なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?
2023年11月15日(水)
「仕事が速い人」になる時間術101
著者 理央 周
日本実業出版社
2023年3月10日
1400円
不機嫌な人はコミュニケーションコストが高く、ご機嫌な人は低い
コミュニケーションコストとは、情報の伝達・意思疎通にかかる時間や手間のことを指す。同時に、報告・連絡・相談など、ルーティンで必要な情報共有にかかる手間を指す。
不機嫌な人は、周囲の人が話しかけるのをためらうので、報告やアドバイスなどの情報がタイムリーに集まりづらくなってしまう。反対に、ご機嫌な人は、人から話しかけてもらいやすく、情報も集まってきやすくなり、いい提案も生まれやすくなる。
順位や年齢が上がるほど、気を遣われるようになるため、コミュニケーションコストは高くなる傾向がある。
コミュニケーションコストを下げるには、きちんと挨拶をする、笑顔でいる、人の話をきちんと聞く、気軽に声をかける、お礼を伝えるなど、すぐできることは数多くある。
1.自由に使える時間を「サボる時間」と私は呼んでいる
自分の価値を生み出す最大の秘訣は、「サボる時間」を確保すること。成果に繋がるカギは現場・現物にある。一見何もしていないように見えても、データだけでは得られない一次情報を得たり、将来の発想を錬ったりしている。
「時間を管理する」より「やるべきことを管理する」ことが先。不要で優先順位の低い「やめること」を決めるのが最善。やるべきことの「重要度」と「緊急度」を同時に考え、優先順位をつけて、段取りする。
2.「サボる時間」を作る段取り
①スケジュールに「余白」がある
スケジュールが真っ黒になっているようでは、価値を生み出すための時間が取れない。アポイントを全く入れずにサボる日を作り、集中して取り組む時間を確保する。
②アポイントのない日をつくる
もともと予定のある日の別の時間に打ち合わせを入れる。空白になっている日には、できるだけアポイントを入れないようにして、「サボる時間」を取りやすくする。難しい人は先に「自分とのアポイント」を入れる。
③「記憶」ではなく「記録」で日程調整する
信頼を失うのは一瞬、信頼の回復には時間がかかる。
3.提案、アイデアを生む
①自分の考えを言葉にする
一人の自由な時間=サボる時間で深く掘り下げて考えているから、思いつきを「自分の考えを言葉」にできる。
自分の考えをどんどんアウトプットしていくと、自分の考えていることが「見える化」され、考えや意見が明確になっていく。
②「うまくいったこと」も振り返る
野村克也監督の言葉に「勝ちに不思議な勝ちあり 負けに不思議な負け無し」がある。この言葉は「不思議な勝ち」ほど、しっかり分析しなくてはならないと言っているのだと私は理解している。不思議な勝ちを分析して、その背景にある理由がわかれば、より良い次の手が打てるので次の勝ちに繋げられ、再現性が高められる。
③人の話を聞く時にメモする
情報は、「フロー情報」と「ストック情報」に分類できる。フロー情報とはその場限りの「流れていく情報」、ストック情報は後から参照・活用できる「蓄積される情報」。フロー情報をストック情報に変換する方法がメモ。メモをする目的は、ストックした情報を後で加工して「価値」を生み出すこと。
提案に生かせる点は○、確認が必要なことに□、そして一番大事な対話での「気づき」に☆をつける。大事なのは、対話に出てくるこの断片を繋ぎ合わせて「自分のアイディアや意見」を出すこと。メモは、読み返して活用することに世つて、成果に繋がる「ストック情報」になる。
④スピーディに資料を作成する
資料での修正指示をなくすための秘訣は、骨格を把握できる状態の、完成度67%のたたき台、いわゆるドラフトを、修正可能な日数を計算したうえで見せること。
指摘されているのは、自分の能力の足りない部分ではなく、資料として足りない部分だと捉える。自分一人では気づくことができない視点をもらえる。
⑤「作業効率」をあげる
