名誉院長ブログ のぼるくんの世界

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本の世界

自然科学の不思議さ

ゾウの時間ネズミの時間

2009年04月16日(木)

    サイズの生物学
本川達雄著
1992年8月25日発行
中央公論社
680円

 読み継がれてきたことに納得できる本である。
 動物が変われば時間が変わるということを知った時は、新鮮なショックを感じた。時間が違うということは、世界観がまったく異なるということである。時間とは、最も基本的な概念である。しかし、自分の時計は何にでも当てはまると、なにげなく信じ込んで暮らしてきた。そういう常識をくつがえしてくれるのが、サイズの生物学である。一生を生き切った感覚は、ゾウもネズミも変わらないのではないかと思う。
 サイズを考えるということは、ヒトというものを相対化して眺める効果があり、ヒトの自然での中の位置を知ることが出来る。人が己のサイズを知る、これは人間にとって、最も基本的な教養であろう。 続きを読む

センス・オブ・ワンダーを捜して

2011年12月08日(木)

センス・オブ・ワンダーを捜して生命のささやきに耳を澄ます
福岡伸一 阿川佐和子著
大和書房
2011年11月1日発行
1400円
 人間にとって子ども時代とは、生きるとは何なのかを深く考えさせられる1冊である。そして、機械論的にこだわらず動的平衡も視野に入れて患者さんと向き合いたいと思う。
 また、2人の対談からインタビューの秘訣も学んだ。質問をひとつだけ用意する。その答えをじっくり聞き、答えの中に次の質問を見つける。
 生物と無生物のあいだ
kojima-dental-office.net/blog/20200914-14306#more-14306
 動的平衡
kojima-dental-office.net/blog/20180814-10323#more-10323 続きを読む

植物という不思議な生き方

2008年08月14日(木)

植物という不思議な生き方蓮実香佑 著
PHP研究所
1300円
2005年11月9日発行
 植物とは不思議な生き物である。人間とは姿も形もまったく違う。もっと根本的に考えも及ばない何かがあるのだと思う。手足も、目や耳も、脳もない。しかし、戦略家である。
また、余計なことを考えない植物のまっすぐな生き方に、私たちは「生きる」ことの意味を問い正されるかもしれない。
 植物の不思議な世界へようこそ。 続きを読む

ウイルスは生きている

2020年10月28日(水)

ウイルスは生きている中屋敷均 著
講談社現代新書
840円
2016年3月20日発行
 教科書では「ウイルスは生物ではない」と教えられる。しかし、細菌で起こる病気もウイルスによって起こる病気も、基本的には同じ生物現象にしか思えない。そして、「ウイルスDNA」を、たった1塩基変異させただけで感染しなくなり、「ただの物質」となる。DNAのたった1塩基の違いが、「生き物」と「ただの物質」を分ける。
 我々人間は異なった2つの「生」を生きている。DNA情報からなる生物「ヒト」としての「生」と、脳情報からなる人格を有した「人」としての「生」。例えば、不慮の事故に会う。すぐに精子を取り出し冷凍する。人が亡くなった後でも、細胞としての精子は「生きて」おり、そこから子供が生まれてくる。「ヒト」は生きていても、「人」は亡くなっている。多くの生物は、DNA情報による「生」しか持たない。 続きを読む

図解 宇宙の話

2018年11月21日(水)

img111眠れなくなるほど面白い
渡部潤一著
2018年3月30日発行
日本文芸社
680円
宇宙全体の謎を解く方程式
 アインシュタインが提唱した相対性原理「物体が同じ速度で動いているならば、止まっている時と同じ物理現象が起きる」を理論化したもの。現在の宇宙論はこの上に成り立っている。 続きを読む

ざんねんないきもの事典

2020年02月16日(日)

ざんねんないきもの事典www.takahashishoten.co.jp/zannen/#home
おもしろい! 進化のふしぎ
今泉忠明監修
高橋書店発行
900円
 ざんねんな生き物とは一生懸命なのに、どこか残念な生き物たちのこと。
 「進化」とは、体のつくりや能力が長い時間をかけて変わっていくこと。進化に正解はない。生き残れるかどうかは運次第。今まで地球に登場した生き物は、99.9%は滅んでしまった。環境がガラリと変われば、絶滅してしまう。 続きを読む

露の身ながら

2008年12月25日(木)

露の身ながら往復書簡
いのちへの対話
多田富雄 免疫学者
    2001年 5月、脳梗塞で倒れ声を失い右半身不随となる
    抑制T細胞を発見   
柳澤桂子 遺伝学者
        T遺伝子の研究
        1969年原因不明の難病
集英社
2004年4月発行
四六判 269頁
1,470円(税込み)
 障害者一年目と、病床三〇年の往復書簡である。不自由な体でワープロを打ちながら書かれた一字一句に感動を覚える。気持ちの整理が付いて、次第に自分のことから、違った立場から生命科学を学んだもの同士でお互いに意見を述べあうようになり、生物学の解説を超えて、現代の科学、人間の生死や文明についての深い哲学的洞察が見られるようになる。このエネルギーはどこから来るのだろうか。 続きを読む

ペットは人間をどう見ているのか

2018年01月08日(月)

img985イヌは?ネコは?小鳥は?
支倉槇人著
2010年4月5日発行
技術評論社
1580円

1.人間と動物の関係の始まり
 古くは、人間と動物は対立するか無関係かのどちらかの関係でしかなかった。こうした関係に大きな変化をもたらしたのがイヌだった。イヌが数万年前から人間と暮らしていたのに対し、ネコと人間の歴史はわずか数千年東アジアのオオカミを祖先とするイヌは、最初に家畜化された動物。ネコ(イエネコ)は、全てアフリカのリビアヤマネコを祖先としている。 続きを読む

進化の法則は北極のサメが知っていた

2019年07月10日(水)

進化の法則は北極のサメが知っていた渡辺佑基著
2019年2月28日発行
河出書房新社
920円
 国立極地研究所に所属する生物学者。専門分野は、海洋動物(魚、海鳥、海生哺乳類)の生態。生態を研究するためツールとして、動物の身体に小型の計測機器を取り付ける「バイオロギング」の手法を使っている。10年ほど前の大学院生の頃、バイオロギング機器をタイマーで動物の体から切り離し、電波を頼りに回収するという独自のデータ回収システムを開発した。動物を捕獲する必要がなくなり、応用範囲が飛躍的に広がった。
 本書では、体温という物理量が生物の姿かたちや生き方をどのように規定しているのかを明らかにしたい。昆虫にも、魚にも哺乳類にも当てはまる統一理論「生物の法則」にもチャレンジしてみたい。 続きを読む

生物多様性とはなにか

2010年09月06日(月)

井田徹治著
岩波新書
720円
2010年6月18日発行
 第6の大絶滅、生命史上最大の危機を迎えている。これまでの過去5回と質的に異なり、人間の活動が原因である。また、絶滅後に新たな種が生み出されてきた現場だった湿地や熱帯雨林も、今回は破壊が急速に進んでいる。
 「生物多様性のホットスポット」を取材してきた環境問題を専門とする記者が、問題点とこれからの糸口を紹介している。ぜひ、この機会に当たり前が当たり前でなくなっていくことに気づき、考え行動したい。 続きを読む

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