憲法の創造力 -今こそ憲法を語る-
2018年03月10日(土)
講師:木村草太さん(首都大学東京 都市教養学部法学系教授)
ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E8%8D%89%E5%A4%AA
<講師プロフィール>
1980年神奈川県生まれ。東京大学法学部卒。専攻は憲法学。
著書に『木村草太の憲法の新手』(沖縄タイムス社)、『憲法という希望』(講談社)、『憲法の創造力』(NHK出版)、『憲法の急所-権利論を組み立てる』(羽鳥書店)など多数。
メモ
論理矛盾なく流れるように憲法を語る。
A.立憲主義と憲法
1.国家権力の三大失敗
①戦争
②人権侵害
③独裁
2.張り紙の論理 憲法は国家権力に対する張り紙
国家権力が失敗を繰り返さないためのルールを憲法に盛り込む
①軍隊と戦争をコントロールする→第二章 戦争の放棄
②人権を保障する→第三章 国民の権利及び義務
③権力は分立して、独裁を許さない→第四から八章
立法、行政、司法の三権を分立する
3.憲法第一章はその国の個性が表れている
日本では、天皇は象徴、国民が主権者
ドイツでは人間の尊厳を尊重、
西ドイツは憲法ではなく、仮の基本法
東西統一後も使われている
フランスでは約15年ごとに憲法を変えてきた
熱く一気に走り出すので牽制が必要
共和制を誓う
B.教育無償化と憲法
1.国際人権規約の(b)(c)条項の批准留保を撤回
中等教育と高等教育の無償化というのは、世界人権宣言・国際人権規約の13条2のbとcに明記されている。日本政府は、ずっと、この(b)(c)条項の批准を留保していたが、2012年9月11日に、その留保の撤回を国際連合事務総長に通告した。
これにより、日本政府は中等教育と高等教育の無償化が義務づけられ、民主党政権は、改憲ではなく法律で高校授業料の無償化を実現した。
2.憲法改正の項目として高等教育の無償化
教育無償化を憲法に盛り込むべきだとする日本維新の会の意向を受けて、安倍晋三首相が2017年5月3日に大学や短大、専門学校といった高等教育の無償化を憲法改正の項目として打ち上げた。憲法に書けば、無償化が実現しない場合に違憲訴訟が起こせるなど、時の政権への強制力が増す。
3.高等教育の無償化は法律でやるべき
自民党はもともと高校無償化に強く反対し、その文言は今でも党のホームページにある。そんな政権の矛盾した姿勢に、「憲法改正の方便だ」との声が相次ぐ。高等教育の無償化は、時間がかかる憲法改正ではなく、今すぐ法律でやるべきである。
C.自衛隊と憲法9条
1.国際法の原則
武力不行使原則(国連憲章2条4項)
例外 集団安全保障(42条)
個別的自衛権(51条)、集団的自衛権(51条)
*海賊に対してはソマリアであろうが、治安警察活動
2.日本国憲法の武力行使統制
①憲法9条
日本政府は実力の行使及び保持の一切を禁じていると解釈している
②9条の例外を認める根拠
憲法第13条 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利
国内防衛に関しては第9条下でも許容される
国外の集団的自衛権に第13条は無理がある
③後方支援
立場を入れ替えて脅威と感じれば、その行為は後方支援から逸脱している
④自衛隊
行政組織
nikkan-spa.jp/1376029/2
3.安保法制と9条改憲
①2015年安保法制改正
・集団的自衛権の根拠を国内防衛と同じ憲法第13条に求めたことに無理がある
②自衛隊の任務をどう書くか
・国防軍創設
・集団的自衛権容認
・個別的自衛権肯定
・9条堅持
・分からない
5グループが約2割ずつ
③国民投票
・上から3つまでにすると、過半数をとれ、個別的自衛権までとなり、
安保法制の違憲が明確になつてしまう
・上から2つの集団的自衛権までにすると、安保法制が否決されることになる
*注意すべきシナリオ
任務を曖昧にして自衛隊設置を可決させ、
集団的自衛権も含め、自衛隊の現状を認められたことにする
石川県保険医協会 第44 回定期総会記念市民公開講演会
日時:2018年3月10日[土]18:00~19:45
(開場予定17:30)
会場:石川県女性センターホール
www.pref.ishikawa.lg.jp/jyoseicenter/access.html
※石川県女性センターには駐車場がありますが、満車の場合は近隣の有料駐車場をご利用ください。
参加費:無料(要申込み)※どなたでも参加可能です
託 児:無料(要申込み)
<申込方法>詳しくは講演会チラシ
必要事項(①医療機関・団体名、②代表者名と電話番号、③申込人数)を記入の上、FAXまたはメールでお申し込みください。
<申込締切>
参加申込締切は3/5[月]ですが、定員(350 人)に達し次第締め切ります。託児の申込締切は2/28[水]です。
※参加証はありません。定員に達し申し込みを受け付けできない場合等に限り、主催者よりご連絡します。
※申し込みをキャンセルする場合には、お早めにご連絡ください。
<主催>
石川県保険医協会
電 話:076-222-5373
FAX:076-231-5156
メール:ishikawa-hok@doc-net.or.jp
<後援>2017年12月25日現在
金沢弁護士会
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