のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

ウイルス その生態と進化

2020年10月09日(金)


ウイルス その生態と進化福見秀雄著
ダイヤモンド社
850円
1973年6月28日発行
 40年近く前の本である。ウイルスの生活をウイルスの側に立って眺め、ウイルスの生存を中心に考える。ウイルスが生き、そして存続していくためには、感染する生物との間で感染環が形成されなければならない。ウイルス生態学は感染環の構造を分析し、それが成立する条件を研究することである。
 ウイルスを生物と呼ぶべきかどうかについて議論もあった。しかしそれをどう呼ぼうと、ウイルスを中心としたその現象が生物現象があることは間違いない。
 ウイルスは、エネルギーを獲得し、あるいは必要な物質を合成し、成長・増殖するための酵素を持っていない。ウイルスが増殖するためには、細胞の中に入らなければならない。決まった種類の生物の中に入り、自分の好む細胞に行きつくとその中に侵入してそこで増殖する。
 ウイルス粒子がその細胞の中にはいると、ウイルス粒子は解体し、その中に包み込まれていた核酸が遊離する。その細胞の中には、ウイルス核酸とその細胞本来の核酸とが共存することになり、両核酸の支配下で既存の酵素が働き、あるいは新しい酵素が作られ、そして新しい核酸、新しい蛋白質が作り出され、その結果として新しいウイルス粒子が作られてゆく。

 ウイルス学エピソード (神奈川県衛生研究所より) 2020年4月22日掲載
www.eiken.pref.kanagawa.jp/002_kensa/02_kensa_main.htm#virology
 福岡伸一著「生物と無生物のあいだ」 2007年5月20日発行
kojima-dental-office.net/blog/20200914-14306

A.感染環と終末感染
 生物が種族維持のために生活環を作るように、ウイルスも特有の感染環、細胞の中で成長・増殖し、次々と新しい感染を繰り返せる環境を作る。感染を受けても顕著な症状を起こすことのない不顕性感染は感染環の維持には非常に役立つ。
 昆虫媒介による吸血感染であれば、ウイルスと蚊と宿主の3つの要因がマッチしなければならない。ウイルス感染を起す生物と媒介する昆虫との活動の条件が一致してすること。 狂犬病ウイルスの感染を受けた犬に噛まれると、人もまた狂犬病に感染する。しかし感染を受けた人から次の人あるいは動物へ拡大することはない。感染環を作れない、感染を伝播しない終末感染である。

B.流行と集団免疫、感染の非常在地と常在地、闘争と共存の関係
 伝染病、感染症は、その常在地においては社会を荒廃させるような激烈な流行を起こさない。あちらこちらにぽつんぽつんと感染が起き、所々に免疫が残っている。社会の中で免疫を持った個体があるパーセントいると、病気の流行拡大は困難である。ウイルスは感受性のある個体を探しながら感染を繋いでゆく。免疫のある母親から生まれた子供でも、免疫体は半年もすれば完全になくなり、感受性の個体になってしまう。そのような感受性個体の補給によってウイルスの感染環が維持されていく。ウイルスと社会の間に平衡が保たれている。
 これに対し非常在地では、流行は急速に拡大伝播する。感染宿主は免疫となり、激しいほど集団免疫が強固にできる。その流行の激烈さゆえに感受性個体はすぐに消耗してしまい、ウイルスの生存、感染環の維持は難しく、やがてウイルスは消滅してしまう。

C.潜伏感染
 ウイルスはその生存の手段として、社会の中での感染の常在化を狙って、その感染の在り方を宿主とウイルスとの闘争という形から、平衡へと移し、相互の共存の可能性へと進んだ。天然痘、ポリオ。
 次に平衡という共存条件を確立した、潜伏感染。単純疱疹、水痘・帯状疱疹。
潜伏感染は、ウイルスと宿主との闘争から共存への第一歩を踏み出した一つの生活条件の新展開である。
 感染を起こした後には宿主体内には免疫体が産生される。それは血液と共に体内を環流し身体の隅々まで巡回して外的に対して警戒の任務に就く。その中にあってウイルスが生存する条件を見つけることは難しい。免疫体は核酸を取り巻く蛋白質に作用し、その働きを阻止する。そこでウイルスは、免疫体が作用しない司令部だけ(蛋白質のない核酸)を細胞の中にとどめる。それが潜伏感染の状態と考える。

