無秩序な制度改革で歯科医院・患者が大混乱
2008年05月05日(月)
歯周治療は、昭和56年5月の「歯周疾患治療指針」によって始めて保険診療において系統だてられた。平成元年3月の「改訂歯周疾患治療指針」を参考にPⅠ型(学問理念に合わせた治療体系)とPⅡ型(在来型)診療体系が導入されたが、平成8年3月の「歯周病の診断とガイドライン」によって解消され、臨床に即したものになった。そして、平成14年の保険改正で継続的な歯周治療の体系が曲がりなりにも確立されたが、現場の声を聞かずに前回の改悪により、歯周治療の定期検診が最長2年間しか認められなくなったり、メインテナンス中は歯周病のみならず予見し得ない歯牙の破折など口腔全体の管理まで押しつけられるようになった。
今回の改正では、前回改悪された制度が廃止されたが、継続可能な歯周治療の体系に戻らず、平成19年3月 日本歯周病学会が作成した「歯周病の診断と治療の指針」を参考に、病状安定においてSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)が導入された。それは、将来のことが明らかにされていない制度であり、評価にも問題がある。そして、メインテナンスが選定療養になることも危惧される。また、最近では、改正ごとに無秩序に歯周病治療の制度がころころと変わり、治療内容が新設されたかと思うと、包括されたり、また復活したりと一貫性がない。実際の歯周治療そのものは変わらないのに、その度ごとに保険請求が変わり患者に不信感を抱かせている。
現場の歯科医師の意見を十分聞き、議論を重ねて、根本的な骨太の歯周治療体系を決定し、それを参考に、継続的な歯周治療ができ、医師の裁量権を認めた個々の患者に対応できるよりよい制度を望むものである。
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