介護人材のいまー現状と課題ー
2019年01月30日(水)
29日(火)保険医協会 会議室にて森山治氏(金沢大学人間社会学域地域創造学類 教授)による役員勉強会、テーマは「介護人材のいまー現状と課題ー」。外国人も同じ教育を受け、同じ資格を得ることが重要。低賃金労働者を受け入れれば、人手不足にいっそう拍車がかかる。また、フィンランドのように、研修中の生活補償費や、家族の教育や生活費までも考えないといけないかもしれない。
第5回 地元若手研究者との役員勉強会
日時:1月29日(火)午後7時30分~8時45分ごろ
場所:保険医協会 会議室
講師:森山治氏(金沢大学人間社会学域地域創造学類 教授)
司会:大川副会長
参考に
第1回 棟居徳子氏(金沢大学人間社会研究域法学系准教授)
kojima-dental-office.net/blog/20141104-4592#more-4592
第2回 曽我千春氏(金沢星稜大学経済学部教授)
kojima-dental-office.net/blog/20151124-4589
第3回 石田道彦氏(金沢大学人間社会学域法学類教授)
kojima-dental-office.net/blog/20161018-4585#more-4585
第4回 高橋涼子氏(金沢大学地域創造学類教授)
kojima-dental-office.net/blog/20170718-7564#more-7564
メモ
1.21世紀の介護問題
・介護の長期化・重症化→介護の担い手の役割が重要
・東アジアの高齢化、特に中国(若者2 親4 祖父母8)
・しぶしぶ同居(上野千鶴子が表現)階層の介護に問題が起きる
別居するほど経済的余裕はないが、遺棄するほどの困窮ではない
・中間労働市場 一般と障害福祉の間の労働者、低賃金
2.介護職に求められているもの
・コミュニケーションを媒介とした信頼関係の構築を行う対人援助職
・昔の措置時代には、信頼関係を築いた上で重要な役割を担っていた
・介護保険という制度変更後、業務が縮小し、指示通りに働く存在になった
・介護ロボットは、人間に取って代わるわけではなく、
福祉用具のようにアシストする位置づけ
3.日本、韓国、フィンランドを対象とした介護の担い手について比較研究
なぜこの三か国なのか、共通すること、アイデアをもらえるかも
①高齢化率が高く、高齢化の速度が速い
・フィンランドは、人口約550万人と少なく、65歳以上が20.5%
・韓国は、人口約5000万人、
日本を上回るスピードで高齢化、2060年には37%
②本国以外では使用されない母語(ローカル言語)を使用している
・外国人労働者の導入に不利
・日本では、外国人教育は標準語→現場の方言や風習に悩む
丁寧語、尊敬語、謙譲語の使い分け
略語、専門用語
③介護従事者に対する資格制度(介護福祉士、療養保護士、ラヒホイタヤ)がある
a.韓国の療養保護士
・学歴要件がないが、中卒では国家試験に受かりにくい
・240時間の教育(国家試験)
・家族でも収入になる制度がある
b.フィンランドのラヒホイタヤ
・中卒レベルの社会・保健医療共通基礎資格
・10種類の資格
保健医療部門資格(准看護師、精神障害看護助手、歯科助手、保育士
ペディケア士、リハビリ助手、救急救命士・救急運転手)
社会ケア部門資格(知的障害福祉士、ホームヘルパー、日中保育士)
・資格がレベルアップできる
・3年間(中卒相当)及び2年間(高卒相当)の教育課程
・外国人も同じ教育を受ける→低賃金にはならない
4.日本の外国人介護労働者をどうとらえるか
①日本における外国人介護労働者の受け入れ制度
a.日本で教育を受けた外国籍の介護福祉士
・一緒に教育、同一労働、同一賃金
・留学生の授業料、生活費の一定保障が不可欠(かなり厳しい)
b.経済連携協定
・母国で教育されたフィリピン、インドネシア、ベトナム人を
経済協力EPAとして受け入れる
・ベトナム人は日本語レベルN3を受け入れ基準としているので、支障が少ない
・完成された人材の活用であり、発展途上国からの人的搾取になりかねない
参考に
N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
(文系大学院で求められる語学能力)
N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、
より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
(ベトナム人EPA候補受け入れ基準)
N4 基本的な日本語を理解することができる。
N5 基本的な日本語をある程度理解することができる。
c.外国人技能実習制度
・介護の質を高めるものではなく低賃金を招きやすく、より一層人手不足に
・人権や国際問題になりかねない
②介護利用者のグローバル化
・様々な言語や多様な文化的背景をもつ高齢者も増加し、
それらに対応する外国人介護人材も必要となる
5.フィンランドから学ぶもの
①移民者に対する教育訓練
a.個別化された準備教育と生活保障
・ヴァルヴィラ(資格審査期間)によって、
準備教育を受ける必要があるか個別審査、個人差有り
言語教育(約1年)、一般教養教育(6ヶ月~1年)
分野別教育(3~6ヶ月程度)
職業訓練校にはいるための補習教育(自由意思1年)
・この間の生活補償費として社会手当(700ユーロ)が支払われる
・家族も移民者であれば、教育の保障と社会手当が支給される
b.フィンランド人と同じ教育システム
・同じ資格を得ることから同一賃金が守られる
(移民労働=低賃金労働ではない)
c.職業訓練学校
・見習い制度 正職員給与の90%を保障
・移民クラス(207日間)フィンランドに馴染むための4段階の教育
言語(フィンランド語の習得)
フィンランド社会について学習
社会人としての基礎知識の習得
職業教育(研修を含む)
d.フィンランド社会に定住(職を得、国籍を得る)するためには
・一定水準以上の語学を取得することが必須条件
・職業によって言語獲得レベルが違う
②親族介護制度
・家族介護者を労働者とみなし、給付がある
・家族で対応困難になれば、施設へ
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