各論
1.アルボウイルス
 節足動物によって媒介されるウイルスという意味。だいたい200種。蚊あるいはダニが中心。核酸としてRNAを持っている。種々の症状が感染によって引き起こされる。
  高熱を出す病気を起こす(デング熱、西ナイル熱)
  脳炎を引き起こす(東および西馬脳炎、セントルイス脳炎、日本脳炎など)
  肝腎等の内臓を強く犯す(黄熱ウイルス)
  関節を犯す(オニヨンニヨンウイルス)等
 一般に蚊族では雌が吸血する。吸血相手に好き嫌いがある。一定量以上の血液を吸血しないと体内の卵が成熟しない。ウイルスを含んだ血液は口吻を通って消化管にはいる。中腸に達するとその腸壁の細胞の中に入り、そこで増殖する。全身に広がったウイルスのあるものは唾液腺の中にも入り、その細胞の中で増殖する。その唾液の排泄管を通って次の動物の血管の中に注入される。
 外界の気温がある温度以上に達しないときはこの感染環は運行しない。温帯地方では冬の間は蚊は棲息しない、ごくわずかなものだけが生き残って越冬状態に入って冬を越す。

 ①黄熱ウイルス
 黄熱は恐ろしい病気である。黄熱ウイルスの感染によって起こる。黄疸と出血を起こし、かなりのものが死に追い込まれる。出血が胃の中に起こり、黒ずんだ血を嘔吐する。
 コロンブスがアメリカ大陸を発見(1492年)する少し前、1480~84年頃に“血を吐く”という病気がマヤ帝国に流行し、崩壊する。
 ・都市黄熱
 ヨーロッパ・アメリカの白人たちの間に、この病気が登場するのは17世紀に入ってから。1648~1893年中南米から北アメリカの港町に流行を引き起こした。スペインでは1649年に最初の流行が起きた。他のヨーロッパでは、西インド諸島、北米合衆国からの持ち込み、あるいはスペインの港町からの拡大。
 1900年にウォールター・リード博士を中心としたアメリカの黄熱研究委員会はキューバの黄熱流行地に出向き、詳細な研究と調査。黄熱の病原体がウイルスであること、そのウイルスが患者の血液中に出現すること、ネッタイシマカがこれを吸血してそのウイルスの伝播を媒介することを明らかにした。
 都市において黄熱を媒介伝播するのはネッタイシマカである。アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ大陸の熱帯、亜熱帯の港々で強力なネッタイシマカ撲滅運動が展開された。都市黄熱はほとんどその発生が止まった。
 ネッタイシマカの原産地はアフリカ。熱帯性の昆虫。熱帯、亜熱帯では常在できる。温帯の冬の寒さには耐えがたいが、人家あるいはその周辺の環境、都会生活に適応できる性質を持っている。
 ・森林黄熱
 ネッタイシマカの棲息しない南米の森林地帯で人が黄熱に罹患することが判明した。南米大陸のあちこちで森林黄熱は常在地を作り、ときには感染環が拡大して周辺に流行を広げたりしながら存続していた。森林黄熱の主役は、人ではなく猿の類である。人間はその動物の流行のとばっちりである。
 ②セントルイス脳炎
 ウイルスは、蚊族を媒介体として鳥禽類の間で感染環をつくる。鳥禽類は、感染しても症状は不顕性。それが人、馬等に飛び火し、何パーセントかのものは発熱、脳炎等を起こす。重篤な症状を起こすけれども感染そのものは次に伝播しない。終末感染である。蚊が吸血しても、蚊の体内に入って増殖しうるほどのウイルス量が人あるいは馬の血液中を循環しない。日本脳炎ウイルスにおいても同じ。
 鳥禽類の寿命はその種類によって変化する。流行期を1回経過すると何パーセントかはその感染を受け免疫となる。年齢を重ねるごとに感受性のある鳥の割合は減少する。免疫になったものの割合が増える。雛鳥は母体から受け渡された免疫体によって保護されるが、やがてそれがなくなると感受性の個体となる。アルボウイルスにとっては最も好適の感染の宿主となる。鳥の巣が感染環の一つ焦点になる。

