のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

歯周病患者を見捨てろと言う厚労省

2006年05月15日(月)


それでも歯科医は患者を守りたい
 歯周病は重症な患者ほど定期検診が重要であり、患者の歯を守るには継続が大切である。4年前の保険改正で歯周治療の体系が曲がりなりにも確立された。にもかかわらず、今回の保険改正により、歯周治療の定期検診が最長2年間しか認められなくなった。これでは、患者自身が健康を守ろうとする意識に逆行するものであり、医療費削減からも遠のいてしまう。
 そして、今までメインテナンス中は歯周病のみに対して管理していたものを、予見し得ない歯牙の破折など口腔全体の管理まで、周知期間もなく一機に範囲を拡大したことは、どう考えても納得いくものではない。何を考えているのだろうか。糖尿病の管理をしているから、風邪薬も包括したのと同じである。期間中は、予測のつかない虫歯治療や入れ歯を作ることも歯科医院の負担になり、歯科医師が安心して取り組めない制度となった。メンテナンスに入る前に疑わしくは抜歯せよと、また、他医の治療を信ずることなく、被せものをはずし再治療をしてくれと言わんばかりである。
 また、患者に対し指導した情報をその都度、文書で渡すことが義務化された。私たち歯科医師は、これほど多量の文書提供を行うことに困惑を感じている。インフォームドコンセントとは、「文書を出すことに時間をかけるのではなく、不安や悩みを十分聞き、少しでも安心してもらうことだ」と考えている。
 定期検診を考えない歯周病治療に未来はなく、歯周病患者を見捨てられない歯科医師は暗い毎日を悶々としている。このような新しい制度の是非を、患者とともに考え、根本的な歯周病治療体系の改善を願う。そして、今後も歯科医師本来の仕事として歯周治療を続け、お口の健康を応援していきたいと思う。

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