ・2030年 管私案
      化石燃料20%、原子力 0%、再生エネルギー80%
      (天然ガス20%) (太陽光50%)
 c.営農型太陽光発電
   ・農地法改正により、構造物が建てられるようになった。
     柱を立てている所だけ変更する
   ・太陽が移動するので、パネルの下でも野菜や稲が育つ
   ・試算すると、500kW×1,000時間×400万ha=2兆kWh
日本の年間電力消費量は、1兆kWhなので100%賄える
 営農型太陽光発電(農林水産省)
www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/einou.html
 参考に
 菅 直人 著「東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと」
www.gentosha.co.jp/book/b6211.html
 菅 直人 著『原発事故 10 年目の真実~始動した再エネ水素社会』
www.gentosha.co.jp/book/b13564.html
 太陽の蓋
 https://www.youtube.com/watch?v=b4F5GePHjNE
 原発 いのち みらい
kojima-dental-office.net/blog/category/study/nuclear

菅 直人氏「総理大臣として直面した福島原発事故の真実」
第49回石川県保険医協会総会記念企画

第20回原発・いのち・みらい シリーズ講演会
【講師】 衆議院議員 菅 直人氏 ※会場で講演予定
【日時】 2023年3月5日(日)午前10:00~12:00
【会場】 ホテル金沢 2階 ダイヤモンド(金沢市堀川新町1番1号)
【参加方法】 会場参加(定員100人)またはZoomウェビナー(定員200人)
【対象】 どなたでも
【参加費】 無料(会場参加もオンライン参加も申込必要)
【申込方法】詳細は、下記ホームページのチラシをご覧ください
ishikawahokeni.jp/230305/
【申込締切】 2/27(月)午前中まで(定員になり次第締め切ります)
【注意事項】
 新型コロナウイルス感染症の影響やその他の事情により、急きょ予定を変更することがあります。最新情報は、下記ホームページをご確認ください。
ishikawahokeni.jp/230305/
 会場参加の方はマスク着用の上ご来場ください。また、体調の悪い場合や発熱のある場合は参加をご遠慮ください。
 参考に
 脱原発の小泉純一郎氏講演会
kojima-dental-office.net/blog/20190928-12857
 河野太郎さんと語る、日本とエネルギーの未来
kojima-dental-office.net/blog/20111122-4736
~ ご案内 ~
 東京電力福島第一原発は今なお先の見えない収束作業中であり、ALPS処理水の海洋放出問題や残存する帰還困難区域など、様々な問題を抱えています。
 国会事故調査委員会等の調査結果では福島原発の事故原因は津波ということになっていますが、その結論が出た後にも様々な新事実が確認されている状況です。今後の事故を防ぐためには、事実の検証が重要であると考えていたところ、この度、当時の総理大臣であった菅直人氏(衆議院議員)からお話いただく機会を得ました。
 総理大臣の立場でしか経験できなかった数々の秘話をお聞きした上で、我が国の原発政策について考えを深めていきましょう。

【講師略歴】 菅 直人 (かん なおと)
1946 年 山口県宇部市生まれ。東京工業大学理学部応用物理学科卒。
1971 年 弁理士試験合格。
1974 年 市川房枝さんの選挙事務局長を務める。
1980 年 衆議院議員に初当選。
1996 年 厚生大臣就任。薬害エイズ事件の真相究明と介護保険制度の導入に尽力。
    民主党を結成。
2009 年 政権交代。副総理就任。
2010 年 財務大臣を経て、第 94 代総理大臣に。
2011 年 東日本大震災と東電福島第一原発事故対応を総理として陣頭指揮。
    その後、原発ゼロに向けて取り組む。
2017 年 立憲民主党結党に参画。14 期連続当選。
現在 立憲民主党最高顧問
主な著書に『大臣』(岩波新書)、『原発事故 10 年目の真実~始動した再エネ水素社会』(幻冬舎)、『民主党政権 未完の日本改革』(ちくま新書)。

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