 ③日本脳炎ウイルス
 日本脳炎ウイルスは東南アジアの熱帯地域には常在的に消長出没し、台湾、朝鮮、日本、中国大陸等においては、季節的変動とその時の特殊な環境条件に応じて大なり小なりの流行を繰り返している。
 1930年頃からわが国の特に西部、中国・四国・九州において脳炎の流行が記録されている。日本脳炎ウイルスが発見され命名されたのは1934年の岡山県の流行においてである。そのころから瀬戸内沿岸地域で毎年夏になると繰り返された。やがてそれが蚊族によって媒介伝播される病気であることが分かってきた。アルボウイルスB群。
 わが国における日本脳炎ウイルスの活躍期は大体6月の終わりか7月頃に始まり、9月には衰え10月に活動が止まる。ウイルスの活動期にコガタアカイエカを媒介蚊として、感染環を形成するのは仔豚だけである。仔豚は感染が起こっていたとしても、ほとんど平常と変わることなく成長を続けてゆく。人あるいは馬はその感染環の増幅作用で産生された有毒蚊の刺咬によって飛び火的に感染を受けるが、終末感染である。

2.狂犬病
 わが国では太平洋戦争頃に、犬の間に狂犬病が発見されるようになった。それより前にはなかった。感染した犬は狂犬病ウイルスが傷口から体内に侵入し、局所の神経の中に入り、中枢神経系に到達する。脳、脊髄炎が起こり、痙攣、麻痺その他の神経症状を起こす原因となる。感染はさらに拡大して唾液腺に至る。そこで増殖したウイルスは唾液の中に排泄される。
 狂犬病ウイルスの最初の感染環は吸血蝙蝠の間で作っていた。昆虫補食性の蝙蝠は哺乳動物に対してはあまり攻撃的ではなかったが、狂犬病ウイルスの感染を受けると、異常な行動をとるようになる。動物を襲って咬傷を加え、種々の肉食性の動物に感染環が移行する。さらに犬に感染環が拡がった。狂犬病に感染した犬は刺激性が強く、敏感になり、人を攻撃するようになる。
 狂犬病ウイルスの感染を受けた犬に噛まれると、人もまた狂犬病に感染する。しかし感染を受けた人から次の人あるいは動物へ拡大することはない。人や家畜(牛や羊など)は感染環を作らない終末感染である。

