のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

体温を上げると健康になる

2010年01月10日(日)


斉藤真嗣著
サンマーク出版
1400円
2009年3月25日発行

 「低体温」がなぜ起きるのでしょうか、そして低体温だとなぜ病気を招いてしまうのでしょうか、最新の医学知識を盛り込みながら説明すると共に、低体温を改善し、健康な体を手に入れるための、最も効果的な方法を述べたものです。
 自分の平熱を知っていますか。

1.平熱
 健康な人の平熱は、36.5度~37.1度の間です。だるさやつらさなど病的な自覚症状がなければ、37度は微熱ではなく、健康な体温なのです。しかし、平熱が36度以下という「低体温」の人が増えています。体温が1度下がると免疫力は30%低下し、逆に体温が1度上がると免疫力は500~600%もアップします。

2.「低体温」の原因は「ストレス」
 体には「ストレス」に対処する2つの機能があります。それは、自律神経のバランスとホルモンバランスです。自律神経のバランスが、ばい菌やウイルスなど体の外側から侵入してきたストレスから体を守る免疫系システムを司っているのに対し、もう1つの機能、ホルモンバランスは、体を構成している細胞が受けたダメージ、つまり体の内側で生じるストレスに対して働きます。
 自律神経のバランスが崩れますと、血液の流れが悪くなり、血液障害から低体温になります。同様にホルモンバランスが崩れますと、細胞の回復が遅くなり、細胞自体のエネルギーが低下しますので、やはり低体温になります。

3.自律神経のバランス
 人間の体は、交感神経と副交感神経という2つの自律神経が交互に支配することでバランスを取っています。意識的にコントロールできない体の様々な働きをコントロールしているのが自律神経です。交感神経が体を支配しますと、血管が収縮して血圧が上昇し、気道が拡張して心拍は早くなります。そしてその一方で、胃や腸などの消化器系の働きは抑制されます。つまり、脳や筋肉をアクティブに活動させるのに適した状態になるのです。副交感神経が体を支配しますと、ちょうどこれと逆の状態になります。
 日内リズムに即して活動すべき時間にきちんと活動し、休むべき時間にきちんと休み、それぞれの自律神経をバランス良く刺激することです。これに反した生活をすることがストレスになり、自律神経のバランスを崩し、病気をつくりだしてしまっているのです。

4.体調がすぐれない時は体を温めることが大切
 風邪をひいた時に発熱するのも、体温を上げて免疫力を高めようとする、体の防衛反応です。風邪気味ぐらいで薬を飲むのは、かえってよくないので絶対に止めてください。一般的な風邪薬というのは、副交感神経の働きを抑え、交感神経を刺激するものなのです。そのため、働き過ぎで疲れている人が風邪薬を飲みますと、ただでさえあまりよくない血行がさらに悪くなり、低体温を招いて、免疫力が低下してしまう危険性があります。
 熱に弱い人や普段から低体温の人は、37度でも熱っぽいだるさや発熱のつらさを感じることがあるので解熱剤を服用してしまうことがあります。その熱は体が免疫力を高めてウイルスと闘うために必要な熱です。それを解熱剤で下げるということは、免疫システムの足を引っ張る裏切り行為であり、まさに本末転倒な行為なのです。
 高齢者など体力のない方の場合は、38度2分ぐらいで解熱剤を必要とする場合もありますが、その時には解熱剤としては最も体に負担のかからないアセトアミノフェン系の薬を、その人の状態を見ながら微妙に調整し、体温が37度台後半を維持するよう細心の注意を払って投与します。

5.「原始細胞生命体」と「ミトコンドリア生命体」の合体
 地球に初めて誕生した原始細胞生命体は「嫌気性代謝」といって酸素を必要としない方法でエネルギーを獲得します。その後、酸素を使ったエネルギー代謝「好気性代謝」を行う「ミトコンドリア生命体」が現れます。そして、わたしたちは、この「原始細胞生命体」と「ミトコンドリア生命体」が20億年ほど前に合体することで生まれた第三の生命体の子孫なのです。精子が嫌気性代謝を行う「原始細胞生命体」、卵子が好気性代謝を行う「ミトコンドリア生命体」です。
 私たちの体を構成している細胞も嫌気性代謝と好気性代謝、両方のエネルギー獲得サイクルを持っています。例えば、ウォーキングのような軽い運動を有酸素運動といいますが、このとき使われるエネルギーは、酸素を使ったエネルギー代謝によって造られるものです。激しい運動をする時には、好気性代謝ではエネルギーの供給が間に合わなくなりますので、体は嫌気性代謝によってエネルギーを造るように切り替わります。激しい運動の時、息を止めているにもかかわらず、大きなエネルギーが出るのはこのためです。

