不摂生でも病気にならない人の習慣
2021年08月16日(月)
我慢は万病のもと!
なぜ自律神経の名医は超こってりラーメンを食べ続けても健康なのか?
小林弘幸著
2020年2月4日発行
小学館
840円
医療格差や健康格差の場合、自身の肉体や健康に関する正しい情報や知識を高めることによって、いつでも誰でも、「下流」から「上流」へと駆け上がれる。それが低いままだと、メディア側の興味を煽る巧みな技術によって、誤った、不適当な情報を信じ込み、かえって体調を悪化させることにもなりかねない。自分にとって相応しいか相応しくないか、自分でジャッジできる判断力を身につけるしかない。
自分を律するばかりが健康な生活ではない。「ダメな自分」を受け入れ、それを補う智恵を学んでおくことが重要。
私の専門である「自律神経」や「腸」にとってプラスなことを厳選し、私なりの「許す解決法」を提案している。自律神経が血管をコントロールし、腸内環境が血流を良くする。
1.副交感神経の低下=体力低下
交感神経と副交感神経がバランスのよい状態にあることが、自律神経にとって大切。朝から日中にかけては交感神経が優位に働き、夕方から夜にかけては副交感神経が優位に働く。バランスが崩れると心身に支障をきたす。
「交感神経」は、男女差も、加齢による変化も認められない。ところが、「副交感神経」は、加齢とともに下降するだけではなく、男性は30才過ぎを過ぎた当たりで、女性は40才過ぎた当たりで、ガクッと落ちる。この年齢にさしかかると、体力も急激に低下する。免疫力が高い人は、副交感神経が優位に働いている。
2.効率的なタイムマネジメント
午前中は「外部刺激」をできるだけ排除し、ブレインワークに集中する。そして午後は、雑務とミーティング。
午前中は自律神経のバランスが最も整った時間帯で、ブレインワークがはかどる。ドーパミンが大量に分泌され、記憶や認知作用を司る中枢神経が強化されるため、ブレインワークのポテンシャルが上がる。また、朝はアドレナリンも大量に分泌され、集中力が向上する。自分にとつて、一番大事な仕事から始める。緊急性の低いメールチェックなどの仕事に費やすのは実にもったいない。
どうしても心配なら、必要なものだけ、メールを受け取った旨を伝え、「午後に改めて返信します」とメールする。「忙しい中、丁寧な対応をしている」と評価が上がる。「内容を確認した」「チェックした」という文言を避ける。確認したならその返事を寄越せというのが、相手の心理。
3.朝の目覚めのコップ1杯の水
朝、目が覚めると自然と交感神経が上がっていき、副交感神経は下がっていく。コップ一杯の水を飲むことで寝ている間にオフモードになっていた胃腸が適度に刺激され、自律神経がスムーズにオンモードに切り替わる。それによって腸が蠕動運動を始めるので、腸内環境が良くなり、全身の血流が良くなる。腸管が作った栄養豊かな血液を、約37兆個の細胞に行き渡せる。
科学的介護への挑戦 水分摂取1日1500ml
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4.寝坊しても朝食はとる
朝食をとると、腸が目覚め、動き出す。この動きが、下がりがちな副交感神経の働きをスムーズに上げる。腸が動くと、肝臓、心臓に多くの血液が流れ、頭への血流も良くなり、頭がスッキリする。
朝食を抜くと、時計遺伝子が働かず、自律神経のバランスが乱れる。その状態を引きずったまま1日を過ごしてしまうことになる。一度乱れた自律神経をリカバリーするのは容易なことではない。
5.精神的疲労が溜まったら、運動ではなく食事で解消
腸内には1.5キロもの腸内細菌が棲んでいる。腸内環境が整った腸を調べると、善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割というバランス。「日和見菌」とは、腸の状態によって善にも悪にも転んでしまう菌。例えばストレス、不規則な食事、睡眠不足などによって悪玉菌に転じてしまうと、腸内環境が途端に悪い状態になる。自律神経のバランスも崩れ、仕事のパフォーマンスも落ちる。
「発酵食品」と「食物繊維」が、日和見菌を善玉菌に変え腸内環境を整える。便秘や下痢が改善すると、うつ症状やメンタルヘルスの不調がなくなる場合が多い。
発酵食品は、ヨーグルト、納豆、味噌、醤油、梅干し、ぬか漬けや柴漬けなどの漬け物。食物繊維は人間の消化酵素で消化されにくいので、そのまま排泄される。その際に腸内の様々な老廃物をくっつけながら出てくれるので、腸内がきれいになる。
食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分類される。不溶性食物繊維(バナナ、ゴボウ、こんにゃく、オクラ、枝豆、筍)は、溜まっていた便の水分を吸収し、膨らみ、便を硬くする。便秘中は摂りすぎない方がよい。水溶性食物繊維(海藻、らっきょう)は、水に溶けて便を軟らかくする。
6.食後に眠くなるのを防ぐには?
