コメント力
2008年10月27日(月)
「できる人」はここがちがう
斎藤孝
筑摩書房
1200円
患者指導に、会議にコメントセンスが毎日問われている。もともと日本人はコメント下手の国民である。アメリカ人のようにジョークを利かすこともなければ、フランス人のように人と変わったことを言おうとするわけでもない。「まねる力」「段取る力」「コメントする力」の3つの中で日本人と欧米人との差が顕著に現れるのは、この「コメント力」である。優れたコメントを集めた「コメント力トレーニング集」を使って、そのコツをつかみ、「コメント力」を意識化することで磨いていきたい。
1.コメントとは
短く整理された言葉が重要であり、流れに杭を打つようなタイミングやレスポンスも非常に重要である。また、コメントをするには覚悟が必要である。それが人間的な魅力になる。
・客観コメント 誰が見てもそうだというところを見据えて言う
要約スタイルで、それが核心をついていると評価される。
・主観コメント 自分なりの主観で言う
新しい視点や驚きを喚起するもの
2.コメントの基本
具体的なものを引用しつつ、周辺の役に立つお得な情報を入れて、プラス自分の全体に対する印象を述べる。「平凡なことは言うまい」という意志が必要である。コメントは基本的に前もって考えておくものと、思ったほうがよい。
・対象についての話から離れない
・違いについて敏感になる
・結晶化した言葉である
・オリジナリティが見える
3.優れたコメントとは
優れたコメントとは、新しい目でそのものを見ることができるようになることである。また、次に展開していく起爆剤になるかどうかが基準になる。優れたコメントは、それを言われた瞬間だけでなく、その後から効いてくる。非常に賞味期限が長い。
・内容が面白い(見る視点がいい、角度がある切り口である)
・表現が面白い(気の利いた言語表現である)
4.コメントにも作法がある
あら探しや弱点をついてしまいがちだが、それは質の低いコメントである。批判するなら一番エネルギーを注いだ所を見抜いて、対象にすべきである。
批判的なコメントを言ったとしても、コメント者の身分は保障される。またその批判は相手に対する全人格的な攻撃にはならないルールを作っておくことが大切である。
聞いているほうもコメントにランクがあることを意識すべきである。コメントされた相手、あるいはそれを聞いている人にどういう効果をねらっているのかという視点から眺めてみると、はっきりランクが見えてくる。
5.立ち位置
スタンスが違うとコメントは変わってくる。自分はどの立場で言っているのか、誰に対して言っているのか、その立場性を頭に入れながらコメントすれば、より的確なコメントができるようになる。また、コメントを注意深く見ていくと、その人と他者との関係性を知ることができる。
6.「コメント力」の鍛え方
「コメント力」とは、実は準備しておくことが大切である。違いについて敏感になる、コメントを常に考えている、この習慣が重要である。当意即妙に答えるのは、能力というよりは習慣である。キーワードを文字にすることでコメントは磨かれてくる。事前に、短くてインパクトのある言葉を3つ、4つ書いて用意し、自分のツボであるコメントをあらかじめ作っておく。
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