6.男性ホルモンとメタボリック・シンドローム
 同じ食べ過ぎと運動不足の状態でも、若い人は内臓脂肪ではなく皮下脂肪として蓄えられるため、肥満になってもメタボリック・シンドロームになる人はあまり多くありません。
男性ホルモン「テストステロン」が低下しますと、同じ脂肪の蓄積でも、皮下脂肪ではなく、内臓脂肪として蓄えられやすくなります。同じ中高年でも、男性のほうが女性よりメタボリック・シンドロームのリスクが4倍も高くなってしまうのです。

7.体温を恒常的に上げる最もよい方法は、「筋肉を鍛える」こと
 運動には、大きく分けて「有酸素運動」と「無酸素運動」の2つがあります。
有酸素運動は、ジョギングやウォーキングなど、比較的低い負荷で長時間続けられる運動です。運動のエネルギー源として「糖」と「脂肪」の両方が消費されます。無酸素運動は、ウエイトリフティングや短距離走など、息を止めて短時間に強い力を発揮する運動です。エネルギー源は糖だけで脂肪は使われません。ですから、いくら頑張ってトレーニングしても体脂肪の減少には繋がりません。
 しかし、1日に消費しているエネルギーの約70%は基礎代謝です。ということは、運動で消費されるのは、多く見積もってても全体の30%です。ここに、運動だけでなかなかやせない理由があります。
 30分間ウォーキングした場合、脂肪が燃焼されるのは、8グラムです。この運動を3日に1度、1年間続けますと、約1キログラムの内臓脂肪を消費することができます。そして、有酸素運動だけでは15~25分ぐらい運動し続けないと脂肪燃焼が始まらないのが、事前に無酸素運動を行いますと、有酸素運動を始めてから僅か5分から10分程度で脂肪燃焼の段階に入ることができるということです。この分解を早める秘策は「成長ホルモン」を出すことです。無酸素運動を有酸素運動の前に行った場合は、有酸素運動の時間と回数は同じでも、1年間でなんと約3.5倍、3.5キログラムの脂肪が消費されます。

8.筋トレは3日に1度、毎日するのは逆効果
 ある程度の負荷が加わりますと、筋肉は損傷します。すると、傷ついた筋肉細胞に修復機能が働くのですが、このとき再び傷つかないように、前より太い筋肉になるように修復されるという性質があるのです。つまり、筋肉が鍛えられるためには、トレーニングによる損傷と、それを修復するという2つの行程を経ることが必要だということです。理想的な筋肉トレーニングは3日に1回程度です。

9.運動するとなぜ骨は丈夫になるのでしょうか
 運動によって骨に弱いマイナスの電気が発生し、それによってカルシウムが骨に呼び寄せられるからです。また、運動すると血行がよくなると共に体温が上がります。すると骨を造る細胞の働きがよくなりますので、さらに骨密度の高い丈夫な骨が造られやすくなります。
 食事に含まれるカルシウムが腸から吸収され、血液に取り込まれるためには、「活性化されたビタミンD」が必要です。さらに活性化ビタミンDは、血中カルシウムが骨に定着するのにも必要になります。
 ビタミンDは食事やサプリメントで摂ることができますが、それらはすべて不活性なビタミンDです。活性化に必要不可欠なのが「紫外線」なのです。つまり、いくらカルシウムの豊富な食事をしても、陽に当たらなければビタミンDが活性化しませんので、せっかくのカルシウムの豊富な食事をしても骨は丈夫にならないということです。
 成長期の子どもは、できるだけ屋外で元気に遊ばせることが、健康な体をつくるためにとても大切です。女性も成長期の子どもと同じくらい、充分な紫外線が必要です。いくらカルシウムを摂っても、ジムなど室内だけでトレーニングをしていたのでは骨は丈夫になりません。

10.リバウンド
 食事制限をした時、真っ先に減るのは脂肪ではなく、筋肉と水分なのです。カロリーを押さえるダイエットで最も怖いのは、やせる時は筋肉が落ち、リバウンドする時は、その分が「脂肪」として増えてしまうということです。多くの人は「元に戻ってしまった」といいますが、体の中は劇的な変化が起きています。最初に減った3キロは筋肉ですが、リバウンドで増えた3キロは脂肪だからです。リバウンドを繰り返しますと、どんどんやせにくくなっていきますが、それはどんどん筋肉が減っていくからなのです。

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