今こそ安全で安心な医療を
2007年02月28日(水)
産婦人科・小児科に端を発する医師不足は外科・内科へと広がり、その問題は今や地方だけにとどまらない。都会からでさえ、病院や診療科が消え深刻な地域内格差が生じている。にもかかわらず財政優先の医療改革が継続され、国民皆保険制度は崩壊の瀬戸際にあると言っても過言ではない。歯科では診療点数の変更に伴い、継続的な歯周病治療が極めて困難な状況に陥っている、患者自らが健康を守ろうとする意識に逆行する制度改悪である。介護の分野では、要介護1が作為的に要支援2へ移行させられ、サービス削減による利用者の悲鳴は日々切実なものとなっている。医療でもリハビリの日数制限により、機能障害と闘う患者さん達が生きようとする意欲を維持できなくなり、人間の尊厳が踏みにじられている。一方、現場の医師には時間的にも精神的にも余裕がなくなり、日本の医療の将来に対する大きな危惧となっている。
こうした医療改悪の根源は、医療に市場原理を持ち込み、「適正化、効率化」の名の下に、ひたすら医療費の削減を推し進めてきた政治の貧困にある。しかし、医療は教育や防災と同じく、単純な経済原理の中で語れる性質のものではない。世論調査によると政権に期待する最大の政策課題は「医療福祉問題」である。安心できるから子供を生むことができ、生き生きと豊かに暮らせるのではないだろうか。まず、若い世代が安心して子育てが出来る環境を作ることが第一であろう。又戦後の日本社会を廃墟の中から、再建してきた高齢者に過酷な負担を強いる様々な制度改悪も決して見過ごすことができない。
医療を本来の姿に戻すべき時である。経済優先の医療から安心、安全を第一に考える医療へ。国も、国民も医療人も、原点に立ち返って、真に国民のための医療を作り上げよう。医療制度の改革と共に現場の医療システムの改善、一人ひとりの医療人の資質の向上。その車の両輪を見失うことなく、協会は先頭に立って全力で運動に取りくむ覚悟である。
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