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口腔機能発達不全症の訓練と治療を保険診療で

2020年03月04日(水)


 近年、「4歳になってもクチャクチャ食べ(クチャクチャと音をたてながら食べる)が治らない」などの相談が、保護者から歯科医師へ増えてきた。問診すると、授乳時に赤ちゃんの体を起こさず横に寝かせたまま授乳していた、離乳食を与える際に口唇を閉じさせることを意識していなかった、幼児期初期にコップではなくストローで飲ませていた、手づかみ食べをさせていなかった等のケースが目立つ。
 子どもたちの正常な口腔機能の発達を促すためには、その成長段階に合わせて必要な口腔機能の獲得を意識した食べさせ方に留意する必要がある。子どもたちの口腔機能育成のために育児者向けのアドバイスをまとめた冊子『お口の機能を育てましょう―歯科医師からメッセージ』(石川県保険医協会発行。6万冊を完売したが、食物アレルギー対応の改訂版をまもなく発行)を増刷し、今後も啓蒙活動をしていきたい。
 冒頭のクチャクチャ食べは、吸いやすく陰圧になりやすい狭い口腔内から、いろいろなものを食べやすい広い口腔内へと移行せず、舌を口蓋(上顎)にしっかり付けられないなど、口唇や舌の食べる機能の発達の遅れ等から生ずる。そのような場合、口蓋に吸綴窩の名残がある(口蓋がドーム型になっていない)、タ行・ラ行がうまく発音できない、歯が内側に倒れて口腔内が狭く、歯が重なってガタガタに生える、上唇が山型のままで習慣的口呼吸になりやすい等の問題にもつながる。そして、これらの機能や状態をスクリーニングできる仕組みが乳幼児健診時に必要である。
 2018年の診療報酬改定では、このような口腔機能発達不全症の子どもへの指導・管理を評価する「小児口腔機能管理加算」が導入され、今次改定では歯科疾患管理料の加算から独立して小児口腔機能管理料に変更され、口唇閉鎖力検査も導入された。しかし、どこに問題があるのかを考えるための検査が網羅されていないため、一般的な対応にとどまることになる。例えば、正しい姿勢で椅子に座る(踵を床にしっかりつける)、食べ物を飲み物で流し込まない、よく噛む習慣を身につける(様々な形の食材を前歯で噛みきり、奥歯ですりつぶす)、口を閉じて飲み込むなどの指導、そして舌の持ち上げや口唇を閉じる訓練などである。
 これらの患者さんの状態に合わせた診断と治療が求められている。唾液量測定や咀嚼能率などの口腔機能検査と、正常な口腔機能の獲得・成長を促すための歯科診断に基づく適切な訓練や治療までを保険診療でできるように診療報酬上の改善をねばり強く求めていく。
 乳幼児期の相談 4歳になるがクチャクチャ食べが治らない
kojima-dental-office.net/category/faq/baby
 持論「噛まない子」「噛めない子」 2004年06月15日(火)
kojima-dental-office.net/blog/20040615-1133#more-1133
 『お口の機能を育てましょう―歯科医師からメッセージ』を発行
kojima-dental-office.net/20130619-1477
 小児口腔機能管理加算
kojima-dental-office.net/20180721-4227#more-4227

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