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周術期における口腔機能管理を推進するのであれば

2021年06月30日(水)


 歯周疾患のため定期的に通院している患者さんが、医科大からの依頼により周術期管理もすることになった。周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)(手術前)280点を算定すると、それまで算定していた歯科疾患管理料100点と長期管理加算(か強診)120点、歯周病安定期治療(Ⅱ)(か強診)830点も算定できなくなる。次月には周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)(手術後)190点の算定となり、さらに減点となる。また、依頼されている入院前日や退院後に診療室で行う周術期等専門的口腔衛生処置92点も算定できないことになっている。
 2012年の改定時に、外科手術後などに術後性肺炎などの合併症等を軽減する目的で周術期口腔機能管理計画策定料、周術期口腔機能管理料Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、周術期等専門的口腔衛生処置が新設された。診療所では、管理料Ⅰ(手術を伴う患者)とⅢ(放射線治療・化学療法を行う患者)が周術期の口腔機能管理として評価された。周術期等専門的口腔衛生処置は、入院中が算定要件とされ、診療室では算定できない。対象患者は、全身麻酔を行う頭頸部領域、消化器領域などのがんの手術、臓器移植手術または心臓血管外科手術などを行う患者、放射線治療・化学療法を行う患者とされた。2014年の改定時に骨髄移植手術が追加となり、2018年には対象となる手術の例示が示され、2020年には全身麻酔下でない手術も対象になった。
 しかし、周術期等口腔機能管理料を算定すると、歯科疾患管理料やその加算(エナメル質初期う蝕管理加算や総合医療管理加算、長期管理加算)、それを条件とする歯周病安定期治療Ⅰ・Ⅱや歯科治療時医療管理料、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料などが算定できなくなる矛盾は、もう10年も継続している。
 周術期管理を推進するのであれば、周術期等口腔機能管理料と歯科疾患管理料を併算定できるようにするか、歯科疾患管理料の加算等を独立させることである。また、周術期等専門的口腔衛生処置も入院先への訪問診療だけではなく診療室でも算定できるようにすることである。

 保団連北信越ブロックとしての厚労省交渉 2021
kojima-dental-office.net/20210611-5852

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