スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン
2011年06月07日(火)
人々を惹きつける18の法則
カーマイン・ガロ著
井口 耕二訳
日経BP社
2010年7月20日発行
1800円
ジョブズのプレゼンテーションを3幕、18シーンに分けて分析し、聴衆を魅了するテクニックの数々を明らかにしている。コミュニケーターとしてのアップルCEOジョブズを紹介する本である。そして、本書を活用すれば、彼と同じように聞き手の心を動かし、また聞きたいと思われる話ができるようになれる。しかし、何事も努力である。ジョブズもあのような能力を持って生まれてきたわけではない。
第1幕 ストーリーを作る
シーン1 計画はアナログでまとめる
大事なのは、デジタルの前にアナログで考える時間を持つこと。筋書きの絵コンテを作る。聞き手に訴えるのはストーリーであり、スライドではない。筋書きにヘッドライン、メタファー、アナロジー、デモ、動画を組み込む。
ヘッドラインは70文字以下で何が何をどうするという文にまとめよう。
メタファーとは、本来は別のものを表す言葉で何かを表現し、両者を比較するもの。
アナロジーとは、異なる二つを比較することにより、その類似性を際だたせる手法。
実際にデモを見てみる、触れてみる、体験してみると、観衆は喜ぶ。
動画は強い力で観衆を引き込めるが、長すぎれば逆効果にもなる。2分~3分に留める。
シーン2 一番大事な問いに答える
対象が自分ではなく、聴衆であること。製品ではなく、夢を売ろう。「どのように」の前に「なぜ」を説明する。
シーン3 救世主的な目的意識を持つ
すべては情熱から始まる。情熱がなければ、テクニックなど何の役にも立たない。仕事は大嫌いでも大儲けは可能だが、聴衆に感銘を与えられるコミュニケーターには絶対になれない。
シーン4 ツイッターのようなヘッドラインを作る
簡潔(12文字)、具体的、利用者にとってのメリット。
シーン5 ロードマップを描く
必ず3点か4点にまとめてポイントを紹介した後に、最初のポイントから順番に詳しく説明し、最後にそれぞれのポイントをまとめる。
シーン6 敵役を導入する
みんなが感じている問題(敵役)を登場させると、聴衆は主人公を応援したくなる。問題提起なしに解決策を提示しても意味がない。カップを用意せずにコーヒーはいかがかって言われてもねぇ。
シーン7 正義の味方を登場させる
ヒーローは、悪役をやっつける必要はなく、ただ、暮らしやすくしてくれればいい。
第2幕 体験を検討する
シーン8 禅の心で伝える
シンプルを追求した結果、個性が生まれる。情報を話して聞かせただけだと、72時間後、人はその10%しか記憶していない。これに絵を加えると、65%が記憶に残る。スクリーンに箇条書きを示すというのは、「これをメモしろ、今、集中して聞く必要がないから」と言っているようなものだ。
シーン 9 数字をドレスアップする
みんながよく知っているものと関連づけ、数字に意味を持たせる。
シーン10 「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う
シンプル 仲間内だけで通じる言葉ではなく、簡単な単語
具体的 なになにのようなもの みんながよく知っているものと比較する
感情的 写実的な形容詞が使われる
シーン11 ステージを共有する
自分の判断は間違っていないという気にさせてくれる。
シーン12 小道具を上手に使う
素晴らしいデモの共通点 短い、シンプル、魅力的、軽快、実質的
多くの人が楽しんでくれることがうれしくて堪らない
シーン13 「うっそー!」な瞬間を演出する
感動の瞬間に向けた筋書きを作る。爆弾投下はよく練習しておくこと。
第3幕 仕上げと練習
シーン14 存在感の出し方を身につける
ビデオで自分の姿を見るのが一番である。
アイコンタクト、開いた姿勢、手をよく使う。
声の高さや大きさと間に変化を付ける。
姿勢が開いているというのは、自分と聴衆との間に何もないことを意味する。
シーン15 簡単そうに見せる
練習で練り上げなければ「自然」にならないことをよく知っている。
1日何時間もの練習を何日もする。
5分間のデモに数百時間の準備である。
スライドにも膨大な時間を投入している。
シーン16 目的にあった服装をする
リーダーたるもの、他の人よりも少しだけよい服を着る。
シーン17 台本を捨てる
自然にしゃべるために
1.パワーポイントの「ノート」にしゃべる内容を文章で書く
2.キーワードを意識してプレゼンテーションの練習する
3.キーワードだけを残して台本を削除する。
シーン18 楽しむ
自分が楽しむことを一番の目的としている
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