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災害社会学者がみる能登半島地震 能登に伴走して

2026年03月07日(土)


講師  田中 純一氏
www.hokurikugakuin.ac.jp/univ/intro-teacher/tanaka-junichi.php/
(北陸学院大学 社会学部教授)
講演会メモ
  2年経っても「復興」という言葉は使えない
  将来展望が描けない不安
  一次避難所や二次避難所、仮設住宅の問題に人権保障の視点が無い
 参考に
 能登半島地震 被災者の一部負担金免除に関する活動報告
kojima-dental-office.net/20251224-7993#more-7993
A.2024年能登半島地震前からわかっていたこと
  1.ひとたび大災害が起これば孤立する集落が各地で発生すること
    →2007年の時も孤立集落は発生していた
   ①集落に繋がる道は、幹線道路が1本から枝分かれした毛細血管のような狭い道
   ②最初のもたつき、ボランティアの自粛
   ③半年経っても静かな被災地  重機の音もなく、ボランティアの声もない
  2.医療・介護・福祉のニーズがある住民が多いこと
    激甚・大規模災害が発生すれば既存の福祉避難所では受け皿が足りないこと。
    受け入れる医療機関が足りなくなること。
      →結果として放置
   ①健康な人だけが避難しているわけではない→瞬く間に症状悪化、感染症の蔓延
     継続しているニーズ、顕在化したニーズ、新たに生じたニーズ
   ②奥能登では指定避難所と福祉避難所を分ける意味がない→全てを福祉避難所に
   ③在宅避難しか選択肢がなかった住民→避難所ではなく「受難所」
     障がいのある家族、小さな子どもがいる世帯、ペットを世話する世帯
  3.最初の1ヶ月の間に既往歴がある高齢住民の命をいかに守るかということ
      →東日本大震災の教訓を活かした対策をどこまで講じられていたのか
   ①避難所からの搬送者は1月に集中している
      1月 676人、2月 61人、3月 18人、4月 6人
   ②埋もれたままの関連死→実態はより深刻
      申請主義の弊害  一人暮らし、申請する人がいない
      「見舞金がほしいと思われるのが嫌」
  4.国や自治体の責務
   ・公助による「助かる」社会基盤の構築が自助・共助よりも先んじて必要
   ・「公助の限界」を突きつけ、当事者の精神論で乗り切るには限界がある
   ・地域住民に「助け合い」「寄り添い」を強調し、乗り切れ
        →国、自治体は責任の放棄
    *2007年以降、県民の命を守る準備はどこまでなされていたのか
     2007年能登半島地震、東日本大震災の教訓は生かされないまま
B.ボランティア団体の位置づけ
  1.ボランティア登録制度の創設「管制ボランティア」
    ①2025年の災害対策基本法改正
     ・審査要件 行政と連携して支援活動を行った実績
       25年10月に5団体、26年2月に19団体が登録
     ・「自主性・主体性・社会変革性」を封じ込めた
    ②県知事が登録団体に協力を命じる→自粛の呼びかけ
     ・自治体が各団体の動きを把握
  2.阪神淡路大震災が「ボランティア元年」
     ・自主性・主体性・社会変革性
C.2次避難
  1.2次避難先住民サポートの必要性
   ①住居だけではなく、人・畑・海・山との関わりが重要
      ・ガチャ 避難所によって対応が異なる
      ・1次避難では住民同士の安心感があった、温かい食べ物があった
      ・2次避難では寝るところと冷たい食べ物だけで、後はほったらかし
      ・住民の分散・孤立 話し相手がいない、相談できる人がいない
      ・信頼していたなじみの医師や介護士がいない
    ②移動に伴う心身の疲弊→配慮がない
      ・一時避難所A→一時避難所B→1.5次避難所→2次避難所

