ドクターハラスメント
2009年06月14日(日)
許せない! 患者を傷つける医者のひと言
キャンサーフリートピア代表 土屋繁裕著
扶桑社
2002年9月30日発行
1400円
ドクターハラスメントとは、医者という権威を傘にきた「言葉の暴力」、患者さんの弱みにつけ込んだ、実に残忍かつ、卑怯な言葉、そう脅迫である。日常生活であれば対人関係を切ってしまうが、医者と患者の間では、患者さんは、一方的に心の深いところで傷つき、治った後でも時々思い出しては腹を立てている。また、患者さんは、病気や治療に対する不安や恐怖を常に抱いている。そのため刺激に敏感で、感情のセンシティヴィティが高くなり、非常に傷つきやすい状態になっている。我々医者が、何気ない言葉でも患者さんが傷つくことがあることを自覚していなければならない。医者本人がドクハラであることに気づいていないことが多いのが問題である。そして、医療スタッフも一言一言よく考えながら話すように注意しなければならないと感じた。
様々な実例を挙げて、その実態と背景について考えている。
ドクターハラスメント11の実例
ドクハラの例1 医者のエゴによる無神経な発言
「この抗がん剤は、あなたにとって最後の手段です。我々にとって、放射線治療を受けてしまったあなたは、治験の対象としては、不適切で、欲しいサンプルではありません」
ドクハラの例2 医師の立場を傘にきた脅し
何度も点滴を失敗する当直医に「先生、この辺の血管に点滴してくれませんか」と、自分から入りやすい場所を教えると、その当直医は「うるさいな。舌に点滴してやろうか」と吐き捨てた。
ドクハラの例3 前の担当医の治療法を非難する
「こんなことやっても意味ないのに」
ドクハラの例4 患者の知る権利を無視する
「手術のことなど、知る必要などない」
ドクハラの例5 治療法を誘導し、病院から逃さない
「手術をお勧めします。既に十日後の手術の予約を取ってあります」
ドクハラの例6 デッドラインを一方的に決め、
患者さんに考える時間を与えず、焦らせる
「急いで手術しないと治らないよ」
ドクハラの例7 一方的で無神経な余命宣告
「何もしないと、あなたの寿命は半年くらいでしょう」
ドクハラの例 8 ネガティブな心象を与えかねない発言
「私はガンと闘っていく患者さんと、地獄の底までつきあいます」
ドクハラの例9 患者さんの希望を失わせる、または患者さんを突き放すドクハラ
「これ以上何も出来ないから、もう来なくてもいい」
ドクハラの例 10 患者さんの選択を責める
「どうしてこんな治療を受けたのですか」
ドクハラの例 11 メールやFAXに潜む一見分かりにくいドクハラ
①現在、ガン性腹膜炎の可能性は?→「その可能性は高いと思われます」
②もしそうだとしたら、その治療法はあるのか?→「残念ながら、根治的な治療法は今のところありません」
ガン治療の問題点
1.ガン診断学の常識は「疑わしきは罰する」
ガンの患者さんをガンじゃないと誤診して、助かる人を死なせるよりも、ガンじゃない患者さんをガンと誤診して、治療されてしまっても仕方ない、という論理なのである。
病院側や主治医にしても、「ガンじゃなかった」といって、ガン再発の恐怖から患者を救ってあげたいが、誤診の事実を告知すれば、訴訟になってしまうかもしれない。病院や医者の勇気と、そんな医者を支える法律が、そんな悲劇にあった患者さんの心を救うためには必要なのではないだろうか。
2.考える余裕を与えない
入院したまま、結果を説明し治療法を押しつけるのは、卑怯な手口である。考える余裕を与えないことが目的のようにも考えられる。断定的な言い方をする医者は要注意である。
検査をゆっくりやっておいて、いざガンと分かると、急がせる。決断を急がせる医者や病院は、それだけで要注意である。決断のタイムリミットを決める権限は、医者や病院ではなく、患者さん自身にのみある。
治療法は手術以外にない、と勝手に決めつけ、他の治療法を説明したり、相談に乗ったりする手間暇を省いている。電話をかけてきて、治療の説明をするような医者は、全くの論外である。
3.メンタルケアの中心は納得である
納得こそが、気力や体力、総合的な快復力に力を与える。納得して、希望を持って闘病することが、心の元気の基礎だと分かった。
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