私はパソコンのデスクトップには、ほとんど何も置いていない。必要なデータは全てセキュリティを施したうえで、クラウドに保存してある。デスクトップにフォルダーがあるとパソコンが重くなり操作に時間がかかるので、デスクトップを整理しておくことも、結果的には時間を短縮することに繋がる。
⑥音声入力も活用する
音声入力は、抽象的なもの、曖昧なもの、モヤモヤするものの解像度を上げ、自分の考えの言語化に役立つ極めて有効なツール。
⑦不測の事態では目的に立ち返る
真夏の会議室で打ち合わせをしている最中にエアコンが壊れた時は、窓を開けたり扇風機を回したりの手段に振り回されずに、エアコンが効いた別の快適な部屋に移りスムースに会議する。これを「As-Is To-Be分析」と言い、「本来あるべき姿(=To-Be、本来の目的)」と「現状(=As-Is)」のギャップを埋めるために、どうすればよいかを考える方法。
4.「対話」をテンポよく進める
①つかみを用意する
事前にリサーチして参加者がどんなタイプの人たちなのかを聞き出す。
②付加価値をつけて情報を流す
情報を流す時、受け継いだ内容に足りない情報を追加したり、曖昧な点を具体的にしたりする。
③先ずはYESという
想定外の提案を受けた時には、先ずは肯定し次に直す点やダメな点を説明する「イエス・バツト法」で返す。褒めるところがない時は、内容を無理に褒めるのではなく、アイデイアを出してきた姿勢そのものを肯定すればいい。そうすればまた相談しようという気になる。
5.一人で抱え込まずに周りを巻き込む
①「答えを知っている人」に相談する
相談する相手には、「答えを知っている・知らない」と「話が聞きやすい・聞きにくい」の2つの軸で整理できる。よくやってしまうのが、「答えを知らないけど、聞きやすい人」に相談してしまうこと。大事なのは、視野を広げてくれる可能性がある、無意識に避けている「答えを知っているが、話を聞きにくい人」に最低限のことを準備して聞きに行くこと。
②上司の指示にも優先順位をつける
優先順位をコントロールするのは自分。仕事の指示や依頼を受ける時には、相手が誰であっても、「何時までに必要か の緊急度と「どのぐらい優先した方がいいか」の重要度の両方を確認する。
成果を出すには上司の顔色をうかがうよりも、自分で優先順位をコントロールするためにできることは何か、を意識して工夫する。この緊急度と優先度の具合は、今進行中の直近の仕事よりも優先させた方がよいか判断を仰ぐ。
6.メールの使用法
①機微に応じてツールを使い分ける
ビジネスでは「バツドニュースファースト(悪い報告を先に)」が原則。悪いニュースほど即座に対策を打たなくてはいけないし、放置しておくと後々悪い影響が大きくなってしまう。いち早く知らせるうえで、メールのスピードは魅力だが、どんなに言葉を尽くしても、所詮メールは一方的なコミュニケーション手段。重要な話しであるほど直接会ったり、電話で伝えたりする方がこちらの誠意も伝わる。怒らせるのを怖がってメールで済ませることは避ける。メールでお詫びする場合も、先ずメールして改めて会うか電話で説明したい旨を添える。
②内容がわかる件名にする
メールの件名に差出人の名前やあいさつを書いて送るのをやめる。内容がわからないので、相手にとっては不親切。逆に、メールの件名に用件が入っていれば、今すぐ読むべきか、、後で読んでも大丈夫な用件かを、メールを開かなくても判断できる。
③本文に「添付の要点」を書く
添付ファイルを送信する時にもひと工夫。「添付ファイルをご確認ください」とだけ書くのではなく、添付ファイルの内容がわかる要約を本文につける。相手が今すぐ添付ファイルをダウンロードできない状況でも、何が送られ自分が何をすればいいのかおおよその見当がつく。後工程のアクションを少しでも減らす配慮をすることで、結果的に速く仕事ができる。
④「届いていない可能性」も念頭に置く
迷惑フォルダーに分類されてしまい、相手が開封していないことも考えられる。時間が迫っているのであれば、電話で確認する。
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