3.天然痘
 ボックスウイルスの中に人に感染して皮膚に膿疱を作り、肝臓その他の内臓を犯し、重篤な症状を起こすものがある。感染を起こしたもののうちかなりのものが死亡し、幸いにして治癒した場合でも顔、身体の皮膚に醜い痘痕を残す。
 熱帯地域にはびこっていたもので、わが国にも時々侵入し、恐怖の流行を巻き起こした。わが国では奈良時代737年に天然痘の大流行の記載がある。最初は大陸から、徳川期に入ってからは東南アジア、オランダの貿易船を介して侵入してきた。
 天然痘ウイルスは人間だけに感染する。自然界で他の動物がその感染の宿主となることはない。感染環は人間の間だけで運行する。ウイルスは飛沫に付着して空気中を浮遊し、人の呼吸器に入ってそのあたりのリンパ装置その他の細胞の中に侵入してそこで増殖する。増殖したウイルスはやがて血液の中に侵入し、血流に乗って全身を循環する。そしてそこから内臓の種々の臓器に散らばり、あるいは皮膚、粘膜に出る。
 肉眼で見ると、皮膚の局所は先ず発赤ができ水疱が発生し、やがて膿疱に変わり、後にかさぶたになって脱落する。ウイルスはこうして外界に飛び出す。粘膜面でもウイルスは粘膜細胞との間に闘争が展開し、細胞は壊死崩壊し、粘膜腔内に排出され、そこから外界に出る。
 常在地においてはそれほど厳しい闘争が進行しているとは感じられない。非常在地で見られるような、社会を荒廃させるような形の流行の進行は見られない。ある意味で天然痘ウイルスと社会の間に平衡が保たれていると言える。天然痘に感染すると回復した後免疫になる。この病気の常在地ではいつもあちこちで感染が起こっている。その感染の後には免疫が残る。社会の中で免疫を持った個体があるパーセントいると、病気の流行拡大は困難である。ウイルスは感受性のある個体を探しながら感染を繋いでゆく。免疫になっている個人から生まれた子供でも、母親からもらった免疫体はせいぜい数ヶ月しか持たず、半年もすれば完全にそれを失い、感受性の個体になってしまう。そのような感受性個体の補給がウイルスの感染、すなわちウイルスの生活の保持の素地を作り、それによってウイルスの感染環が維持されていく。
 天然痘の非常在地では、その流行の激烈さゆえに感受性個体はすぐに消耗してしまう。その条件ではウイルスの生存、感染環の維持の条件は満たされない。やがてウイルスは消滅してしまわなければならない。

4.ポリオ
 昔、ポリオを小児マヒと呼んだ。小児、2歳か3歳ぐらいまでの子どもが罹患し、病気の進行にしたがって四肢あるいは呼吸筋にマヒが起こる。呼吸筋がマヒする時は回復しないで呼吸が止まって死ぬことがある。四肢の筋肉が犯された場合には、病気が回復してもその後にマヒを残し、一生不具になることがある。人間社会の中で、このような病気が小さい子供達に時々見られるが、あまり一度に患児が多数発生する流行の形になることはなかった。
 ポリオウイルスは自然界では人にだけ感染する。ウイルスは食物その他を介して口からはいる。小腸の腸管壁にあるリンパ装置付近に侵入して、そこの細胞にウイルスは感染を起こし、増殖する。増殖したウイルスは細胞からあふれ遊出し、一部は血管の中に入り、中枢神経特に脊髄あるいは脳に到達する。そこの運動神経の中枢に病巣を作る。そのため運動マヒを起こす。
 しかし、ポリオウイルスの感染は起こっても運動マヒを起こすまで病気の進行することは非常に稀なことである。大部分のものは多少熱の出る程度か、風邪でも引いたかと思われるくらいのものである。この不顕性感染が生活維持のためウイルスの本命である。増殖したウイルスの大部分は腸管腔に排泄され、外界に出る。それが再び次の人の口にはいる。かくして人から人へ感染が移っていき、感染環が運行してゆく。生まれて半年ぐらいの子どもはポリオウイルスの免疫体を持っていない。2歳になると70%、3歳になると90%以上の子どもが免疫体を持つようになる。ほとんど全ての成人はポリオウイルスの免疫体を持っている。成人になるまでに感染を受けたことがあるという解釈ができる。
 衛生環境のよい生活をしている人たちの間では、年齢が高くなってから感染を起こすようになった。社会におけるポリオウイルスの感染の様相が散発から流行への変貌し始めた。年齢が高くなってからポリオウイルスに感染すると、マヒを発生する率が比較的高くなり、にわかに攻撃的に見えてきた。わが国でも1960年近くになると、あちこちでポリオの流行が報告され、1961年の流行最盛期にポリオ生ワクチンが導入された。

