のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

かもの法則

2010年01月31日(日)


脳を変える 究極の理論
西田文郎著
現代書林
1500円
2009年7月27日発行

 やる気は、出そうとすればするほど面白いように出なくなります。私たちの心は自分の思い通りにならないのです。心を思い通りにする方法は、心という現象を作りだす脳の仕組みを利用することです。
 かもの法則とは、否定の「かも」が発生したら、肯定の「かも」に置き換えればいいです。右脳には、相反する未来のクオリオが住み着くことができないのです。ですから、「できないかも」がひらめいたら、「違う。もしかしたらできるかも」に置き換えてみてください。
「できる」などと、無理矢理思いこもうとせず、「できるかも」で十分です。その一見弱々しそうに見える不確定が、柔軟な目標実現能力を与えてくれるのです。大事なのは、苦労や努力さえ喜びとなるような「肯定的なかも」を意識的に脳に発生させることです。
 ツキは、肯定的な良い「かも」が背負って来るものなのです。100年に一度のピンチを、100年に一度のチャンスに変えられるのは、何かのせいには絶対しない自責の人間だけです。

1.「否定的なかも」が飛びますと、人は自分を守ろうとします
 人は、失敗したから諦めるのではありません。「かも」の形で、失敗を予感するから諦めるのです。不況で右往左往するのは、夢という「肯定的なかも」を持たない人たちです。この不況で「否定的なかも」に捕まり、抜け出せなくなっている人たちは「自分のせいではない」と考える共通点があります。自分の手で現状を変革し、未来に向かって自らの運命を切り開こうとしない環境依存型の、他責の人間のところへ、ツキがやってくるわけがないのです。

2.確信を最初に求めるから挫折します
 私たちの間違いは、最初に自信や確信を求めることです。自信や確信が持ててから実行に移ろうとすることで、せっかくの「かも」を殺してしまうことです。
 不確定なものは不確定のままでいいです。不確定な未来に自信とか確信を強引に持ち込もうとしますと、飛べないかもが出てきてしまいます。それより活き活き飛び回る「かも」と、一緒に生きることが大切なのです。そこには、人の心をワクワクさせるものがあり、「かも」を成長させる喜びの芽があるのです。人を行動的にするのは、未来に対するこのワクワク感(喜び)です。

3.変えるべきは「思考」ではありません
 自分のマイナス思考を否定し、自分の感じ方や考え方を否定しておきながら、プラス思考になろうとするのが間違いなのです。私たちは「思考」を変えることはできません。なぜかと言えば、「思考」は既に出来上がってしまったものだからです。マイナス思考は、放っておくに限ります。
 プラス思考とマイナス思考の違いが最も明確に現れるのは、困難にぶつかった時です。マイナス思考は、なぜうまくいかないのかと原因を探り、プラス思考は、どうしたらうまくいくかと方法を考えます。否定的な目で分析すれば、出てくるものは否定的な要素ばかりです。肯定的な発想で考えれば、出てくるのは未来的な発展的要素です。

4.脳の仕組み
 人間の脳は過去に経験したのと同じリスクを避ける仕組みとして、痛みや苦しみ、恐怖感のデータのほうがより強くインプットされることになっています。つまり、成功よりも、失敗や挫折、不成功の記憶データのほうがずっと大きなインパクトを持っています。それが、自分の望むような未来をつくる「肯定的なかも」より、「否定的なかも」のほうが強く羽ばたいてしまう理由です。私たちの脳は、「したい」という願望のほうではなく、「否定的なかも」のほうを実現してしまう仕組みになっています。
 私たちの脳が最も活性化し、発揮能力が高まるのは、「扁桃核の快→側座核→前頭前野」という報酬系回路(喜び)にスイッチが入った時です。逆に扁桃核の不快から生まれる不安や心配、のようなマイナス感情に支配されますと、自己防衛系回路がスイッチオンになり、実行能力や達成能力が低下してしまうのです。

5.予感
 「イメージ(右脳)」と「思考(左脳)」だけでは、心をコントロールできないのです。「予感(大脳辺縁系)」が心の動きと関係しているのです。未来の予感の「かも」たちは、まだプラス思考でもマイナス思考でもありません。その前のファジーな感じ(クオリオ)です。
 願望は実現しなくても、予感は実現します。なぜなら願望は大脳新皮質(右脳・左脳)が生み出した観念に過ぎません。しかし予感は、もっと深いところにある潜在意識から生まれます。そして、私たちの脳は予感を抱いた瞬間から、全力でその予感を実現しようとするものなのです。そのように最初からプログラムされているのが私たちの脳です。
 いい予感が現実になるには、必ず努力が必要になります。しかし、悪い予感は、努力の必要がありません。というより私たちの脳は努力を放棄してしまうのです。

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