午前中は交感神経が高いので、そのままの状態で早食い、暴飲暴食、刺激の強いものを食べたりすると、交感神経がさらに高まる。そして食べ物が胃の中で消化され始めると、今度は副交感神経が上がる。この上下が激しいので、自律神経のバランスが崩れてしまう。一定以上に副交感神経に針が振れてしまうと、副交感神経の作用で眠くなる。つまり、自律神経のバランスを崩さないように食べれば眠くなることはない。
眠いと感じたら、無理しないで仮眠をとることは「正解」。仮眠の目安は30分。それ以上は夜の睡眠リズムを崩しかねない。NASA(アメリカ宇宙局)の実験によると、宇宙飛行士に昼間26分間の仮眠をとらせたところ、認知能力が34%、注意力が54%も向上した。
7.食事量を「減らす」のと「食べない」のは異なる
腸内環境を整えるためにも、必ず何かを口にする。
1日に必要な炭水化物の量は、320g、糖質量は170g。ご飯1杯(150g)の糖質量は55gだから、ご飯3杯+α。このうち、糖質の120~150gは脳で消費され、残りは全身に酵素などを運ぶ赤血球や筋肉のエネルギー源として消費される。糖質は、生命を維持するために絶対欠かすことができない栄養素。炭水化物を抜けば、脳の働きが悪くなるだけではなく、肉体にも様々な支障をきたす。
炭水化物を摂取しないと、「グリコーゲン」が不足する。するとグリコーゲンを補おうとして、肝臓に急激な負担がかかる。炭水化物を安易に抜いてはいけない。
夕食の理想は、就寝3時間以上前、できれば夜9時までに「好きなもの」を「ゆっくり食べる」。食べたものが小腸を通り過ぎるまでに必要な時間は、5時間ほど。夕食は、夕方5時以降であれば、早ければ早い程よい。
夜9時以降の夕食は、魚や鶏肉をメインにする。唐揚げやラーメンなどの脂っこい食事を避け、美味しい刺身+和食。食べる順番も大切。コップ1杯の水で腸に刺激を与え、続いて野菜。次にメインのタンパク質を摂る。一番最後にご飯などの炭水化物を少量。
8.ダイエットは、食事を抜かずに「間食」を増やす
食事を抜くことはデメリットだらけ。「腸内環境の悪化」が肥満に結びつく。腸内環境が悪くなると、そこから肝臓へ運ばれる血液も汚いものになる。汚れた血液は肝臓から心臓へ運ばれ、全身に行き渡る。すると脂質代謝が悪化し、内臓脂肪として溜まってしまう。さらに、汚れた血液のせいで、全身の細胞に十分な栄養が行き渡らないので、低栄養素状態になってしまう。すると、疲れやすくなる。
一番痩せる方法は、間食をとること。ちょこちょこ間食すると、常に腸が動き、消化吸収も高まるので、食べてもその栄養素が脂肪になりにくい。
9.お酒1杯に対して、水も1杯飲む
アルコールの分解・解毒のプロセスで、水が消費される。アルコールを摂ればとるほど、脱水が進んでしまう。脱水が進むと、血管が収縮し、血流が悪くなる。末梢の血液不足が起こり、疲労感や倦怠感などの二日酔いの症状となる。
アルコールには興奮作用があるので、飲み過ぎると副交感神経を低下させ、腸の動きが止ってまい逆流し吐き気を催す。水を飲むと、胃結腸反射が起こり、ゆっくり腸が動く。
10.誤ったストレッチは逆に怪我を招く
日頃やっているストレッチは、屈筋と伸筋のどちらか一方を「伸ばす」ものばかり。伸びてしまった筋肉は、柔軟性が損なわれ、可動域も狭まるので、動きが悪くなる。筋肉が収縮するためには、十分な血液が必要。血流を調節しているのは自律神経。このことが、筋肉におくられる血流のアンバランスを招き、その結果、屈筋と伸筋のバランスが崩れ、転倒や肉離れなどの怪我に繋がっている。
11.朝の急な運動は怪我しやすい
デスクワークで長時間座っていると、筋肉が硬直し血流が悪くなっている。軽い運動をすれば、血流がよくなり、疲労感を解消できる。激しい運動は逆効果。
朝は、どうしても筋肉が固まっているので、急な運動は怪我しやすい。朝練が怪我に繋がりやすいことが分かってきたこともあり、避ける傾向にある。
夜の適度なウォーキングは全身の末梢血管の血流を良くするので、頸の痛みや肩こり解消に効果がある。夜ならば、朝のような怪我のリスクがない。
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