5.ヘルペスウイルス属
 ①単純疱疹ウイルス
 時々疲れたり、熱が出たりすると、口唇などに小さな水疱がぶつぶつとできることがある。成人の40~80%が単純疱疹ウイルスの免疫体を持っている。社会経済環境のよい集団ほど低い。
 初感染で最も多いのは口内炎。その外に眼の結膜炎、角膜炎、髄膜脳炎等いろいろの多彩な症状を呈する。1~3歳ぐらいの子どもに多く発生する。1歳以下は稀。病気が経過するにしたがって宿主の体内には漸次免疫体が発生し血液に乗って全身を循環する。症状は消退し、病気は終息する。
 口唇、唾液の中のウイルスは、免疫体を持っていないものに接触感染する。大部分は不顕性感染で症状を出さない。
 初感染が終わったものが、なにかの拍子に、口唇その他に水疱性の発疹が発生し、それが同じ場所に繰り返しできることがある。ウイルスが病気が治った後もずっと局所に残り、時々活性を取り戻して再発する。初感染が不顕性感染にしろ、顕性感染にしろ、やがて潜伏感染の状態に入り、時として再発する。初感染後、免疫体レベルはあまり変動しない。

 ②水痘ウイルスと帯状疱疹
 水痘の病原体もヘルペスウイルス群に属する。水痘ウイルスは飛沫感染によって呼気を介して上気道から上気道へと感染する。咽頭で感染したウイルスはそのあたりで増殖し、増殖したウイルスの一部は血管の中に入り、全身に広がり皮膚の毛細血管に引っかかりそこで感染病巣を作る。それが皮膚発疹。
 帯状疱疹は大抵の場合成人、それもかなり年齢の高い人が多い。帯状疱疹は知覚神経の走行に添って水痘様の発疹を発生し、その部位に刺激、疼痛、掻痒すなわち神経痛様の症状を発して苦しむ病気である。胸部に発生すれば水疱が肋骨に添って帯のように発生するので、帯状疱疹の名が生まれた。
 研究と努力の結果、水痘ウイルスと帯状疱疹ウイルスは同じウイルスだった。このウイルスの初感染を受けた者は水痘を発病する。帯状疱疹はこのウイルスに初めて感染したものには起こらない。帯状疱疹を発病するものは何れも最初からこのウイルスに対する免疫体を持っている。既にこのウイルスの感染を受けたことのある者だけが帯状疱疹を発病する。
 2つの説が対立している。
 ・帯状疱疹はこのウイルスの再感染の時に起こる
 初感染の時は水痘を発病する。回復して免疫になる。免疫が次第に低下し、ある値より低下すると感染に抵抗できなくなる。そんなときにウイルスの侵入を受けると感染が成立する。ある程度免疫が残っている限り初感染の水痘のような全身的な発疹の発生にはならない。限局的な場所にしか発疹が生じない。それが帯状疱疹。
 ・ウイルスの潜伏感染。
  初感染の水痘の時にウイルスが身体内に侵入する。その感染は外見上やがて終息する。多量の免疫体が産生され、血液の流れに乗って全身を環流している。感染の終息後も身体のどこかで潜伏すると考える。
帯状疱疹が発病する時の病像を見てみると、まず帯状に水痘疹のできる部位の知覚神経が出ている神経節の部分に変化が起こり、そこに細胞の浸潤が発生し、出血が起こり、神経細胞の破壊が見られる。同時にその知覚神経の支配する皮膚に水痘疹が発生している。遅れて脊髄後角の中の神経細胞に変化が見られる。その神経節の中か、その近くのどこかに水痘ウイルスが潜伏している。

 ③サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス属
 人の唾液腺の細胞が大きくなり、大形化した核の中に封入体が見られることがある。サイトメガロウイルスが感染した結果である。症状のないまま感染を起こす。年齢が高くなるにしたがって感染を受けた者の数が多くなる。このウイルスはある程度社会に常在し、ある頻度で感染を起こしているものと思われる。サイトメガロウイルスは初感染後やがて潜伏感染に移行する。また、母親が感染していると、胎盤を通って胎児に感染する。新生児が感染している。

ウイルスの最新記事