  2.広域避難と期間はワンセット
    ・広域避難は片道切符で、いつ戻れるのか、どうやって戻るのかがわからず不安
    ・「仕方ないことだから」と不安・ストレスを背負い込む避難者
    ・自治体間の連携・調整不足 
D.仮設住宅
  1.仮設を作って供給すればそれでよしの救貧思想
    ・不都合なことは我慢するしかない
    ・健康を害する、怪我を引き起こしかねない要素は全て取り除くべき
       滑りやすい通路、高さの違う階段、室内の段差
  2.住む人の特性を考慮しない応急仮設住宅
    ・仮設住宅に入居している人は高齢者が多いのに、高齢者向きに作られていない
    ・仮設住宅に自分を合わせるしかない
      主人の介護用ベッドを入れたら、狭くて奥さんは足を伸ばして眠れない
E.復興計画
  1.生活者の声の先にある「復興」
    ・暮らしの再生に住宅は最も重要な要素だが、生きがいも大事
    ・「暮らし」の中に埋め込まれている「海との関わり」「山との関わり」
       「畑との関わり」「先祖との関わり」を丁寧に読み解く
    ・暮らしやすい
      食べ物が豊富、お裾分けの文化、生活費がかからない、人との交流、助け合い
    ・日常生活圏域に医療・介護、福祉があることの安心
  2.小さな復興がより大切
    ・大きな復興が小さな復興をかき消したり、
       かき乱すことがないようにしなければならない
      *輪島の仮設住宅に住む被災者の声
       「輪島塗や朝市の復興も大事だけど、
        もっと足元の生活に根差した復興に力を入れて欲しい」

  3.復興計画の優先順位は行政の視点より生活者の視点が大切
    ・住み続ける覚悟した人をインフラや環境整備で支えるのが国や自治体の仕事
    ・一部損壊被災者の苦しみ
      2007年能登半島地震で被災した7割が一部損壊の人たち
      軽微だから支援がなくても復興していると思われたが、
      3割以上が10年経っても復興していない
    ・災害公営住宅からの追い出し
      2007年能登半島地震の20年目に突きつけられた過酷な現実
     *フロア発言に会場からもどよめきが起きた
       「能登町営住宅の4万から19万への家賃値上げ」

石川県保険医協会 第52回定期総会 記念講演会
能登に伴走して
講師  田中 純一氏
(北陸学院大学 社会学部教授)
日時 2026年3月7日(土)午後6時~8時
会場 ホテル金沢 4階 エメラルド
  ・講演会はWeb等によるライブ配信は行いません。
  ・駐車場の数には限りがございます。公共交通機関のご利用にご協力ください。
定員  100名
  ・事前のお申込が必要です。なお、受付票等はございません。
   参加定員に達した場合、上記期日より早く締め切る場合があります。
締め切り 2026年2月27日(金)まで
参加費  無料
▼参加申込方法 総会記念講演会チラシを参照 
 ※感染症等、万が一中止・延期となる場合のご連絡に必要ですので、必ずご記入ください。
主催  石川県保険医協会
     [メール] ishikawa-hok@doc-net.or.jp
     [電話/ファックス] TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156  
 2024年1月1日に発生した能登半島地震、同年9月の能登豪雨被害からの住宅・生活再建は、いまだ道半ばとなっています。
 この度、発災以降、研究者として誰よりも能登に伴走し続け、仮設住宅等への支援活動を行っている田中純一氏を講師にお招きして講演会を開催することとなりました。
 田中氏は、2007年の能登半島地震の頃から能登に通うほか、国内外の被災地を訪ね、被災者と交流を重ねて、災害社会学者として、また、住民の代弁者として被災地の現状を発信しておられます。
 当日は、その豊富なご経験をふまえて、能登半島地震被災地の現状、そして、住み続けられる能登にしていくために何が必要かお話いただき、参加者のみなさまと考え合う機会にしたいと考えています。ご興味のある方はどなたでもご参加いただけます。ぜひ、お誘いあわせの上、お申込お待ちしております。

 【講師のご紹介】
 専門分野は災害社会学、環境社会学、災害復興論。能登半島地震、東日本大震災など国内外の被災地に赴き、調査研究に関わる。防災士育成や防災教育教材開発、地区防災計画づくりなどにも従事。
 令和6年能登半島地震においても、発災当初から珠洲市、輪島市をはじめ被災地への様々な支援活動、学生の災害ボランティア活動にも力を入れており、現在も地元住民らと交流を続けている。

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